古代エトルリア文明を研究しているエアーズ教授は遺跡からとあるものを発掘する。
それは『死者を生き返らせる封印』が描かれた碑文書の一部であった。

エアーズ教授はその碑文書を発掘しようと発掘現場に戻るが、封印が解かれたことにより埋葬されていたエトルリア人たちの遺体が甦り、エアーズに襲いかかり喰い殺してしまう。

一方、発掘現場近くのエアーズの別荘地にバカンスに訪れた三組のカップルとファミリーたち。
広大な屋敷に招かれた彼らは執事とメイドに世話を任せると思い思いのカップル同士でセックスに耽るなど留守しているエアーズを待つ間楽しんでいた。

そんな中でただ一人、敷地内を覆う邪悪な空気を感じ取ったジェニファーは恐ろしい予感がすると訴えるのだが、彼氏のマークを始め、みな聞く耳を持たないのであった。

翌朝、エアーズは朝食の時間となっても戻ってこなかったが、彼らにとってはいつものことと気にもかけてはおらず、早々に食事を済ませるとまた各々で楽しんでいた。
しかしそんな彼らに遺跡から甦った死人の群れが近づいていた。

スティーブといちゃつくジャネットは花壇の中から出てくる死体に驚愕し、二人で逃げ惑うがいつのまにか辺りは墓場から甦った死人がうろついていた。
同じ頃、ジェニファーらも腐乱した死体に襲われる。
逃げる最中にジェニファーがウサギ取りの罠で足を負傷し、襲われかかるが通りがかったスティーブらによって何とか助けられる。

一方、屋敷の地下ガレージで骨董品を見ていたジョージとエヴリン、マイケル親子。
母であるエヴリンに性的依存を見せるマイケルはジョージに対して嫉妬以上の憎悪を見せていたが、そこで死人の群れに襲われる。
拳銃をもつジョージが応戦するが、死人には効かず、遂に囲まれたジョージは無数のゾンビに貪り喰われて殺されてしまう。

更に親子に襲いかかるゾンビを塗料に火をつけて撃退し、難を逃れたエヴリン親子は合流したジェニファーらと共にエアーズの屋敷に立て籠る。

突然の出来事にパニックと化す邸内。
だが獲物の匂いを嗅ぎ付けた生ける死体の群れは徐々に屋敷を取り囲み始め、その数を増やしつつあった。

夜になりゾンビの襲撃に備えて屋敷内に出入口を封鎖しようと各自動き出すが、その最中でメイドのレイチェルがゾンビの投げた鋲によって手を封じられ、巨大な鎌によって首を切り落とされて犠牲となる。
更に二階の窓に近づいたジャネットが石柱を登ってきたゾンビに髪を掴まれ、窓の外に引き摺られて首を切り絶命する。

レイチェルの無惨な遺体をみたスティーブは下で貪り喰うゾンビたちを一掃すべく見つけた猟銃を乱射し、次々と倒していくとゾンビたちは周囲から離れていくのだった。

ジョージが死んだことで暴走に歯止めが効かなくなったマイケルはエヴリンに自分の欲望をぶつけるのだが、エヴリンはこれを拒絶する。
絶望で部屋を飛びだし、二階の廊下へと出たマイケルが見たのは死んだはずのジャネット。
ゾンビによって殺されたものもまた同じくゾンビとして甦り、生きている人間を襲うのである。

マイケルの帰りが遅いことに不安がるエヴリンは彼を探しにいくのだが、二階に残るおびただしい量の血痕をみつけ、それを辿りバスルームで彼女が見たのは、片腕を千切られて息絶えているマイケルとその片腕を貪り喰うジャネットの姿であった。
激昂したエヴリンはジャネットの頭を風呂の角で激しく何度も打ち付けて脳を破壊してこれを倒す。

一方、退散したはずのゾンビたちはなんと各々が道具をもち、扉を開けようとしていた。
中には大きな丸太を用い出す者もおり、もはや屋敷内に入り込まれるのも時間の問題となっていた。

屋敷からの脱出を図ろうとするジェニファーたちは武器を探しに屋敷内を動き回るのだが、そんな中、死んだはずのエアーズが甦って執事を殺害、その肉を貪り喰い出す。
扉も破られ、続々とゾンビたちが乱入すると、ジェニファーらは彼らをやり過ごすために隠し扉を使って裏部屋と避難する。

翌朝、ゾンビの襲撃は朝日と共におさまりおそるおそる屋敷を出たジェニファーらは辺りを警戒しつつ外れの教会に辿り着く。
修道僧の姿をみたスティーブが追いかけていくのだが、行き着いた先は修道僧に化けたゾンビの群れであった。
呆気なく内臓を取られ喰い殺されるスティーブ。近くのあばら屋に逃げ込んだジェニファーら3人だが、そこはエトルリア人たちの拷問の場所であった。
甦ったマイケルのゾンビによって喰いちぎられ絶命するエヴリン。
ジェニファーとマークは果たして襲いかかるゾンビの群れから逃れることはできるのか…

残酷描写激しいイタリアンゾンビ作品の中でもとりわけエグいとされる残酷ホラー。

まず取り上げておきたいのがこの題名。
『ゾンビ3』とあるもののこれはあのロメロの名作『ゾンビ』からの関係が疑われるが、全く作品自体の関連性はない。
本作はどちらかと言うとルチオ・フルチの名作『サンゲリア』を意識した作りとなっている。
この『サンゲリア』が実は原題名を『ゾンビ2』と勝手に続編を名のってしまっており、その流れを受けての『3』ということらしい。
更にややこしいことにこの『サンゲリア』とも作品自体の直接の関わりはないが便乗の便乗でなんと更に『4』まであるらしく、勝手にシリーズ化させている困り種作品である。

ストーリー的には事故的に甦った生ける死体によってバカンスにきたファミリー達が惨殺されていく話。
監督のアンドレ・ビアンキが元々ポルノ系の監督だっただけに不必要なほどのエログロシーンに溢れている。
ゾンビ達が襲ってくるまではセクシー女優も集めての乱痴気騒ぎが行われ、ホラーの王道であるむやみにセックスするものが殺されるというパターンを守っている。

本作の主役となるゾンビ達であるが、これは元より『サンゲリア』を崇拝しているだけに、そのゾンビたちの造形は蛆や蚯蚓を顔中にはわしたりと腐乱系の王道をいくような特殊メイクぶり。
ただリアルに風化させたような『サンゲリア』のゾンビと比べ、本作のゾンビは粘土をこなくりあ、わせて、ぎとぎと感が漂い汚ならしい感じがする。

また残酷描写に一際力を入れているだけあり、鎌でゆっくり首を切り落とされる描写などは暗がりの映像ではあるが、ゾッとするシーンである。
他にも内臓を引きずり出して貪り喰うシーンや喰いちぎるシーンなどチープながらも独特の嫌悪感をもよおすものも多い。

何より特徴的なのは本作のゾンビはゾンビ映画史上もっとも頭がいいということ。
扉を開けるために原始的なアイテムを使うのは分かるが、このゾンビは協力して大きな丸太を使って集団でこじ開けようとしたり、修道僧のふりをしてジェニファーらがくるのを変装して待ち受けたりと、なかなかの知能犯ぶりを見せる。
中でも圧巻なのはメイドのレイチェル殺害のシーン。
不用意に窓を閉めようと手を伸ばしたところに見事に鋲を投げつけ動けなくするファインプレー、そしてどこから持ってきたのか巨大な鎌によって斬首するというチームプレー。
腐れ加減は作品史上最も古いのだが、そのジューシーさたるや
メイクの途中で下地のはだの色が目立つくらいでこの辺り作品としての雑さもみえてくる。

雑さといえばゾンビに対する主人公たちの行動もまた粗く、とにかくワーキャー騒ぐだけであとはひたすら喰われるのみ。
その間抜けさはラストまで引き摺るのでとにかく人間側の無能さだけは際立つ。

ストーリーは二の次、とにかく残酷描写とインパクトを求めた感じの本作。
その点において忘れてはならないのが、本作で強烈なインパクトを見せる重度のマザコン少年マイケルの存在である。
この見た目十分のキャラクターを演じたピーター・バーグはなんと当時25歳である(^-^;

本作の主演男優賞はこの人マイケルくん



恋人とセックスに耽る母親に子供としてではなく、性対象として接しているなかなかの性癖であり、特に豊満な母親の乳房に執着をもつ彼。
なんとゾンビが襲いかかっている非常状態の中で、甘えついでに母親といたそうとするガチの近親相○癖を発動させるヤバさである意味腐乱ゾンビの群れよりも恐怖。

彼がゾンビ化し、エヴリンの乳房に甘えるふりして、乳房を喰い千切るというシーンはゾンビ映画史上に残る名シーンのひとつといえる。

ストーリーはスカスカだが、とにかくエロシーンと夢に出てきそうな汚ならしいグロシーン、そして残酷描写だけは豊富に詰め込んだ珍作。
決して良作とは言えないが、80年代ホラー特有のエログロ作品と残酷描写好きならばぜひおさえておきたい作品である。

残酷度…★★★★★

評価…★★★
(ストーリーなんて無いに等しいものの、とにかくエグさとエロさが突出した残酷描写の中でも最高峰なゾンビ映画(^ω^))