ジャッキー・チェンとジェット・リーという二大アクションスターの共演が話題となったファンタジーカンフーアクション大作。
 
カンフー映画好きのオタク青年ジェイソンは行き付けであるチャイナタウンの雑貨店で昔懐かしいカンフー作品を物色していた。
顔馴染みとなっている老店主ホップはそんな彼に他ではなかなか手に入らない作品を紹介したりしているのだが、ジェイソンはその奥にある倉庫に飾ってある見事な紋章の入った頑強そうな棒に目を奪われる。
 
ホップによるとこれはかつて伝説の神である孫悟空の如意棒であり、その昔暴虐ばかりしていた孫悟空が古代帝国の全権を掌握するジェド将軍と対決したさいに弱点をつかれ、封印された孫悟空を復活させるためにそれを導くものを待っているという。
 
なかば眉唾的な話だと苦笑するホップ。
しかしジェイソンは率いられるようにホップの閉める扉の奥の如意棒に牽かれるのだった。
 
そんな帰り道。ジェイソンはいじめっ子のダンに絡まれ暴力をうける。カンフー映画作品を持っていたことからホップとの関係を問われたジェイソンはダンに強盗するための案内をさせるように無理難題を押し付ける。
 
脅されたジェイソンはホップのもとにいき誤魔化そうとするが常連のジェイソンに用心深いホップは鍵を開けてしまうとダンたちが雪崩れ込み金目のものを奪おうとする。
ホップは保管していた如意棒でダンを叩くが激昂したダンはホップに発砲。ホップは瀕死の重傷をおう。
さらに収まりの利かなくなったダンは如意棒をもって逃げるジェイソンを追いかけて屋上に追い詰める。
するとジェイソンの意思とは関係なく如意棒は彼を押し始め、なんとビルの屋上から彼は棒ごと落下するのだった。
 
死んだかと思ったジェイソンは目覚めるとそこは見たこともない異国の地。
人種も違う貧しい農村の家でジェイソンは戸惑うのだが、そこで村を襲う甲冑をつけた軍隊に出くわす。
如意棒をもつジェイソンは怪しい人物として追いかけられる。
 
絶体絶命のピンチの中、フラりと現れた浮浪者のような男が偶然にも割ってはいるのだが、その男ルー・ヤンは酒を片手に素早い技で軍隊を翻弄するとジェイソンを連れて逃げ出す。
 
酒場で飯を囲いながらジェイソンは事の次第をルー・ヤンに話すのだが、彼は実は不死の仙人を目指す酔拳の達人であった。
時空の歪みで偶然にもこの時代に運ばれたと考察するルー・ヤンはジェイソンのもつ如意棒に注目する。
そして孫悟空の封印を解くべくジェイソンは遣わされたのだと説いたのだった。
 
しかしそんな会話も束の間、ジェイソンが孫悟空の如意棒を持つという噂はたちまち拡がり、ジェド将軍の軍隊が酒場に押し寄せジェイソンの命を狙い出す。
カンフーの全くできないジェイソンはルー・ヤンの助けを得ながら何とか凌ぐも完全包囲されまさに四面楚歌に。
その時奥の席に座っていた少女戦士に救われ、何とか三人でその場を脱出することに成功する。
ジェイソンを助けた少女は小燕と名乗り、ジェド将軍を仇としていた。彼女もジェイソンの噂をきき彼に協力をする。
 
ルー・ヤンも相手がジェド将軍と聞き、しかもジェイソンのカンフーの実戦のなさに呆れるも自分が師匠として特訓することを条件に渋々仲間になるのだった。
 
そんなある日。ジェイソンは野宿のなかで如意棒を狙う白い装束の男に襲われる。
如意棒を奪われたジェイソンはルー・ヤンたちに助けをもとめ捜索すると近くの寺院に男のものらしき馬が停留しているのを見つけ、ルー・ヤンが先陣をきって中に入り込む。
 
そこには静かに瞑想する坊主がいた。
ルー・ヤンは如意棒を持ち去った理由を問うも男は無視。そして如意棒をめぐっての壮絶なカンフーの決闘を繰り広げる。
酔拳に蟷螂拳、虎拳に鶴拳とお互いに一歩も引かぬ互角の攻防戦を繰り広げるなかで如意棒は吸い込まれるようにジェイソンのもとに戻る。
 
それをみた坊主は自らをサイレント・モンクと名乗り仲間になることを申し出る。
 
二人の達人の鍛練によってジェイソンのカンフーの腕はめきめきと上昇していく。
 
一方、伝説の如意棒をもつジェイソンのことを知ったジェド将軍はそれを奪うために不死の能力をエサに凶悪な刺客、白髪魔女を呼び寄せ、ジェイソンたちから如意棒を奪うように命令する。
 
孫悟空が封印されているジェド将軍の居城を目指しおよそ数十里まできたジェイソンたちは梅の花に囲まれた園で遂に追いかけてきた白髪魔女の軍団に襲われる。
激しい乱戦の末に魔女の手から逃れたかに見えたが、魔女の放った矢がルー・ヤンに致命傷を与えていた。
 
近くの武僧たちの寺院に担ぎ込まれ、今後の進退を悩む仲間たち。ルー・ヤンが助かるにはジェド将軍のもつ不死の甘露酒が必要だがそれは今のジェイソンでは如意棒を無駄に渡すだけでジェド将軍に殺されてしまうことを示唆していた。
 
ルー・ヤンをそのままにし軍を揃えて夜襲をかけるまで待つべきと主張するモンクに対し、ルー・ヤンを助けたい一心のジェイソンは如意棒を渡してでも甘露酒を手に入れたいとし意見は対立し平行線のまま夜は更けていく。
 
だがその夜、ジェイソンは一人抜け出しジェド将軍の居城に単身向かってしまう。
急ぎ気づいた小燕とモンクらがあとを追う。
 
ルー・ヤンを助けるためジェイソンはジェド将軍と掛け合うが残忍な将軍は同じく不死の甘露酒を欲する白髪魔女との一騎討ちを命じる。
奮闘するジェイソンだが魔女の力は強力で彼は敗北し処刑されそうになるのだが、そこにモンクらが武僧たちを率いて参戦。傷ついていたジェイソンを救う。
 
将軍を倒すため一致団結する仲間たち。そして孫悟空の分身であったモンクの犠牲で孫悟空が復活し、虚をついて得た甘露酒を呑みルー・ヤンが復活、魔女との死闘を繰り広げる。
 
大乱戦の行方は?そしてジェイソンは使命を果たして元の世界へと戻れるのだろうか?
 
ハリウッドに進出した二大スターの激突が話題となったアクション作品。
 
90年代後半にかけてハリウッドのアクション界で旋風を巻き起こしたジャッキー・チェンとジェット・リー。
現在でもハリウッド映画で活躍する二人であるが、不思議なことにこれまで作品としての接点はなかった。
 
ただお互いに交流は昔からあったらしく、香港で活躍していた80年代から幾度か二人が共演する企画は立ち上がっては消えていたらしい。
それには色んな憶測も流れてはいるが一番は互いのプロダクション会社の権利関係によるものだという。
 
そんな夢の企画が足かけ30年近くかけてようやく実現したのが本作である。
 
監督であるロブ・ミンコフはかなりの香港映画マニアであり、その熱意は本物。冒頭からショウブラザーズの作品ポスターをアイキャッチとして使ったり、作品の中にも彼が好きな『拳シリーズ』の特訓シーンのオマージュも満載。
 
そんな彼の熱意でジャッキーも『酔拳2』以来断っていた酔拳のアクションを承諾し本格的なカンフーアクションを見せてくれている。
 
単なるアクションものとはならないように主演である二人にはそれぞれにメインとは違う役を設けていて、ジャッキーは酔拳の達人の他に冒頭のチャイナタウンの雑貨店店主を演じている。よく見ればジャッキーだと分かるが特殊メイクと彼のヨボヨボ老人演技で一瞬分かりづらくなっている。
そしてジェット・リーは少林拳の達人の僧の他に孫悟空役も演じていて、これまた特殊メイクによって嬉々とした孫悟空の姿を見せてくれている。
 
共演陣もハリウッドに居を置いたアジアン俳優たちが勢揃いしており、ヒロインとして今年『ムーラン』での主役を演じたリウ・イーフェイがデビュー作であり、『バイオハザード』シリーズのリー・ビンビンが白髪魔女役でアクションを披露。
更にはラスボスとして『マトリックス』シリーズのコリン・チョウが堂々たる貫禄の悪役ぶりをみせるなどハリウッドにわたったアジアン俳優たちの集大成をみるような豪華さである。
 
肝心のアクション面であるが、武術指導はジャッキーともリーとも交流のあるユエン・ウーピンが務めるだけあり、ワイヤーの手助けこそあるが、二人の超人的な格闘シーンの鮮やかさは流石のひとこと。
 
特に中盤でのジャッキー対ジェット・リーの一戦は世のアクション好きが一度は夢見ていたであろうシーンで、その戦いもスピード、テクニックどれをとっても非の打ち所のない珠玉の仕上がりである。
またその中で二人の得意とする形意拳(虎拳や蟷螂拳など)や酔拳といったマニアにしか分かり得ない攻防戦はカンフー映画マニアであるロブ・ミンコフの面目躍如といえるだろう。
 
更にはこのレジェンド同士の難しい格闘シーンを見事に振り付けたユエン・ウーピンの力量も光る。
 
世のカンフー好きなら夢のようなジャッキーとジェットによるジェイソンへの特訓シーンなども二人の互いのライバル心を煽るかのような演出でコメディ的な感じも見受けられる。
 
ただこの対決が本作としては一番のハイライトであり、他の集団格闘シーンやクライマックスの大乱戦などもあるもののこの組み合わせに勝るインパクトがないのが客観的なところ。
コリン・チョウ対ジェット・リーも武器対決はまだいいが魔法に頼ってしまうと途端に白けてしまう。
 
そしてジャッキーとリー・ビンビンの対決もワイヤーのやりすぎからか本格的なカンフー対決とは言い難く、惜しい感じもする。
何よりクライマックスではさほど目立つ活躍をしていないのに最後の美味しいところを持っていくジェイソンが問題点だろう。
 
何となく場当たり的な小燕とジェイソンの恋愛も必要性があるとも言いきれず、中途半端にしてありがちな展開になったのは話として弱い所でもある。
 
ただリウ・イーフェイのキュートさはひしひしと伝わるのだが(笑)
 
脚本的には中国で昔から伝えられる伝記もの、特に『西遊記』や『酔八仙』『白髪魔女伝』をかなり大胆にミックスさせていて時おり数々のエピソードが織り込まれているが、ファンタジーという描きかたとしては巧くまとめてはいると思う。
 
ただアクションに関してはジャッキー対ジェット以外にももっと本格的なカンフー対決が欲しかった。
そもそもの企画がこの二人をどのようにして効果的に絡ませるかが最重要課題だったと思えるのでこれが最大の売りでありベターだったのだと考えた方がいいのだろう。
 
あとにも先にもこの作品でしか見ることのできないレジェンド同士の対決はファンであればそれだけで観る価値はある話題作といえるだろう。
 
評価…★★★★
(ジャッキー対ジェットそれが本作品の一番の功労ってことで(^^;)
 
気になる作品はこちらからチェック
 
 
ブログアクセス稼ぐならレンタルサーバーに独自ドメインで