仲介手数料、家賃1か月分は違法!?

賃貸住宅を借りるときには、当月家賃・共益費、前払家賃・共益費、保証会社保証料、火災保険保険料、仲介手数料などを支払います。これらは初期費用として不動産屋から明細を提示されると思います。おおよそ家賃の4か月分くらいでしょうか。

2020年1月14日に東京高等裁判所で出された判決では、仲介手数料として家賃1か月分を受け取った仲介業者に返金を命じる判決が出ました。不動産屋が仲介手数料として家賃1か月分を受け取るのは違法なのでしょうか。

 

 

| 賃貸借契約の仲介手数料って?

 

仲介手数料は不動産屋にとって大切な収入源です。賃貸借契約で不動産屋が受け取ることのできる報酬は基本的に仲介手数料だけです。

この仲介手数料のために、お客様のご要望を叶えるお部屋をお探ししてご案内し、重要事項説明書を作成してご説明をしたり契約書を作成したりします。

仲介手数料の上限は法律で決められています。“賃料の1か月分”が上限です。ですから、家賃3万円のお部屋だと、仲介手数料は3万円+消費税3千円で3.3万円です。“大家からも仲介手数料を貰えるじゃないか!”と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、大家さんと借主さんからいただく仲介手数料を併せて1か月分なのです。

詳しくは、“仲介手数料無料のワケ!(賃貸編)”をご覧ください。

 

 

| 仲介手数料のもう一つのルール

 

仲介手数料に関してもう一つのルールがあります。それは、借主さんの承諾がない限り、借主さんからいただく仲介手数料は家賃の半月分です。

“そんな承諾はしたことない”と思われるかもしれません。不動産屋が仲介をするときには、重要事項の説明までに決済の明細書を発行してお渡しします。当月家賃〇〇円、翌月家賃△△円、保証会社保証料××円と書かれている書面です。この中に仲介手数料◎◎円というものが入っています。

通常は、媒介契約の前に明細書を指さしながら一つ一つ説明をすると思います。弊社麻田不動産では、物件のご紹介のときに仲介手数料の金額をきちんと説明をして了承をいただいています。これを怠ってしまうと、借主さんからいただく仲介手数料は家賃の半月分が上限になってしまいます。

 

 

| 東京高裁の判決は?

 

東京高等裁判所で2020年1月14日に出された判決では、仲介業者が借主さんに事前に承諾を得ていなかったということが理由で、受領した家賃1か月分と上限である家賃半月分の差額の返還請求が認められました。

判決によると、“事前に”というのは“契約締結日を連絡した日より前”だとされています。仲介契約が成立したのは、媒介契約書に押印したときではなく契約締結日を連絡した日だとされました。

イメージが沸きにくいと思いますので、賃貸での一般的な手続きの流れをご紹介します。

1 お客様から不動産業者への物件の問い合わせ

2 物件のご紹介、ご案内

3 入居申込、保証会社や貸主の入居審査

4 契約日の設定

5 媒介契約の締結、重要事項説明、契約締結

6 家賃等の諸費用のお支払い

7 鍵の受け渡し、引越し、入居

今回の東京高裁の判決では、借主さんの承諾は、媒介契約の締結時までではなく、契約日の設定の日までに必要だと判示されました。媒介契約の締結はせずに、手数料の支払約定書にサインをしてもらうだけの不動産屋もあります。

大手の仲介業者でもこのようなことをしています。どちらかというと小さな不動産屋の方が丁寧・親切に対応しているのかもしれませんね。もし不動産屋の説明のときに仲介手数料を半月分にして欲しいと申し出ても承諾してくれないのではないでしょうか。ほとんどの場合、大家さんは仲介手数料を負担しませんし、不動産屋にとっては仲介手数料が主な収入源なのですから。

仲介手数料が惜しいと思われる方は、仲介手数料が無料であることを謳っている不動産屋を訪ねるか、大家さんと直接契約をされることをおすすめします。不動産屋が自社物件を賃貸していることもありますし、ジモティのようなサイトで大家さんが直接借主さんを募集していることもあります。

SUUMOやHOME’Sのようなポータルサイトではなく、インターネットを活用して事前に色々と調べてみるとお得になるかもしれません。

今後は、入居申込のときと同時に仲介手数料の支払承諾書にサインをすることになるかもしれませんね。

 

 

| まとめ

 

1 仲介手数料は不動産屋の主な収入源!

2 仲介手数料の上限は家賃1か月分!

3 仲介手数料の支払承諾は契約日の設定時まで!



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