【ライブレポ】ネクライトーキー「デジタルビリビリ演奏会」

 ライブの出来ない期間が続いていて、ストレスが溜まっているのは僕たちもアーティストも同じこと。配信でのライブも増えてきた。

 2020年7月23日(木)、今日はネクライトーキーの行う「デジタルビリビリ演奏会」という名前の配信ライブが行われた。2ndアルバム『ZOO!!』のリリースツアーが初回をやって、残りは中止になってしまっていた彼らにとって、初の配信ライブだった。

 今日は連休初日ということもあってか、配信ライブがとても多い。時間被りでFINLANDSと迷ったけど、全く後悔のないライブだった。その様子を書いていこうと思う。

 頑張ってメモを取りながら見ていたのに、なんとアーカイブが残っている!7月26日(日)までらしいから、まだ見ていない人は先に見てから戻ってこよう!

ライブレポ

 開始前から画面には「デジタルビリビリ演奏会」と書かれた手書きの様な画像が待ち受けている。時々ふわっと影が映ったりするし、やっぱりネクライトーキーはこういうPC系の演出には強いなあと思いながら開演を待つ。ライブは定刻通り始まった。時間を守ってくれるアーティスト・・・好きだよ

 時間になると映像はそのまま、足音の様な音が聞こえ始める。SEが鳴り始め、期待感が高まってくる。スケッチが少し揺れ始め、ここでカメラがパッと引いた。僕らがずっと画像だと思っていたこれは、機材に立てかけて置かれていた一枚のプラカードだったのだ!面白い演出だ。やられたなあと思う間もなくギターのジャーンという音が鳴り、カズマタケイのドラムが始まる。最初の曲は『めっちゃかわいいうた』だ!

 無観客でやっているから、バンドはステージを降りて客席に設置されていた。この曲のMVとほぼ同じ構図でのオープニングにとてもワクワクした。定点カメラはドラムの頭の脇にあるやつくらいで、あとは3台くらいの手持ちカメラで撮っていた。常に動くし、臨場感がある。でもちょっと酔いそう。最初の頃はカメラマンも写っちゃってたりした。

 きっと本人たちはお客さんのいない中、少数のスタッフとカメラに向けてパフォーマンスをするのは変な感じだったんだろうけど、見ている側はそんなこと感じない全力のライブだなと、もっさの歌い出しから安心した。いきなり「今はただの令和元年だ!」と間違えていたけど。

「ありがとう!ネクライトーキーですよろしく!」

 もっさが手を挙げて次の曲は『夢みるドブネズミ』、「放課後の記憶」と続く。新しいアルバムからの曲だ。他のバンドの配信ライブもいくつか見たけど、あんまり歌えていないからかちゃんと声が出ていないライブも少なくなかった中で、もっさは大丈夫そうだった。いつも通り、不安定な音程だった。よかった

 曲が終わるとカメラは朝日さんの元へ。怖い顔しながらカメラに顔を近づけて

「それではお聴きください!ネクライトーキーによる『音楽が嫌いな女の子』」

 早口のもっさ、朝日さんと藤田さんともっさの掛け合い、と楽しい要素が多い。原曲のままなんだけど、これがちゃんとライブでも出来ちゃうのいいなあと感じた。あと藤田さん歌上手いな。目は怖いけど。

 ここで初めてのブレイクを挟み、静かで、少し大人なモードで始まるのは『渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進』弱々しく震えた歌声から、徐々に力強い歌声に変わっていく。続く『ぽんぽこ節』では「人の分際で偉そうに!」と絶叫するパートもある。独特な歌声に満足せず、ちゃんと引き出しがある。決して上手じゃないけれど、ホント魅力的なボーカリストだ。あと、前髪が乱れ出すとちょっと可愛くなくなるな、って思って見てた。

 「次の曲、なんだっけ?」という様に首を傾げたこれは演出。「こんからがった!」と叫んでからはいつものキラーチューンへ。自由にやっている様に見せていて、みんなで合わせる「だっ!」のタイミングとかちゃんと練習してきてる。

 ところでもっさ、ボーカルだから一人だけやたらアップで映されるけど、まあこういうの苦手なんだろうね。カメラ近づくと瞬き増えるしまず目を合わせてくれない。気持ちは凄くわかるよ。でもそういう子にはカメラ向けたくなっちゃうよね。もっと、困らせたいよね。ふふふ

 2度目のブレイクを挟んで『あの子は竜に逢う』ここから後半戦だ。文字に起こすと長えな。

 一番暗い照明で、ギターとピアノの優しい音色から始まる『深夜とコンビニ』ではもっさの震えるような声は静かな曲に合うなと思った。悲しいとか悔しいとかいう感情に似合ってる。『朝焼けの中で』では終盤に「あさやけのおぉぉ」と伸ばしながらマイクから離れる歌い方に見入ってしまった。

 いたずらを思いついた子供のように、そろりそろりともっさが朝日さんに近づく、そう、『許せ!服部』

 いつもなら「許せ!」と「服部!」でお客さんとやりとりをするのに今日はそれが出来なくて寂しい。もっさはこの曲の掛け合いの時だけはカメラ目線になってくれた。

 2番が終わるとライブでは恒例の「ワンツースリーフォー」のやりとりがあるのだが、配信ではお客さんがいない。もっさだけがいつも通りやるのにメンバーがついてこないという演出。悔しそうに腕を振るもっさの表情がこの一番可愛かった。

 スタッフに渡された青い「CD」のプラカードと赤い「ライブ」のプラカードが配信用の新ネタだ。もっさが掲げた方でメンバーが演奏する。「CD」を上げれば音源通りの平坦なリズムになり、「ライブ」を上げるとフルテンションの演奏に変わる。みんな凄く楽しそうだったし、配信ならではの演出に見ているこっちもニヤニヤした。

 「ライブ」のカードだけをもっさが持ってメンバーにかざすとそれぞれのパートソロに切り替わる。ドラムに向けると主導権はカズマタケイ、リズムに合わせてみんなを動かし、途中でスティックを落としてた。ギターを持ったもっさのソロから朝日さんの「ワンツースリーフォー」「許せ!」「服部!」からのラスサビ。ライブで生まれ変わる『許せ!服部』が配信を経てもう一段階進化してきた最高の演奏だった。

 ここで少しのMCタイム。最初は声が小さすぎて何も聞こえなかった。

 グッズの宣伝と東京・大阪での野外ライブの告知だ。朝日さんは

「この辺が僕らの飯のタネになるわけで、お金に余裕があって、こんな5人組トンチキ演奏家集団バンドを応援しようという奇特な方がいれば、買ってください。」

といつものように捻くれたことを言っていた。買おう。みんなも。

 ここで初披露の新曲。ネクライトーキーの曲は大きく分けて、根暗だけど良いこと言ってる系の曲と、底抜けに明るくて意味わからん曲に分かれると思ってるんだけど、これは前者。ミドルテンポの良い曲系だった。さすがに歌詞までは聞き取れなかったけど。

 原曲よりだいぶと長いセッションから、おきまりの「びろーん」ってやつで始まるのは『北上のススメ』この曲出た時はまたわけわからんの作ってきたな、なんて思っていたけど、いつの間にか再生数は伸び、今やこんな主力級の扱いになってる。MVの揃って左右向くやつもちゃんとやってて気持ちいい。

 さあ、終盤の匂いがしてきたぞ。怖い顔の朝日さんがマイクに向けて「スリー」「ツー」「ワン」として、みんなでマイクなしで「ファイアー!」の絶叫。『オシャレ大作戦』だ。今日は「デジタルへへいへい」だった。

 「最後の曲です!遠吠えサンセット!」と叫んで最後の曲に入る。後ろに写っていた、タケイさんのキックに合わせて拳を突き出すむーさんのやりとりがかわいらしくて微笑ましかった。

 曲の終わり、みんなで揃えたじゃーんという音と共にネクライトーキーのロゴにパッと切り替わってライブ終了。ほんとに初めての配信ライブかね・・・余韻の残し方が上手すぎる・・・

 もともとミュージックビデオなんかの作り込みが上手かったネクライトーキーだけに、配信との相性は良さそうだ。ライブの熱量も感じられたし、配信用のアレンジもできる。1時間半もなかったけれど、とても満足感が残った。もちろん生で見たいけど、配信ライブにも希望はあるんだなと思える。

 今回は基本無料、あとは投げ銭かグッズを買ってねという優しいスタンスだった。ちゃんとグッズを買いに行こうと思う。このライブをタダで見るなんて申し訳なさすぎる。

セットリスト

1.めっちゃかわいいうた
2.夢みるドブネズミ
3.放課後の記憶
4.音楽が嫌いな女の子
5.渋谷ハチ公口前もふもふ動物大行進
6.ぽんぽこ節
7.こんがらがった!
8.あの子は竜に逢う
9.深夜とコンビニ
10.朝焼けの中で
11.許せ!服部
12.新曲
13.北上のススメ
14.オシャレ大作戦
15.遠吠えのサンセット

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