「ほら、あそこ!女の子がいるよ~」

 ケンタがタカシくんに、ささやきます。

「えっ?うそぉ!女の子なんていたぁ?」

ちょっぴり、のんきな声を出して、タカシくんは振り向きます。

逆光が当たって、小さな家の窓ガラスは、キラキラ乱反射します。

見上げたタカシくん。

オデコに手を当てて、

「まぶしくて、見えないや」

目をショボショボさせます。

ホント?と、ケンタも同じように目をやります。

「えっ?確かにいるのに…」

窓ガラスにたたずむ女の子は、いつの間にか光の中に、すぅ~っと

溶け込むように、消えていきます。

例えてみるなら…テレビのクイズ番組で、10秒後に、絵が変化します…

というあれです。

確かに見えていたものが、すぅ~っと周りに溶け込むように、

色を失って、消えて行く…あの感じです。

「あれぇ?」

ケンタが思わず声を上げると、

「だから、いないだろぉ?」

タカシくんは、自信たっぷりで、ケンタを見ます。

それでも、ケンタはあきらめきれずに、「え~っ!」と言いながら、

何度も何度も、振り返ります。

 

帰ったら、メアリーさんに聞いてみよう!

ケンタはふと思います。

メアリーさんならきっと、何か知っている。

メアリーさんならきっと、納得のいく答えを話してくれるに

ちがいない…

ケンタは、そう思ったのです。

 

 

 

 

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