「先生も来てたよねぇ~

今頃、あの絵…見てるのかなぁ」

颯太も幾分、うっとりとした表情を浮かべている。

先ほど見た、資料室のたくさんの絵を思い出していた。

「見るんじゃない?」

「やっぱりそう思う?」

裕太と目を合わして、クスリと笑う。

「地図もあるしね!」

「模型もすごかったよね!」

口々にそう言い合いながらも、再び自転車は、先ほどとは逆戻りする方向で…

海岸線へと向かって行く。

「先生も、気付くかなぁ」

興奮気味に裕太が言うと、

「もちろん気付くに決まっているよ!」

颯太はキッパリと言う。

 

坂を滑り降りながら、風を感じて…

心から大きな声で、歓声をあげてみたい…

「なんだかすごいね!明日がとっても楽しみ!」

声をはずませる裕太。

仙人との約束は、明日の早朝だ。

それを思うと、待ちきれない気分だ。

「ねぇ、今夜は…眠れないかもしれないなぁ」

うっとりと、ため息をつくように、裕太が言うと

「それはボクも、おんなじだよ!」

いつも冷静な颯太が、頬を上気させて、海の方を見つめた。

本当にあるのだろうか…

今はまだ、誰の口にも上らない、あの島…

まだ誰の目にも触れていないという、幻の島のことに、

2人は思いをはせる…

「今度こそ、絶対に何か、見つけようね!」

熱く言い切る裕太だ。

 

 

 

 

 

 

 

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