「見た目も性格も、普通のオジサンだよぉ」とジュンペイは言うけれど…
それでも何かが違う、と直感で思う裕太だ。
「だけど、ドローンを作ってくれたんでしょ?」
すかさず裕太が突っ込む。
確かそんなようなことを、ジュンペイが言ってたなぁと思い出したからだ。
「ドローン?」
一瞬、ポカンとするジュンペイなのだが、すぐに「あぁ」とうなづくと、
「あの人ねぇ、釣りだけでなくて、実は機械いじりも好きなんだよねぇ」
新たな情報をさり気なく言う。
「えっ」
「手先が器用なんだろうなぁ」
1人納得したように、うなづくジュンペイを見て…
じゃあこの人は、なんでもできるのだろうか、とさっそうと船を操縦する姿を思い起こしていた。
「なんか、スゴイなぁ」
おおよそカッコイイイメージではないけれど、裕太は思わずそう漏らす。
見た目とのギャップが、はなはだしいけれど、案外スゴイおじさんなのかもしれない…
「あのオジサン、ちっとも仕事をしてなさそうなのになぁ」
ボヤクように裕太が言う。
するとジュンペイが、ガバリと顔をこちらに向け、
「そう、それ!」
むしろ楽しそうに、ジュンペイが指を突き出す。
「いつ行っても、『ただいま、休憩中』になっててさ、留守なんだよぉ。
だからね、自転車の修理は、入り口に自転車を置いといて、
そこに置いてあるノートに、名前を書くんだ。
そうしてね、また時間をおいてのぞきに行くと、出来上がってる…というシステムなんだ」
「なんだそりゃ!」
そんなこと、聞いたこともない、と思う裕太だ。
だけどあのオジサンなら、それくらいやりかねない、とそう思い、
ジュンペイの言葉に、やっぱりそうなんだ、と納得するのだ。
「でもボク…配達、してもらったよ」
思わず裕太が口をはさむと、
「そうそう!」
なぜだか嬉しそうに、ジュンペイは手をたたいた。