ここでは、JCを振り返ってみたいと思います。

 

JC

1着・アーモンドアイ

父ロードカナロア、形相遺伝として影響が強いのは母と診ています。

ローテ的体力は料的遺伝3.50であり、激走後は中6週程度は必要。

 

桜花賞、オークスを圧勝し、最も紛れが生じやすい秋華賞も差し切って勝利し、三冠牝馬となった本馬。初の古馬対戦が年度最強馬決定戦のJCとなりましたが、古馬が霞んでしまう驚愕のパフォーマンスで快勝、最強馬の称号まで手にしました。

1枠1番に入ったことで嫌味が付いた面もあったかと思いましたが、道中何と2番手追走という走りを見せ、不安を一蹴して見せました。逃げるキセキが天皇賞秋と似たようなタイトな流れを作ったことにより馬群がばらけ、包まれてしまうようなこともありませんでした。

前半5Fが59秒9、残りの7Fを1分20秒7という通常の1400m戦のようなタイムで走ったわけですが、春開催同様に開催が進むにつれて高速リンク化した馬場の影響が多分に大きかったものの、これに対応して見せた能力は凄いの一言です。

 

そして、私が驚いたのはそのパフォーマンスもさることながら、叩き出した2分20秒6という驚愕の世界レコードでした。

これまで芝2400mの世界レコードは、1999年にアルゼンチンのカルロス・ペレグリーニ大賞という「南米の凱旋門賞」と言われるレースで Ashideroが出した2分21秒98とされていましたが、これを大幅に更新するタイムです。

JCで言えば、ホーリックスがオグリキャップとの壮絶な叩き合いの末に2分22秒2というタイムを出した際はかなり話題になりましたが、今回の大幅更新には本当に驚きました。

 

本馬の血統面についてはこれまでも触れてきましたが、形相遺伝の対象である母・フサイチパンドラの遺伝背景について更に調べてみると母母父Buckpasserから入ってEquipoiseに繋がるところを形相遺伝の背景に持っています。

本馬が左回りのオークスとJCで位置取りの良さを見せていた一方、右回りのレースでは後方からの位置取りになっていたのは、この米国血統を遺伝背景に持つことに由来するものと診ています。

そして、BuckpasserもEquipoiseも米国的なスピード豊かな血統であり、日本の血統にも大きな影響を与えていますが、本馬が今回驚愕のレコードを叩き出した源泉と診ています。

この遺伝背景に父ロードカナロアを迎えて本馬が出来ているのですが、父と形相遺伝背景の血の特徴・キャラクターが合致していることが本馬の強さの要因の一つと言えるでしょう。

血統表を調べているとよく見られるケースとして、形相遺伝背景と父母の血の特徴・キャラクターが噛み合っていない場合、結局中途半端な走り・キャラクターで終わってしまう傾向が強く、そしてそのような馬がなんと多いことか・・。

折角の血統が勿体ないというケースがとても多いのですが、本馬の場合はその意味では良い配合例と診ることができます。

 

さて、これで本馬は3歳にして国内最強馬となり、国内に敵はいなくなりました。

どうやら春はドバイ、秋は凱旋門賞が目標となるようですが、どのような走りを見せるのかが本当に楽しみです。特に凱旋門賞は日本のホースマンの悲願ですので大きな期待がかかるでしょう。

しかし、今年日本から道悪得意のクリンチャーが参戦した際は、芝丈が短く刈られていたり、当日雨が降りましたが馬場が硬めだったりと、やはりアウェイの厳しさを感じました。本馬が参戦する来年は恐らく芝丈は長く、馬場は水を撒いてでも重くしてくるでしょう。アウェイを跳ねのけて活躍することを期待します。

 

今年で38回目を迎えたJCですが、平成最後に凄いレースが繰り広げられて大いに盛り上がりましたが、平成が終わるとともに、実質的に国際招待競走としてのJCは終了したと思います。

その理由は、今回の驚愕の世界レコードを叩き出した馬場、そして日本で走る以上、日本馬のレベルには敵わないからです。

2005年にアルカセットが勝利したのを最後に外国馬の勝利が無く、海外のホースマンも異次元空間と言えるJC参戦を避けていましたが、今回の驚愕レコードを目の当たりにし、このような高速リンクでは馬を走らせようとは思わないでしょう。

特に今年は、欧州競馬に大きな影響力を持つオブライエン調教師やライアン・ムーア騎手が参戦し、レース後に「馬場が硬すぎる・速すぎる」というコメントを出しています。

もうアゴ足付きの招待であっても外国馬が来日することはなくなり、日本馬のみによる年度最強馬決定戦となるでしょう。

創設当時、秋枯れの茶色い芝を見た海外のホースマンに「ターフはどこにあるのか?」と酷評されていましたが、馬場管理技術の向上により芝は冬でも緑青としていますが、皮肉にもこのことがガラパゴス馬場を造ってしまったと言えます。

いずれ、廃止となったJCダートのような末路を辿るのではないでしょうか。


さて私のコンテンツ「重賞分析極秘ファイル」は、平地重賞を対象として、レースの主要な出走馬について血統ペース理論及び中島理論の観点から、どの馬が有力なのか、どの馬が危険なのか、主要馬を中心に診断した上で穴馬を含めて予想する内容のコンテンツです。

JCでは昨年の覇者シュヴァルグランに期待していましたが、この高速決着に対応し切れませんでした。

いよいよ今年の競馬も師走に入ります。引き続き頑張って分析及び予想していきたいと考えております。

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今日はここまでです。

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