slowly

Watabera Miscellaneous Notes

人生やめてません

オタク、タイに行く。

 

タイのバンコクに行った。

 

バンコクは臭かった。それは大体生ゴミとドリアンと排気ガスの臭いで、道路沿いには常に灰色の粉塵が舞っていた。マスクもなしにこの空気で生活すれば呼吸器を痛めることは想像に易かった。

 

バンコクは臭かった。が、それはネガティブな意味ばかりでなく。バンコクの臭いは人間の肉や人間の生活の臭いだった。路地の隅から屋台の奥から生物としての人間の臭いが立ち上がっていた。人が生きている証左を僕は外国に来て初めて見つけた。(自分はタイの1/10000も見ていない。秋葉原だけ観光した外人が日本を理解したと言っても多数の日本人は顔をしかめるだろう)

 

ともかく、バンコクでは人間と欲求と生活はまだ切り離されていなかった。欲求は人と人との間を建前に包まれずに行き来していた。ある者は観光客に思い出を押し売り、ある者は明確にセックスを売っていた。そこに面倒な体裁はなかった。もっとも、この衣着せぬ欲求の誇示は金の動く観光客向けの世界でしか見られず、タイ人同士のやりとりはもう少し穏やかなものなのかもしれない。しかし、少なくとも自分が見たバンコクは、紙幣から汗の臭いがするほど人と欲とは隣人であることを憚らなかった。

 

別にこれが人間の元の姿なのか、或いはタイの国民性なのかは僕には分からない。前者なら三度の飯より建前が大好き日本人も、社会の枠や殻をカンカン削ってやれば欲望でキャッチボールできるのかもしれない。

 

バンコクの人は生きていた。観光客の金を食って生きていた。近寄る観光客を貪欲に狙い、一人は大声で、一人は憐れさで人間から食費を錬成しようとした。白人にはハロー!を、平たいアジア人にはニーハオ!かコンニチワ!を。話が性に傾くとキャッチはもっと過激になる。日本人男性を見たら「チンチンマッサージ!」と言っとけばOKなのだ。

 

何よりその生きている感じが、Twitter発達障害者同士の罵り合いを日がな眺める自分には思わず遠いところにあって、初の海外渡航で少し目の覚める思いがしたのだった。文系就活生もビックリのテンプレ意識高い系で恥ずかしいが、感じたものはしょうがないので書いておいた。

 

 

タイ人(夜職)のおっぱい、デカかった!!