KING NINE(キング・ナイン)
『Death Rattle(デス・ラトル)』

Death Rattle

 

ニューヨークはロングアイランド出身のニュースクール系ハードコア・バンドの2作目。このバンドもニューヨーク・ハードコアの伝統を大切にしたバンドの1つである。MADBALL(マッドボール)からALL OUT WAR(オール・アウト・ウォー)、Merauder(メラウダー)を経たパワー・メタルとヒップホップ色の強いニュースクール系ハードコアから進化したバンドだ。

 

ギャングのような路地裏の匂いがするノイジーで音の厚みのあるパワフルなギター。しっかりとしたリリックで歌う扇情的でエネルギッシュなヒップホップの歌いまわしのボーカル。スピード感よりも緊迫感を刻むミドルテンポのリズムのドラム。シリアスなムードの重低音に重点を置いた迫力あるサウンド。何よりこのバンドの魅力はいろいろなタイプのハードコアな曲がある部分にある。メタルとヒップホップを掛け合わせたALL OUT WAR(オール・アウト・ウォー)やMerauder (メラウダー)のサウンド路線をさらに強度が増した曲から、スローテンポから急激にピッチが速くなる曲。シリアスな空気が印象的なイントロだけの曲。ヒップホップの掛け合いの曲から、94年以降のニューヨーク・ニュースクール・ハードコアのいろんなタイプ曲を演奏している。ニューヨークハードコアの伝統にリスペクトと継続。それがこのバンドの特徴といえるだろう。

 

インタビューで「すべての人は自分の楽園に行くために地獄を通過しなければならない」という発言通り、地獄のような修羅場を乗り越えてこそ天国たどり着けるという考え方を持っている。そこには、被害者意識がみじんも感じられないアグレッシブさと、ストイックさと、戦う闘志に満ちている。ニューヨーク特有の不良の匂いがする攻撃的なハードコアな作品だ。