介護現場の実際

介護士が認知症を患う利用者に絶対やってはいけない対応

介護士が認知症を患う利用者に絶対やってはいけない対応と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは虐待では無いでしょうか?

心理的・経済的・身体的など色々ありますが、認知症の方は被害を訴えにくい為、認知機能が衰えていない高齢者に比べ、グレーゾーンを含めて被害に遭いやすいです。しかし、このサイトを訪問して下さっている方々は、そんな自明の理を今更説かれても、、と思われると思いますので、今回は実例を交えて介護士の対応1つで如何に認知症を患う利用者の行動が変わるかを話しそこからしてはいけない対応を導きたいと思います。

ステレオタイプとおざなりな対応

認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲa、90代の女性の事例です。この人は混乱時の大声などで周囲との関係性は良くなく、職員からも不評で一部の職員に至っては対応がおざなりになってもいました。

私は認知症介護実践者研修の自施設実習でこの人を対象にして、2週間役割を持つプログラムを実施しアルツハイマー型認知症に関することも職員に周知した結果明らかにBPSDが減退しました。

その後2週間プログラム後にお礼など存在を肯定する声掛けを加えて実施したところBPSDの頻度・程度が相当消失しました。

この実例から読み解けることは、認知症利用者をステレオタイプで見てはいけないという事です。

そしておざなりな対応は、訴えを聞いてもらえていないということですから不快感を利用者に植えつけてしまいます。

近時記憶が障害されるアルツハイマー型認知症の利用者でもその場の不快感は分かりますし、近時記憶を司る海馬と不快感を司る扁桃体は近くに位置しており、不快感だけが残る状況に利用者が置かれる事になります。

何があったかは分からない又は、何故だか分からないけれども不快な感情だけ残っている状態を想像して下さい。認知機能が衰えていない健常者でも非常に不安定な状態だと推察されますね。判断力や色々な機能が減退している認知症利用者をこの状態におけば、BPSDが増悪するのは想像に難くないことと思います。

つまり、ステレオタイプで認知症利用者を見たり、おざなりな対応を行うというのは認知症利用者のQOLを著しく低下させる行為です。これは介護士の使命の真逆を行くことになってしまいます。

これこそ介護士として絶対にしてはいけない行為ですね。

専門職として、脳の構造や認知症のことを理解した上で認知症を患う利用者の支援に関わるようにすれば、自然と認知症利用者に絶対にしてはいけない対応をしてしまうことは避けられると思います。

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