ネット上の練習メニューから強度を推し量る時、流しの強度によって強度が変わり、どうにも活かしにくいと感じた。
僕の中で「流し=全力走よりリラックス、ジョグより速く」といった曖昧な定義であり、ここをどうにかする必要があると思った。
そこで、流しの強度を再定義しようと思い、アンケートを実施した。

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■アンケートの結果は「70%~90%強」に幅広く分散
twtter上にてスプリンターの方々にアンケートを取った結果、以下の結果になった。

質問内容:流しのタイムは、100mベスト比でどのくらいの値になっているか?
回答結果
・90%以上:23%
・85%~90%:29%
・70%~80%:31%
・70%以下:17%
(回答数:35)

20200518_ws


僕のフォロワーのスプリンターの方々は、社会人がメイン。
つまり、スプリントに熟達した方々が多い、とも言える。


■主観強度が低くても思った以上にタイムが出ている
主観強度が70%程度でも、ベスト比で90%近い速度が出ているようだ。

ある論文(※1, ※2)によると、努力度と速度の関係は以下の通り。
・努力度70% ⇔ 速度90~92%
・努力度80% ⇔ 速度95~96%
・努力度90% ⇔ 速度97~98%

つまり、アンケートの結果は「流しはベスト比90%以上の速度で走っている」と同じ、と言えなくもない。


■流し=フルスプリントを模す中で力をできるだけ抜いて走っている(?)

また、上記の論文(※1)によると、努力度が60%程度では、フルスプリント時の動作と比べて動作の乖離が大きくなるようだ。
具体的には、遊脚の引付けが遅くなる。
 
上記の2つから導き出せる結論として、
・流しをする際は、フルスプリント時の動作が崩れないようにしている
・その中でなるべく省エネ的に走っている

これより見出せる点は、「練習効果を最大限に高める」「体力をなるべく浪費しないように気を付けている」ということ。


最後に、僕のアンケートの問題点を挙げる。
それは、「流し」という言葉の定義がまだまだ広い、ということだ。
ウォーミングアップの流しと本練習の流しでは強度は異なるだろう。
流しの目的がフォームチェックなのか、リズム確認なのか、はたまた予備負荷なのか...

なので、流しという言葉の定義を狭めて、再度アンケートを取りたい。


■僕の練習にどう生かすか?
以下の2点を心がけていく。
・主観強度70%、80%の2点を「流し」の基準とする
・他人の練習メニューから強度を推測する際、流し=80%強のスプリント走、と置き換えて考える


※1:スプリント走における主観的努力度の違いが疾走速度,ピッチ・ストライド,下肢動作に及ぼす影響(スポーツ方法学研究 2005-03 巻18 号1 ページ61-73)
※2:短距離走における主観的強度と客観的強度の対応性 -中学生男子を対象として-(スポーツ教育学研究 1997. Vol. 17, No. 1, pp. 29-36)