#303 落語のデータあれこれ | 鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

1956年に落語に出逢い、鑑賞歴50余年。聴けばきくほど奥深く、雑学豊かに、ネタ広がる。落語とともに歩んだ人生を振り返ると共に、子や孫達、若い世代、そして落語初心者と仰る方々に是非とも落語の魅力を伝えたいと願っている。

落語に関するデータを整理しておこう。

【古典と新作】

 「古典落語」とは「明治期までに原型が成立し、戦前まで(1945年以前)に演出が確立したもの」というのが一般的な定義とされている。従って、戦後に創られたものを「新作落語」と呼んでいる。終戦を境にして日本人の生活様式や社会構造が大きく変わったことと関係があるようである。

古典のほとんどは作者不詳でいわゆる著作権というものがないから江戸時代以来、多くの噺家によって様々な演出の工夫がなされてきた結果、洗練された風格が感じられるものに仕上がっていると言えよう。

しかし一方で、戦前までの日本の文化や体質をベースにしているから古臭いというイメージは避けられず、戦後生まれの人には理解してもらえないという弱点も持っている。この弱点を如何にカバーして現代社会に溶け込ませて行くかが現在の落語家の大きな課題であろう。

 

【演目数】

落語の演目数は一体幾つあるのか? 新作が次々に創作されているから特定は不可能であるし、意味がない。だが、古典は限りがあるから特定は可能であるし、興味のあるところである。ただ、消えていった古典も多いので難作業となろうが、一つの研究テーマであろう。

古典を専門とし、最も持ちネタの多かったと言われる五代目志ん生200題位であったというから上方ものと合わせると350題程度が現在に伝わっている古典数かなと思っている。私が落語を鑑賞する上で参考書としている矢野誠一著「落語讀本」(198912月刊行 文春文庫)では303の演目が採り上げられている。

 

 

 

 

 

【落語家数】

2020年時点で東西合せて800名を超える落語家がいると思われる。10年ほど前に調べた時は650名程であったから、日本の話芸の中で衰退傾向にある講談、浪曲や漫才に比べて落語は意気軒昂、時流に乗っているという感じがする。同慶の至りである。

 

【寄席】

 江戸時代には170軒を超える寄席があったそうである。そして、落語の最盛期は明治中期であったというから、その頃にはもっと多くの寄席があったと思われ、今では考えられない程の盛況ぶりであった。しかしその後は減り続け現在では10軒にも満たない程になっており、私が知っているいつも落語が聴ける常設の寄席は次の通りである。

新宿末広亭、上野鈴本演芸場、池袋演芸場、浅草演芸ホール(以上東京)それに天満天神繁昌亭(大阪)である。

 

※2020.06.15追記 読者様より常設寄席として兵庫県の神戸新開地・喜楽館を御紹介賜りました。jokotama様ありがとうございました。

神戸新開地・喜楽館 https://kobe-kirakukan.jp/

 

 

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