プリプロダクションプロダクション映像ハック

プロダクションをスムーズに動かすために必要な香盤表(Daily Call Sheet)ってなんだ?

映画やコマーシャルなどの映像案件は規模によりますが、基本的に多くのクルーと数日から数ヶ月の撮影期間が必要になってきます。

脚本のシーン順に撮影していくことも出来るものの、同じタレントやロケーションが複数のシーンにある場合は何度も同じ所に戻る必要があるので、あまり理想的とは言えません。

またシーンによって必要な小道具やタレントの情報も把握しておくことも大事です。

シーンごとに必要なリストが無いとプロダクションがカオスになってしまうので、それを防ぐために撮影前にはしっかりとスケジュールを組む必要があります。

香盤表(こうばんひょう)はそんなプロダクションに必要なスケジュールや撮影クルー、タレントそして小道具などをまとめた書類で、プリプロダクションに欠かせないツールの一つになっており、主にプロデューサーによって作成されています。

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所属する制作会社や国、テレビや映画などの業界などによってテンプレートが変わってくる場合もありますが、「撮影日の詳細やスケジュール」を記載している点については同じです。

今回はそんなプロダクションをスムーズに動かすために必要な、香盤表について詳しく紹介したいと思います!

香盤表とは?

香盤表は演劇や映像プロダクションで主に使用されるドキュメントの一つで、出演者の配役や撮影クルーのリスト、小道具、衣装などの作品に必要な美術のほか、1日の撮影スケジュールが細かく一つの表に書かれています。海外ではDaily Call Sheet(デイリー・コールシート)またはCall Sheet(コールシート)と呼ばれています。

一般的にプロジェクトの全体的なスケジュールを決め、日毎に分けた後で香盤表を作成します。

作成された香盤表を元にプロダクションが進められていく訳なのですが、スケジュールの管理はプロデューサーやプロダクションマネージャー(PM)、アシスタントディレクター(AD)などが遂行します。

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「1日ごと」のスケジュールであるため、20日間のプロダクションであれば20日分の香盤表が必要となります。そのため、天候やなんらかのトラブルで撮影日程が変更された場合は新スケジュールに対応する香盤表をすぐに作成しなくてはいけません。

香盤表なしではその日の撮影は進められないので、必要なものは全て記入するようにしましょう。

香盤表に含まれる情報

基本的にスケジュールなどの情報が含まれている香盤表ですが、制作プロダクションや国によって記載する情報やテンプレートが変わってくる場合があります。

筆者がこれまで見てきた香盤表を元に、記載しておくと良い項目をリストアップしてみました。

絶対に必要な項目

  •  撮影日と日数カウント – 撮影日: 4/19/2019、4日目など。日数カウントを含める理由は長いプロダクションだと後何日あるのか簡単に確認ができるようにするため。
  • 集合場所 – キュリオシーンオフィス前: 東京都XXX区、1-2-3など。建物名だけではなく住所もしっかり記載しておくと、初めて来るタレントやクルーにも安心です。
  • シーン番号と詳細、備考欄 – シーン番号はS-10など脚本を元に番号付けし、詳細では(2人のベンチ談笑など)シーンの概要を含めます。備考欄ではそのシーンに必要な小道具や衣装、撮影の詳細などを含めると良いでしょう。
  • ロケーションと昼夜 – 「海辺」などシーンのロケーションに加え、そのロケーションが昼か夜のシーンなのかを追加します。
  • タレントと配役 – スケジュール項目とは別に出演するタレント名と配役を記載します。
  • 時間ごとのスケジュール – 各シーンのスケジュールを11:00-13:00など、時間割で作ります。撮影のみならず食事や移動、解散の時間も必ず含めましょう。
  • プロデューサーまたはADの連絡先 – 撮影中にタレントや他のクルーが連絡ができるように緊急連絡先を記載しましょう。

あると良い追加情報

  • クルーやタレントの連絡先 – プロデューサーなどに連絡が取れない時に他のクルーの電話番号やメールアドレス、役職などの詳細があると良いかもしれません。
  • 撮影時間 – 撮影するシーンが何時間かかるのかの詳細があるとより解りやすくなります。
  • ロケーションのマップや詳細 – 集合場所やシーンに必要なロケーションのマップや写真、照明に必要なコンセントや撮影ポイント詳細があると良いでしょう。
  • ショットリストまたは絵コンテ – シーンに必要なショットのリストや絵コンテが含まれていると撮影時、大いに役に立ちます。
  • 衣装、小道具リスト – 先ほどの備考欄とは別に撮影日に必要な衣装や小道具を一つのリストにしてまとめます。)

追加情報を含めると情報量のある香盤表が出来上がるものの、ページが多くなるので注意が必要です。

撮影クルーやタレントのリストはあえて香盤表には含めず、別のリストにしてADやプロデューサーが管理するドキュメントとして分けるのも良いかもしれません。

小さいプロダクションやタイトなスケジュールの場合であれば「絶対必要な情報」にある項目だけで十分機能する香盤表が完成すると思います。よりシンプルに正確な情報が書いてあればベストです。

香盤表のテンプレート

香盤表は一つのテンプレートはなく、様々なデザインが多くのプロダクションで使用されています。下の例では筆者がプロデューサーとして香盤表を作成する際に使っているテンプレートを紹介したいと思います。

こちらではプロジェクトとクライアント名を一番上に記載し、その下には撮影日と日数カウント、集合場所を含めています。

一つ目の表には撮影クルーとタレントリストの詳細が、2つ目には1日のスケジュールがあり、最後の項目には衣装や小道具が簡単なリストとして記載されています。

筆者のテンプレートだと2ページ程度になりましたが、必要最低限の情報であれば1ページで収まると思います。

そして下は日本のフォーマットに合わせて筆者的に見やすい香盤表を作ってみました。

内容はほとんど同じではあるものの、こちらのテンプレートではクルーやタレントのリストはあえて入れていません。

こちらの香盤表ではセットの種類(ロケーション(L)、ロケーションセット)と昼夜のシーン(昼(D)、夜(N))の項目が加えられています。

いずれも下のダウンロードリンクから入手できるので、このテンプレート(Word形式)を使用したい方はぜひダウンロードしてプロダクションに活用してみてください。

香盤表(デイリー・コールシート)は撮影前に準備する必要があるので少々面倒ですが、プロダクションで大いに役に立つ重要なドキュメントであるため、絶対に用意しておく事をオススメします。

次回の記事では香盤表を作る際に考えておきたいスケジュールや香盤表の作成方法を詳しく紹介していきたいと思うので、ぜひチェックしてみてくださいね!

素材のダウンロード

このチュートリアルで使用した素材やプロジェクトファイルは全て上記ボタンからダウンロード可能です。個人プロジェクトはもちろんのこと、商用利用も無料なのでカスタマイズしてプロジェクトに追加してみてください。(コンテンツの使用について詳しく見る)

(MIKIO)

MIKIO

小学生から映像制作に興味を持ち、15歳の頃に部活のメンバーと自主映画を制作。後にフィリピン、セブ島に移って現地や海外の企業向けにTVCM、VPといったコマーシャル制作を提供。現在は帰国し、福岡で映像制作などをしています。主に撮影や編集を得意ですが、案件によってはディレクターやプロデューサー行うこともあります。

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