大相撲データアナリストの大相撲日記

大相撲データアナリストの横尾誠が大相撲のデータ分析を中心に大相撲についていろいろと語ってまいります。
不定期で「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」SPAIAに寄稿中
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常々言っているが、簡単にクビにするな、とは思っている。
だが、責任ある立場にいる者は別だ。

確かに行為そのものは暴力と言っても非常に軽微なものであると言って良さそうではある。
だが、それでも「退職」を求める必要があるのが、今の大相撲の状況ではなかろうか。
そんな中、拓郎擁護派の意見は、かなり同情という情の部分が大きいように見え、それが拓郎という立呼出の人徳なのかもしれないが、ここに情を持ち込んではいけない。

そしてその中には、かなり危険な擁護意見も見られた。
特に多く見られたのが、たいした暴力ではない。この程度で暴力と言っていたら、何も指導が出来なくなると言った意見。そしてそれ以上に、看過しがたいのがそもそも客席で弁当を食べていた序二段力士が悪いという意見だ。

確かに客席で弁当を食べていた(ただしこれは開場前の話である)というのは確かに叱られて当然の行為かもしれないが、だからと言って手を挙げることが許されるのか。これを主張されている方は、もはや指導のためには多少、手が出ることは致し方がないという論者なのだろう。そして、非常識なやつは手を挙げられて仕方がないとも思っているのだろう。

これを相撲ファンが肯定しているようでは悲しい。
これから相撲の世界に限らず、社会に出ていく人たちはそういう環境下で育てられているのだ。私自身も本職では部下を持つ身であるが、それを踏まえた上での指導、教育が求められている。手を挙げるなんていうのはご法度である。

相撲の世界を一般社会と同列にしづらいという意見もあるわけだが、一般の人、それも早い人は中卒。遅くたって力士であっても20代前半で入ってくる世界だが、それでもそこまでは一般の人として、義務教育を受け育ってきているのだ。そこ年齢までに見てきた社会から得た知恵だってある。そしてその年齢ならではの感性というのを持ち合わせている。そこに、40代、50代の理屈を持ってきても通用させるのは難しい。

とにもかくにも「暴力決別宣言」が出ており、相撲協会は公益財団法人として社会的にも優遇されている立場にもある。それ故、相撲協会は社会的責任というのも果たしていかねばなならない。

すぐには変われないという意見があるのも理解はできる。
いきなり、この日を境に変わりました。皆さん変わりましょうね、と言って人間の性格なんて変わるものではない。だが、そんな中でも変えていかなければならないし、その責をを負うのはトップである。そして拓郎は呼出の中ではトップにいた人間なのだ。

もちろん、さすがに無罪放免にしろという意見は直接的には聞かない。だが、「指導のためには致し方がない」と考えているのであるのなら、その理由からは逆に「処分することが出来ない」だろう。多少なりとも、なんらかの処分はあってしかるべきだが、退職するほどではないという意見はまだ理解はできる。

だが、それでも私は「自主退職」が妥当と考える。ただし理事長含めて、理事層にも多少なりの処分を科すということも含めて。

それはなぜか。
一言で言ってしまえば、立呼出だからということになるのだが、それには理由はある。
大前提として大相撲の世界が暴力撲滅に動いてる渦中にあるということだ。
そんな中、トップがいなくなるということは重い。その重さをどれだけ感じさせられるか。ここで、今までの実績がある、人望があるとう理由で、当人から出された退職届を受理もせずに、より軽い処分で終わらせたらどうなるか。

結局は、身内に甘いという批判はもちろん、「実績を残せば多少の暴力は許される」ということにもなってしまうのだ。

これは暴力に限ったことではない。
裏方の不祥事という点では、なぜに40代伊之助のセクハラ問題で、退職願をすぐに出さずに「謹慎期間を与えてから受理したのか」という点だ。これは「謹慎を与える」ことに意味があった。要するに、何らかの処分を与えないと示しがつかないという表れである。私は今回もこれと同様の処分になるのではないかとも推測している。だが、それでも伊之助は相撲協会というか、相撲博物館の職員として働いている。これが相撲協会が行っている「罪滅ぼし」でもあるのだ。なので、40代伊之助の行為は許されることではないが、決して、見捨てていたわけではないのである。それは先日の貴ノ富士の一件でも処分を与えずに、しかも期限を設定せずに謹慎を続けながら「引退届の提出」を促したこと、古くは、双羽黒を破門相当としながらも「廃業届」で、やはり自主的に引退という道にさせてあげたことからもうかがえる。

だからこそ、それを行うことが、相撲協会が今できる、社会に対しての責任なのだ。
たとえキャリア、実績があろうとも、暴力を起こしたものに対して。それも上位者であればなおのこと厳しく処する。それを社会への「メッセージ」とすることが、相撲協会の暴力撲滅への取組が出来ていることを示すことにもなるのだ。

だが、そんな拓郎を擁護している方たちは、今の相撲協会が「暴力決別」に動いているということを忘れてしまってもいるのではないかとすら思う。

そして、暴力と決別できない相撲の世界になってしまえば、結局昔と変わらないという印象を与えるだけで、そこに進路として子供を預けようと思う親御さんが減っていく。そうなれば、人材の確保は困難になり、私たちが、楽しみたいと思っている大相撲の世界、力士はもちろん裏方さんたちも含めて、成り手がいなくなってしまうのだ。それは果たして健全な状態と言えるのだろうか。

だからこそ、トップが起こした不祥事。それが世間一般でも「軽い」と認められるような暴力であっても、手を挙げたら終わり。指導が困難なのも分かるが、それでも手を挙げてはいけないというのが今の時代の流れなのだ。そんな中、トップを温情で許していたら、それこそ大相撲の危機なのだ。

それでも拓郎を残すべきなのか。
そういうご意見があるのなら、是非、真剣に伺ってみたいものだ。



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コメント

 コメント一覧 (4)

    • 1. いぬしま
    • 2019年10月18日 02:21
    • 文がたくさんあり論点がごちゃっと…よくわからなくなってきていますが

      擁護の意見の根元に「これは暴力と言えるのか」という論があると思います。著者様の話には「暴力である」が前提としているようです。

      擁護派の批判をされようとしていますが、話している段階がことなっており、「的はずれ」なのではないかと思ってしまいます。
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    • 2. 年齢的に
    • 2019年10月18日 19:52
    • 拓郎は63ですから、ここで辞めようがあと1年半停年まで続けようがあまり変わらないかもしれませんね。
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    • 3. 竹
    • 2019年10月18日 21:51
    • とにかくコンプライアンス委員会の調査の結果を待とう。拙速な処分で一人の人間の運命を変えてしまうことは避けてほしい。
      毎場所前、相撲協会公式ツイッターは「土俵築」を連続ツイートする。「もうやってることはいつも変わらないのだから、必要ないだろう」という意見もあるが、裏方に日を当てることでなにかを主張しているのではないか。

      今回の事件で、今まで知られていなかった闇の部分が明らかになる可能性がある。立呼出の退職で終結してしまってはいけない。
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    • 4.  
    • 2019年10月20日 12:02
    • 力士は「個人事業主」ということで概ね異論はないと思いますが、床山や呼出も「個人事業主」なのでしょうか。
      もし「労働者」扱いなら、労働関係の諸法令、法令に準拠して策定されたはずの就業規則を超える処分は、認められないはずです。

      (私はどちらが正しいのか知りません。以下は「労働者」の前提で書きますので、そもそもの前提が間違っていれば、以下は全部誤りになりますが、ご容赦ください。)

      「相撲界は特殊なので、多少の暴力は容認される」などという一般社会の法理や常識と乖離した論理は、もはや絶対に認められません。
      ですが、労働者への懲戒処分もそれと同様であって、法令や就業規則を超えた処分を行うことは、決して容認されるべきではありません。

      ですので、今回の処分は「法令や就業規則」のみに則って行われるべきであり、根拠無く処分を加算する等ことは、あってはならないと思います。

      会社勤めのサラリーマンの方は、自分が会社で不手際を起こしてしまった場合を思い浮かべていただきたいですが、「被害者でもない、その会社の社員等でもない、全く無関係の第三者」から「あいつは解雇だ、自主退職だ、停職10年だ」などと勝手気ままに言われれば、釈然としない思いをするのではないでしょうか。

      力士は、第三者に向けて興業を行う仕事をしているのだから、第三者からの声にさらされるのも多少はやむを得ませんが、床山や呼出を同列に扱うのは少し違うように思います。
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