もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

アフガニスタン内戦の再燃に思う

2018年08月19日 | アメリカ

 内戦が続くアフガニスタンで、タリバンの大規模再攻勢が報道された。

 同内戦では断続的に内戦終結の和平交渉が行われてきたが、タリバンが現在のアフガニスタン政府を認めないと主張するために2015年以降中断されていた。しかしながら、これまでタリバンとの直接対話を拒否してきたアメリカが方針転換して、7月下旬に国務次官補がタリバン代表と会談したことから和平交渉の進展が期待されると観測されていた矢先の出来事である。攻撃は和平交渉を有利にするための支配地域拡大の意味があるとも見られているが、本当のところは分からないのが実情であると思う。この際にと思ってアフガニスタンの内戦の歴史を改めて調べてみたが、内戦の萌芽は既に1964年のアフガニスタン人民民主党(共産主義政党)誕生に見られるように思う。以後、同党主導の反政府運動が活発化して1973年のクーデターによって立憲君主制崩壊・共和制誕生で第1幕が終わった。しかしながら、共産主義政権も国内の民族対立とイスラム原理主義者の台頭に有効な解決策を見出せずに、1979年にはソ連の軍事介入を要請し、第2幕とも云える12年間に及ぶ泥沼のアフガン戦争に発展した。第3幕はソ連の崩壊によってソ連軍が撤退した後、パキスタンと中東諸国が支援するタリバン勢力が無法状態の治安を回復したために国民から一応の評価を得たが、極端なイスラム原理主義支配と9.11テロを始めとする国際テロはアメリカ主体の西欧有志国連合との戦闘に発展した。現在は第4幕とも呼ぶべき内戦終結への努力時期ともとれるが、半世紀以上も混乱したアフガニスタンでの内戦が収束して平和が訪れるとは到底思えない。

 国外に逃れた難民は600万人以上とも云われ、内戦における死者は統計すら見当たらない状態であるアフガニスタン。全世界のアヘンの6割を生産しアヘンの関連の収入がDGPの3割に達する最貧国アフガン。我々から見ると「内戦などしている場合ではないだろうに」と思うのだが、狂信者は別のアフガンの明日を見つめているのであろう。


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