[ Reborn ]
職場であった出来事が
遥か遠い思い出(とき)
甦らせてくれた。
何故か父への強烈な想いが
そこにあった。


は深夜1時10分頃出社し、
まずは点呼場にて出勤記録をする。
決められた4㌧トラックを接車して
早々に荷積みを行い出発をする。
毎日多くのトラックが着けられる頃
それらを照らすハロゲンランプの光が
一層眩しく施設が輝くのだが
この季節になると
それが無い。


何故、光が点灯されないか。
答えは、蛍のために
川の浄化を推し進め
その儚い命を存続させようと
消灯を一時的に決めたそうだ。

イメージです

私が幼少の頃、
首にタオルを巻き長靴を履かされ
父親に肩車をしてもらって、
暗く静かな線路際を歩く。
すると、
見事なまでの光の集いが
私達親子を照らし出す。
まるで
映画"火垂るの墓"の様に。
運の悪い蛍は
私にまんまと捕えられ
それを虫かごに入れると
そのかごは宝物の様に光輝いていた。
笹を餌だと思って
虫かごに入れたあくる日、
それは炙ったスルメイカの様に
まあるく反り返り
彼らはその下で
干乾びた屍になっていた。
小さなタマシイを
何事も思わず潰した光景が
今も目に浮かぶ。

風がそよぐ夜
ヒカリの饗宴に
乱舞する蛍。
命を削りながら
互いを求め
尊いヒカリを
存続させていく。
そのイノチの一粒一粒が
あの頃の父との夜を思い出させて
ココロがきしむ。
今は遠い昭和の夜の出来事だった。

イメージです