Sexual Harrassment


皆さまこんにちは。今晩は珍しく雷まで鳴っていて、またまた大雨洪水警報のサンディエゴです。今回はアメリカの規制についてお話したいと思います。

ご存知の通り、アメリカは訴訟王国で、世界の弁護士の80%はアメリカに住んでいると言われています。そういうお国柄なので、アメリカ人は話す事やする事が訴訟の対象にならないか、かなり敏感です。(余談ですが、アメリカ人が謝らないのは、謝ったら自分の非を認める事になり、裁判で不利になるから、と聞いたことがあります。)訴訟の内容も色々ありますが、その一つが差別やハラスメントに対する訴訟です。

差別と言って、まず思い浮かべるのは、前回書いた人種差別です。最近は人種による差別をしないよう規制が多くあるため、昔ほど人種差別があまり行われていないように見えるかもしれません。でもこれは単に、差別に捉えられないように行われているだけで、差別は依然行われているとも言われています。例えば、白人の人と黒人の人がアパートを借りようとしている時に、オーナーの人が白人を入れたいと思っていたら、黒人の人には「今満室なので空きがない」という言い方をして断ったりする、というような事です。(差別とは一見分からないのでタチが悪いですね。)

また、アメリカでは差別と言っても人種差別だけでなく他の色んな差別に対しても敏感で、日本では(規制がないので)気にも留めないような事も差別とみなされる事があります。例えば、日本ではまだ履歴書に写真を付けて出しますね。これはアメリカでは付けないようになっています。それは見かけによって人を差別する事の無いように、です。それでも名前から大体黒人、白人、ラティーノ、アジア人というのが分かるので、実際は名前だけで差別される事もあると判明しています。(黒人と白人の名前で履歴書を会社に送った所、白人の名前の方が黒人より50%も多くインタビューの申し出があったという研究結果が出ています。)

また、日本では性別、年齢で求人をする事が許されていますが(「25-35歳の女性求む」、など)それらも性差別、年齢差別ということで厳しく規制されています。もし家具を運ぶ運送人のように、職務記述書 (Job Description)上、若いとか体力がある事が職務にどうしても必要と証明できればOKかもしれませんが、それは性別や年齢で判断するのではなく、例えば体力テストをして合否を決める、などという手順を踏まなければなりません。そうでなければ年齢や性別を理由に差別された、と訴えられる可能性がでてきます。

私が文化の違いを感じたのは、アメリカのセクハラに関する規制です。アメリカの会社は大抵、入社したらセクハラトレーニングを受ける事になっています。これは、会社がセクハラについて訴えられた時に、「こういうトレーニングを全社員に行っているんです」、と法廷で弁護する為にしていると言っても過言ではありません。ここでそのトレーニングのサンプルが見れます。



私も受けた事がありますが、その内容の細かさにびっくりしました。例えば、女性の聞こえる所で男性社員が女性についての性的なジョークを言ったりするのも、女性の見える所に女性のセクシーな写真や画像を貼るのもセクハラと見なされます(性別が反対でもしかり)。つまり、その人に直接行われなくても、間接的にでも相手を不愉快にする行為はセクハラと見なされるのです。ちなみに私が以前働いた会社では、日本の上司が部下の女性に、(女性だからと言う事で)お茶くみを頼んだところ、即効HR(人事)行きとなりました。また、私が以前採用インタビューを受けた際に、将来子供を持つ予定はあるかと聞かれましたが、これもアメリカではセクハラとしてカウントされるのでアウトです。

この見方から言うと、日本の電車の中にある、男性雑誌の中吊り広告(女性のセクシーな写真が載ってる)、や、コンビニでみんなが見える所にそのような雑誌が置いてあるのもアメリカではセクハラと見なされる可能性がありますね。そういう事を考えると、日本では女性にとって不愉快と思われていても、アメリカと比べてまだまだ規制されていない事が多い気がします。(アメリカがいきすぎな所もあるかもですが)

ハラスメントとは違いますが、子供に対する虐待に関してもアメリカは敏感です。子供と添い寝をする事も奨励しないし(生まれてからすぐベビーベッドに寝せる)、日本のように親と小学生の子供が普通に一緒にお風呂に入るというのもNGだったりします。(これは以前書いたようにレイプが多い国、というのもあるかもしれません。)そして州によっては、12歳以下の子供は一人で家に置いておいてはいけない(これも子供虐待などと言われる)ので、色んな規制があって大変な国でもあります。

ちなみに規制があるからと言って、アメリカに差別やハラスメント、虐待が無い、もしくは少ないという訳ではありません。むしろ、多いから規制があるとも言えます。以前私が働いていたアメリカの会社では、いつも女性をいやらしい目つきでじーっと見る管理職の男性がいました。もちろんこれはセクハラと見なされる行為で、みんな気づいていて嫌がっていましたが、誰も訴訟をおこしませんでした。何故かと言うと、訴訟を起こすとお金がかかる。そして、個人は負ける可能性が高いのです(お金のある会社の方が出来る弁護士を雇う事ができ、訴訟を長引かせることが出来る為)。
よってアメリカでも実際に訴訟になっているのは氷山の一角なのかもしれません。。。






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