天川貴之 理念哲学講義録 哲学的エセー

無常から絶対無にいたる哲学の実相を平易なことばで綴り、人生に即した叡智のあり方を解きあかす。

8-4「エマソン哲学と理念認識について」天川貴之

2018年07月21日 | 哲学(本文)
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あの稲盛和夫をして
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そして
『理念哲学講義録』
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理念哲学講義録~哲学的エセー~天川貴之
第八章 現象と理念美について


第四節 エマソン哲学と理念認識について


近代ロマン主義の芸術的思想家にエマソンがいる。
彼は、何よりも自然に美を見い出し、
高度な精神性を見い出している。
彼の思想の中においては、
自然を、絶対者の象徴と把握している。
そして、自然の象徴を解読してゆくことによって、
自然を通して、絶対者の把握に到ることができると述べられている。
これもまた、自然を、自然の現象のまま認識することではない。
自然の象徴性を解読するということは、
自然の奥なる理念を認識するということである。
エマソンは、まず、人間の奥には、
無限なる精神性があるのであると直観した。
それは、理念(真善美聖)であり、
絶対者そのものである。
この人間の内なる理念こそが、
自然の象徴を解読し、
自然の奥なる理念を洞察することができるのである。
すなわち、人間の奥なる理念美が自然の奥なる理念美を認識するので、
人間の内にも自然の内にも、
現象を超越した理念美の実在を直観したのである。
このように、自然の奥には理念が実在し、
真善美聖のすべてが実在するのである。
例えば、真の中にも、
哲学的真理や宗教的真理や科学的真理などがあるが、
これらのものが、
自然の理念を認識することによって把握されるのである。
故に、自然とともに生きることによって、
哲学者にインスピレーションが与えられ、
宗教家に啓示が与えられ、
芸術家に深い感動が与えられ、
科学的にも新しい発見が与えられるのである。
このような高度な創造力の源には、自然があるのである。
そして、科学者は一見、
自然の現象を解明しているようにみえて、
実はそうではないのである。
自然界の「法則」を発見するということは、
現象の奥にある理念そのもの、
絶対者そのものを認識することを本質としているのである。
故に、そこに、
科学の理念価値が生じてくるのである。
また、芸術家は、一見、
自然の現象を映しているようにみえて、
実はそうではないのである。
たとえば、プラとニズムの立場からは、
自然はイデアの影であるから、
絵や詩などは、影の影を映し表現する行為であるから、
理念価値が少ないように解釈されがちであるが、
実はそうではないのである。
芸術家は、現象の奥に美という理念を見い出し、
それを表現しているのであるから、
充分に理念価値があることなのである。
このように、自然の中に美を見い出すということそのものが、
実は、現象を認識するのではなく、
その奥なる理念を認識することに本質があるということなのである。
故に、自然の中に美がある以上、
そこに何らかの理念を見い出しているのであり、
自然の奥なる美の一端を見い出しているのである。


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