【アルバムタイトル】明日に架ける橋|サイモンとガーファンクル

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サイモンとガーファンクル(Simon and Garfunkel)

 誰よりもニューヨーク的な知性の持ち主ポール・サイモン(Paul Simon)と誰よりもヨーロッパ的な美しい声の持ち主、アート・ガーファンクル( Art Garfunkel )の出会いが生んだ二人で一人のシンガー&ソングライター。

 二人はともにニューヨークのクイーンズ(彼らと同じユダヤ系の人々が多く暮らす地域)で育ち、小学生時代からの幼馴染であった。

 14歳の時に二人で曲を作りその曲を持って音楽出版社への売り込みを開始し、15歳の時に「トム&ジェリー」のグループ名でレコードデビューを果たし、そのデビューシングルが全米49位という小ヒットを飛ばすが後が続かず活動を中止して別々にヨーロッパの旅に出る。

 ヨーロッパ旅行先で二人は合流し、イギリスのフォーク・クラブで活動を続けるうちにCBSレコードがそんな彼らに目を付け、ついに64年サイモンとガーファンクルのデビューアルバム“Wednesday Morning,3 A.M.”が発売された。しかしこのアルバムは当初3000枚程しか売れず、ショックを受けたポールは再びイギリスに渡った。

デビューアルバム“Wednesday Morning,3 A.M.のジャケット

 デビューアルバムに収録されていた「The Sound Of Silence」 の美しいメロディをなんとか活かしたいと考えたプロデューサーがエレクトリック・バージョンのバックトラックを無断で作り、オーバーダビングして発売してしまった

 このことは二人には知らされていなかったが、こうして66年の全米1位の大ヒット曲が生まれた

 人気の急上昇に驚いたCBSはセカンドアルバム、サードアルバムと立て続けに発売し、シングルカットされたScarborough Fairは代表曲となった。

 68年には映画「卒業」のサウンド・トラック・アルバムが発売され、そこからMrs. Robinsonがヒットした。

 人気の絶頂となった時期70年に彼らのラストアルバムで最高傑作といえるアルバム「明日に架ける橋」が発売された。

 原題は「Bridge Over Troubled Water」アルバムタイトル以外にも「コンドルは飛んでいく」「ボクサー」その他の代表曲が収められている。

この曲のレコーディング中、隠れていた軋轢が表に出て結局アルバム完成後グループは解散した。

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楽曲解説

 1970年のリリース後、ビルボードでは6週に渡って1位を獲得、翌71年のグラミー賞では主要3部門を含む5部門で受賞を勝ち取る快挙となった。

 ワールドワイドではUKやカナダなど4か国で1位を獲得、セールス記録は600万枚以上、楽曲をカヴァーしたアーティストも50以上にのぼり、20世紀を代表する1曲として音楽史に輝いている。

 作曲は ポール・サイモン(Paul Simon) だが、もともとは アート・ガーファンクル( Art Garfunkel ) にソロで歌わせるつもりで制作していたという。Simon が歌ったほうがよいと考えていた Garfunkel に最初は断られたものの、最終的には Garfunkel がヴォーカルをつとめている。

 結果、ガーファンクルに注目が集まり、サイモンは二次的な立場に退いた形になった。ガーファンクルは初めからこの曲は自分向きではないと考えてリード・ヴォーカルを希望していたわけでなかった。

 彼はサイモンが歌ったほうが良いと考えていたようで、後年の”Old friends'” tourでは二人で交互にヴォーカルをつとめている。

 Simon は曲の2番までをさらっと書き上げて Garfunkel とプロデューサーに聴かせたが、彼らに3番が必要だと提案され、3節の楽曲となった。

 ちなみに、歌詞の解釈で最も難解な“Sail on Silver Girl”は、Simon の妻である Peggy Harper が初めて白髪を見つけたときのことについて書かれており、単なるジョークだと語られている。

ポール - 「3節目の詞は当時付き合っていたペギーのことなんだ
『帆を揚げて / 進むんだ シルバー・ガール / 君が輝く時が来た』
この部分はまったくのジョークさ
ある時彼女が白髪を見つけて騒いでいたのを思い出して書いたのさ・・・」

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歌詞の意味

 歌詞だけを読むと、ラブソングや困難や悲しみに直面した人への応援歌として解釈するのが普通である、

 作者のポール・サイモンも当時はその積りで作ったのかもしれないが、この歌が生まれた時代背景を重ね合わせてみれば”ただのヒット曲”ではなかったことがわかる。

 そのころのアメリカといえば、ベトナム戦争に対する不安と不満を持った若者たちが世の中に大きな”潮流”をおこそうとしていた。
 
 ヒッピー文化が花開き、フラワーチルドレンが闊歩した”サマー・オブ・ラブ”の時代である。そしてスチューデントパワーやブラックパワーが吹き荒れた政治の季節でもあった。

 シンガーソングライターたちは、国の政策に抵抗する歌を作り、多くの若者たちがそのメロディを口ずさみながら抗議運動に参加した。

 従来のヒットソングが生み出される”流れ”から外れたアーティストが、若者たちの支持によって新しい”音楽の価値観”を生み出していった。

 そんな時代の真っただ中にサイモン&ガーファンクルもいた。きっと同じ歌詞を聴いたとしてもリアルタイムでその時代に生きながら耳にした人たちの解釈は、きっと特別なものだったに違いない。

 歌詞には作者の意図とは別の政治的なメッセージ性が重ねられ、まさに”時代の歌”として受け入れられたのだろう。

 ここで歌われている”橋”は、平和への架け橋として当時の若者たちの耳に届いたのだ。また邦題では”Troubled Water”が”激流”や”荒波”とは訳されずに、「明日に架ける橋」と意訳され、日本人の琴線にもより深く触れる歌となった。

 レコーディングが行われた1969年は既に二人の関係が悪化しており、翌70年のリリース後に彼らは解散してしまう。

 その後も何度か二人でライヴに出演していたが、Garfunkel の病気により、2010年以降は彼らのステージを見ることが出来る機会はなくなってしまった。

Simon and Garfunkelの動画

オリジナルバージョン

69年ライブ音声

セントラルパーク・ライブ 1981年

09年マディソンスクェアガーデン・ライブ

カバーセレクション

Aretha Franklin

Elvis Presley

Raymond Lefevre(レーモン・ルフェーブル)

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Jon Bon Jovi & Richie Sambora

Charlotte Church

Michael W Smith

B.J.Thomas

Anne Murray

Clay Aiken

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Quincy Jones & Valerie Simpson

Willie Nelson

Johnny Cash

Bobby Darin and Dionne Warwick

Whitney Houston

Barbara Dickson

Bonnie Tyler

LeAnn Rimes

日本のカバー

サーカス

河合奈保子&尾崎紀世彦

岩崎宏美

赤い鳥

布施明

狩人・野口五郎

テレサ・テン(Teresa Teng)

THE ALFEE

<歌詞>

When you’re weary, feeling small
When tears are in your eyes, I’ll dry them all (all)
I’m on your side, oh, when times get rough
And friends just can’t be found
Like a bridge over troubled water
I will lay me down
Like a bridge over troubled water
I will lay me down

When you’re down and out
When you’re on the street
When evening falls so hard
I will comfort you (ooo)
I’ll take your part, oh, when darkness comes
And pain is all around
Like a bridge over troubled water
I will lay me down
Like a bridge over troubled water
I will lay me down

Sail on silver girl
Sail on by
Your time has come to shine
All your dreams are on their way
See how they shine
Oh, if you need a friend
I’m sailing right behind
Like a bridge over troubled water
I will ease your mind
Like a bridge over troubled water
I will ease your mind

ソングライター: Paul Simon
明日に架ける橋 歌詞 © Universal Music Publishing Group

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