骨を焼く
一本の生が立っている
そこからどこに向かってすすむのか
朝から夜
そして世代がかわっても立っている
時に風が過ぎる
いつまで立っているんだいって
夜 東京の街角で聞くその声
いつまで歩いているんだいって
立っているあいだ
ひとの声は聞こえない
だれも語りかけない
ひとの姿は
つかまえることができない
ある朝
見えない骨がくずれおちる
ひとびとの理念のように
食べ残した野菜が
いくつかの色に分かれていくように
おはよう そして
さよなら
きみのスーツの擦れたところ
忘れないよ
声が聞こえる
だれのものでもない声
わたしは襟で
首を隠す
透きとおった首から
風音のような
声がながれる