地に立つ | 友野雅志の『TomoPoetry』

友野雅志の『TomoPoetry』

日々書きためている詩をのせます。noteには下にのせています。https://note.com/mtomono




皮を剥ぎ肉を削ぎ落とす
骨を焼く
一本の生が立っている
そこからどこに向かってすすむのか
朝から夜
そして世代がかわっても立っている

時に風が過ぎる
いつまで立っているんだいって

夜   東京の街角で聞くその声
いつまで歩いているんだいって

立っているあいだ
ひとの声は聞こえない
だれも語りかけない
ひとの姿は
つかまえることができない

ある朝
見えない骨がくずれおちる
ひとびとの理念のように
食べ残した野菜が
いくつかの色に分かれていくように

おはよう   そして
さよなら
きみのスーツの擦れたところ
忘れないよ

声が聞こえる
だれのものでもない声
わたしは襟で
首を隠す
透きとおった首から
風音のような
声がながれる