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”リーマンの謎”ブログの更新について〜オイラーの気の遠くなる偉業〜

2019年03月21日 03時08分51秒 | リーマンの謎

 昨年6月に更新した”その4”(全4話)ですが、まだまだ曖昧な部分が多く、加筆&訂正中で、全て新規に更新する予定で、それまでは”旧その4”として置き換えてます。
 この”その4”は、オイラーの偉業の中核を成し、”バーゼル問題とゼータの特殊値”からベルヌイ数に至る旅です(”1の10”も参照)。

 遺した業績の数は世界最多と言われるオイラーの偉業ですが。オイラーが執筆した論文は886編が確認され、1911年から刊行され続けた5万頁を超える膨大な”オイラー全集”も70巻を超えますが、未だ完結してません。
 故にオイラーに関する書物は腐る程?出てますが、黒川重信博士らの”知の滲む”努力のお陰で大分解析&解明が進んでるみたいです。
 故に、今”旧その4”を読み返してみると、かなり曖昧な部分があるんですね。
 でもオイラーの偉業に触れるうちに、リーマンとの接点が明らかになり、”リーマンの謎”ブログも何とか生き延びてるんですが。


オイラーの偉業

 オイラーのゼータ関数に関する偉業として、”その1”又は”その4”でも既に述べたんですが。ガンマ関数の導入(1729年、22才)、ゼータの特殊値表示(1735年、28才)、オイラー積(1737年、30才)、関数等式(1739年、32才)、ゼータの”第一”積分表示(1768年61才)、ζ(3)の表示(1772年65才)、などが有名です。
 そして2017年には、絶対セータ関数論(1774年〜1776年、67才から69才)の研究が報告されてる。以下、簡単に説明します。

 ζ(s)のsが正の偶数の特殊値の明示公式には、円周率πやベルヌイ数Bₙが初めて現れます。この証明の為にオイラーは、sin関数の積分解を用い、sin関数を零点(解)によって分解するという離れ業を使い、sin関数の級数展開との比較で、ζ(2)、ζ(4)、ζ(6)、ζ(8)などの値を求めた。
 因みに、sin関数の積分解はガンマ関数の導入がヒントになっている。
 次に、オイラーの積表示(積分解)だが、オーレムとマータバの研究が原点になっている。また、オイラー積の応用として、素数の逆数和が無限である事を証明し、”素数が無限に存在する”事をピタゴラス学派以来、2千年ぶりに証明した。このオイラー積の発見はゼータ関数論の出発点となり、ディリクレ→リーマン→ラマヌジャンに受け継がれ、現代数学の大きな潮流となった。

 オイラーは、ζ(s)の関数等式”s→s−1”を発見する為に、ζ(−1)=1+2+3+・・・=−1/12と、発散級数の和が収束値を持つ事を見出し、s=-2,-4,-6,-8,...という負の偶数がζ(s)の解になる事を発見する。そして、ζ(-1),ζ(-3),ζ(-5),ζ(-7)などの値を求め、ζ(s)とζ(1−s)との明瞭な対称性を発見し、非対称型関数等式”ζ(1−s)=ζ(s)2(2π)⁻ˢΓ(s)cos(πs/2)”を導出した(1749年)。
 オイラーの第一積分表示では、ζ(s)=1/Γ(s)∫[0,1](log(1/x))ˢ⁻¹dx/(1−x)を発見し、リーマンがゼータ関数の解析接続に活用します。後に様々なゼータの積分表示が研究されますが、その始まりとなる。
 前述の非対称型関数に、s=3を入れ、微分すると、ζ(3)=4π²ζ’(-2)という明示式を得て、1772年のζ(3)の表示に繋げます。この表示は後に多重三角関数論(黒川信重)に発展し、多重ゼータ関数の一環として、絶対数学を導入する端緒となった(「オイラーのゼータ関数論」より)。

 オイラーによって見出された、これら美しい積分公式こそが、(絶対)ゼータ関数の特殊値に繋がってる所に大きな特徴がある。
 言い換えれば、ゼータの特殊値から通常のゼータ関数を展開し、その積分内を上下逆転させ、絶対ゼータ関数を展開した(「オイラー~ゼータ関数論文集」)。
 この著者の一人である黒川博士は、オイラーを追いかけるコツの1つとして、オイラー論文を手書きで写す事と言っておられます。
 つまり、何度も何十回も書き写す事が必要なんですね。勿論、私には無理っぽですが(悲)。


ブログの更新について 

 少し横道逸れましたが、”その1”(全12話)ではリーマンゼータの解析接続を中心にじっくりと説明しました。
 一方”その2”では、素数の謎とオイラー積に関してゆっくりと説明する予定です。
 ”その3”は、”オイラー積とディリクレ級数”について書くつもりですが、このディリクレ級数こそがオイラーのゼータからリーマンのゼータへの重要な架け橋になりました。まだ更新はしてないんですが、”旧その3”に簡潔に纏めてます。

 因みに、このリーマン予想はリーマンの謎の出発点を何処に持ってくるかで、その見え方が全然違って来る様に思えます。
 リーマン予想からバカ正直に辿っていくと、先ず素数の謎で躓き、オイラー積で躓き、その後ベルヌイ数で躓きます。勿論、私みたいな数学素人はですが(悲)。でもその前に、オイラーの偉業に只々立ちすくむだけでしょうが。 
 このリーマン予想は”素数公式”を追求する過程での”オマケ”(誤差)みたいなものでした。
 リーマンもこの予想に関しては、時が解決すると思ってたんでしょうか。故に、肝心の”粗雑な計算式”を伏せてしまった。すぐに誰かが証明するだろうと高を括ってたんですかね。
 故にリーマン予想の本質は、素数の謎(素数公式=素数の自明な個数)にあるんですが。素数の謎から始めると、どうも頓挫してしまう(笑)。

 そういう私はベルヌイ数で頓挫し、順番を逆にして”解析接続”から更新していきました。
 そこで、オイラーとリーマンを行き来するうちに、リーマン予想の本質が”素数の個数”というより、ゼータに繫がるあらゆる関数にあるのではと感じました。事実、素数公式は素数定理に取って代わりましたから、リーマンが生きてたら悔しい思いをしてたでしょうか。

 でも、テータ関数がなかったら第2の解析接続はなかった訳だし、このテータθ(s)とゼータζ(s)に何か特殊な繋がりはないものかと考えますが。多分間違ってるとは思いますが。 
 いろいろ愚痴っぽくなりましたが、リーマン予想もオイラーの偉業も未だ解明されてない部分が多く、私のリーマンブログも読み返す度に曖昧な所が増えてます。
 そういう意味では、このブログも永遠に続くかもです。いやそうでもないか(笑)。

 しかし、発掘されてないゼータ宝石が沢山埋まってる事を確認するだけでも、これこそが贅沢の極みという事を知り得ただけでも良しとしたいですね。

 という事で、不明で不可解な部分が多い”リーマンの謎”ブログですが、出来る範囲で更新していくつもりです。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
テータからゼータへ (paulkuroneko)
2019-03-22 12:50:41
続けてです。
θからζへは、言い得て妙です。

リーマン予想に関しては、その結果だけが一人走りし、暴動し過ぎた感がありますね。

オイラーの偉業に関しては、もっと世界の数学者が本腰を入れて欲しいです。彼の死後、200年以上も経ってるのに、オイラー全集は未だ完結せずなんです。

このオイラーを語らずしては、リーマン予想なんて夢の夢だろうし、オイラーとリーマンを結び付けたディリクレの存在にも、もっと光を当てて欲しいですね。

そういう意味では、転んださんのリーマンブログは、とても貴重な存在だと思います。無理をせずゆっくりと進めて下さい。陰ながら応援してます。
Re.テータからゼータヘ (lemonwater2017)
2019-03-22 20:25:51
オイラーの偉業に関する本が、高い頻度で出版されてるので、読む度に新しい発見があります。paulさんが言うディリクレもどんどん光が当たりつつあります。全くオイラーのお陰です。

逆に、オイラーと並ぶ2大数学者の一人ガウスの存在が少し薄くなりつつあるのは気のせいでしょうか。

でももっともっと過去の偉大な数学者の生き様や偉業に触れてみたいです。

いつも温かい励ましありがとうございます。

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