鹿児島に夏の訪れを告げる、六月灯。
7月になると毎晩のように、あちこちの神社やお寺で開かれます。
よくある夏祭りと少し違うのは、たくさんの灯籠。
江戸時代の初めの頃、藩主の島津光久が、旧暦の6月、お寺にお参りするとき、沿道にたくさんの灯籠を灯させたのが始まりとか。
ここ南洲神社は、あの西郷さんをお祀りした神社。
近くの墓地には、西南戦争で命を落とした2000人をこえる人々が、西郷さんと一緒に眠っています。
揺らめく灯籠の明かり、いつもとは違うにぎわい。
西郷さんたちも、子どもの頃、六月灯に出かけたのかなあ。
夜風に吹かれながら、家族でそぞろ歩く六月灯は、子どもにとっては、わくわくする特別なお出かけ。
金魚すくいにしようかな、わたあめにしようかな…。
お参りもそこそこに、夜店でなにを買ってもらおうかとウキウキしたものです。
浴衣を着て、はなやいだ夜の景色を眺めて、すこしだけ夜更かしして…。
買ってもらったのがうれしくて、枕元に置いて寝たわたあめが朝にはしぼんでいて、何だか切なくて、泣いたなあ…。
鹿児島の夏の夜を彩る六月灯。それぞれの心に、それぞれの思い出の火をともすお祭りです。