FRPファンクショナル・ローラーピラティスのカンフェレンスに参加してきました。年に一度の、殆どがFRPトレーナーたちの集まりで、私の指導者トレーニングの監督講師である佐藤由布子先生から聞いていた個性的なマスタートレーナーたちにもお会いできました。

 

FRPは考案者の中村尚人先生自身がそうである故トレーナーたちも理学療法士が多く、各クラスもコメディカルな専門用語がバンバン登場し、メモを取るにも漢字が書けない(笑)ことが多々ありましたが、とにかくたくさん学びました。

 

その学びはクラスでは勿論、ブログでもシェアしていくつもりですが、この頃バラバラに気になっていたことが繋がってきまして、面白いと思ってるところです。

 

 

 

尚人先生の最終クラスが終了しての集合写真。

ご参加の殆どがミドルレベル以上のトレーナーたち。

 

 

ピラティスの基本原理のひとつ「軸の伸長」は、ニュートラルポジションを探すことです。抗重力筋をしっかり働かせ、脊柱が体の中心に位置して左右にずれず、また脊柱の生理的湾曲のバランスがとれている状態。

 

頸椎は前弯、胸椎は後湾、腰椎から仙骨は軽い前弯で尾骨が軽い後湾を作る、大きなS字と小さなS字のカーブですね。

 

私はFRP(ファンクショナル・ローラーピラティス)ベーシックの指導者トレーニングを受講した時に、このニュートラルポジション(中間位)の体感がよく解りませんでした。

 

ボディワークをしている人たちの間でよく使われる「ニュートラル」という言葉ですが、そもそもニュートラルポジションとは何でしょうか。中村尚人先生の「コメディカルのためのピラティスアプローチ」から引用しますと(P.169~170)、

 

ニュートラルポジション(中間位)は、身体のアライメントが本来の位置にある状態である。脊柱や骨盤がニュートラルポジションにあると、筋のバランスも整いやすく、インナーユニットが最もはたらきやすくなる。

 

とあります。

 

姿勢がいいのはメンタル、フィジカル両面に良いのは間違いありません。私は肩甲骨周りと背面胸郭上部が硬く、上腕外旋や胸郭の引き上げなどが苦手で、後屈も不得意です。数年前に無理な練習で肘を故障したのもその辺りの硬さが影響していて、過去には右腕の胸郭出口症候群にもなりました。

 

肩周りの継続した前傾姿勢によって神経が圧迫される胸郭出口症候群は、私が長年コンピュータで仕事をしてきた職業病とも言えるのですが、体の使い方の癖はさまざまな症状を引き起こします。

 

以前「正しい直立姿勢のアライメントは上から下へ」(記事はこちら)で書きましたが、正しい姿勢のカギは体の上部に位置する頭部、その頭部の位置を決める"目線"が重要です。


体は視る方向、下、上、横、遠くなど視線に対応して体幹、下肢がバランスをとるため、上部は下部に大きな影響を与えます。頭が左右に揺れるだけで、足部の重心位置は正中から大きくずれて筋肉や靭帯にストレスがかかる。下肢は支える力が強いため、このずれが習慣化するとアライメントの崩れに慣れていきます。

 

石垣院長によるとこれはピラティス的な視点というよりも、頸椎(特に1番と2番)を重要視するカイロプラクテイックに基づく、中村尚人先生の考え方のようです。

 

尚人先生も関係が深いURT/アンダーザライト・ヨガスクールにて以前受講した「自律神経とヨガ」というWSがあります。講師は鍼灸師でもある野村賢吾先生、連続したポーズを流れるように繰り返すヴィンヤサのシーケンスに血液循環を促す動きを入れ、シャバーサナから起き上がった時には体が調和的な感覚で目覚めるのを目指す、という興味深いものでした。

 

その賢吾先生が先日、FB上でご紹介されていた本がありました。石村友見さんという方が考案した「ゼロトレ/ZERO TRAINING」という、今NYで多方面・異分野からの多くの人々の支持を受けるボデイワークに関して書かれたものです。

 

著者の石村友見氏はかつて劇団四季に在籍し、ブロードウェーミュージカルを目指して渡米した後「ミス・サイゴン」に出演を果たし、現在はハリウッド女優やトップモデル、アスリート、パイロット、エグゼクティブたちに絶大に支持されているヨーガスタジオの主宰者とのこと。そんな日本人の女性がNYに居るのかととても興味が湧きました。

 

 

 

石村友見氏の著書「ゼロトレ」と、石垣院長監修の、

ニュートラルポジションが解りやすく書かれた「新しいピラティスの教科書」。

 

 

ゼロトレの考案は、不調に悩んでいた彼女があるヨーガクラスで経験した驚くほどの体の軽さ、つま先を上げて踵を重心として立ったときの瞬時の変化から始まりました。羽が生えたように、体がふわっと軽くなり、それまで体にまとわりついていた重さやだるさ、痛みが一瞬で消えたそうです。

 

石村氏はその心地良さを多くの人にも体験してもらいたいとスタジオを開設し、研究を重ねるうちに「体の各パーツを本来の位置に戻すこと」の重要性に至りました。そのどこにも力の入っていない体の状態を"ゼロポジション"と名付け、それを見つけるエクササイズを考案し、さまざまな分野からの多くのクライアントを惹きつけています。

 

そう、これは「ニュートラルポジション」を探し、その状態をキープするボディワークです。

 

脊柱は本来ある場所に位置していると、人の体はビルのように強く支えられ、疲れも感じません。そして体は本来の位置に戻ったところで彼女のいうところの"筋肉のちぢみ"も解消され、代謝も上がってダイエットも促進される。

石村氏のクライアントには、パフォーマンスの向上を目指すアスリートのみならず、ダイエット目的の方々も多く、結果を出しているようです。

 

私にとって興味深いのは、ピラティスに出会った後でニュートラルポジションをなかなか体感できずに苦労した私と、ニュートラルポジションを最初に経験してこれは何なのかを探究していった石村氏との違いです。

 

体の感覚を感じましょうと言っても、実は難しい。歪みに長いこと慣れている状態はなおさらです。石村氏が軽さを経験した時期は、自分を過度に追い込み、ストレスに晒されて不調続きの状況から一旦離れ、ゆっくり回復していこうと決めた後でした。

 

感覚を鋭敏にする方法として時には、食事や情報量など外から入ってくるものを減らしたりといった、ストイックな状況に追い込むことも助けになります。でもその前に何よりも、自分の状態に目を向け気づくこと、これがなければ変化は起こらない。

 

私たちみんなが本来持っている、快適で健康的な、ラクな体の状態に戻りたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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