*源氏香葉書*
“一緒に鑑賞しましょう~”コーナー(*^-^*)
勝手に“源氏香葉書”プレゼンテーターのワタクシ、みこが
源氏香葉書と源氏物語について
勝手にあれこれ、おしゃべりしますm(__)m
お忘れの方、はじめましての方へ。
葉書の詳細については、
Postcard by nana's green tea.
こちらの葉書、お店の店頭にて購入出来ます
一枚170縁+税です
ぜひ、お近くの店舗さまにて
お手に取ってご覧ください
前回ご紹介の巻は~…
※以下、引用・参考は(いつものように)小学館日本古典文学全集「源氏物語」より。
蓬生 (よもぎう)
荒れ果てた邸を、「蓬生(よもぎお)ふる所」という意味で「蓬生」といいます。
この巻の女主人公の邸がこのような状態であることから名づけられた巻名。
「荒れ果てた邸」に住む女主人公…とは、ダレ???
光る君との関係とは、いったい…???←こちらは言わずもがなでした
…この巻での源氏は28歳~29歳。
ちょうど例の朧月夜の尚侍との一件で須磨に退去し、それから帰京した後のことです。
☆詳しくは、これまでの須磨*源氏香葉書 第十一 などをお読みいただけたら…
光る君、帰京してから、政界に返り咲き(?)まして…
それというのも、発端となった源氏の母違いの兄・朱雀院が、亡き父帝・桐壺院のお怒りの?夢をみて“源氏をみやこに呼び戻さねば~”となったのでした。亡き父帝にしてみたら、可愛がっていた光る君が苦労?していることが耐え難いとか、そういう御心か、と物語は描きますが。オトナな事情ではなしますと、物語としては主人公が表舞台(みやこ)に戻る必要がありましたので~
そこで、なかなか重要な政界の人物となりました源氏、かつてのようにはフラフラと夜遊びも出来ず…久方ぶりに出歩いた先で、とある懐かしい廃屋?を通り掛かります。
これが、「蓬生」です。
さて、この「廃屋」…
見覚えがあるのも、なるほど…
前回ご紹介しました「末摘花」の巻で親しくなったはいいものの、須磨下向などなどもあってそのまま縁遠くなっていた、故・常陸宮の姫君のお邸(廃屋…)だったのです
姫君は邸が荒れ果てるのも厭わず、ただひたすらに源氏の訪れを待っていたのでした…
と、簡潔にまとめると、このような内容です
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それでは、源氏香葉書の鑑賞にまいります
☆再掲☆
かわいらしいちいさなおうちがいちばん下に描かれて
その斜め上にあかいマル…
これは、前回のこちら↓「末摘花」のあかい鼻を描いたものでしょうか
この度の巻では家の屋根の斜め上に描くことで、
まるで太陽のような
日が昇る光景を描いたような…
それは、あたかも
帰京した源氏の威勢、権勢が増すことを示唆するかのようでもあります
同時に、この廃屋(とそこに住まう人)が源氏によってふたたび目をかけられ
手を入れられ、修繕され、寂れた場から賑わう場へと変化する
そのことを表しているようでも、あります
ここに描かれた松は、物語中、源氏が常陸宮の邸だと気が付く
そのきっかけになる、キーアイテムです
以下、その本文の箇所を見てみましょう~
*******(引用は前出の小学館全集より)
大きなる松に藤の咲きかかりて、月影になよびたる、風につきてさと匂ふがなつかしく、そこはかとなき薫りなり。(中略)見し心地する木立かな、と思すは、はやうこの宮なりけり。(略)
(源氏)「ここは常陸の宮ぞかしな」
(惟光)「しかはべり」と聞こゆ。
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大きな松に藤が垂れ下がって咲きまつわり、月光のなかになよなよ揺れている。それが風とともにさっと匂ってくるのがなつかしく、どことなく、ほのかな薫りである。(中略)見覚えのある木立だ、とお思いになるのは、もともとそのはず、この宮なのであった。(略)
(源氏)「ここは常陸の宮の邸だね」
(惟光)「さようでございます」と申し上げる。
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葉書には藤の花が描かれておりませんが
画面がうるさくなるのを避けたのでしょうか
皆さまはどのようにご覧になりますか?
それでは、最後に源氏絵をご覧いただいて、おしまいと致します。
こちらには藤の花が描かれています、塀が無残な状態なのも、注目してみてください…
そうそう、
物語では、こののち、姫君は特に男女の仲ということではなく、光源氏の信頼を得て、末永く源氏の庇護を受け、しあわせに(かどうかはわかりませんが~少なくとも傍目には?)暮らしたということです…めでたしめでたし。
伝 土佐光信
源氏物語画帖 出光美術館
「蓬生」
(「岩佐又兵衛と源氏絵ー<古典>への挑戦」展 図録;出光美術館より)