ボリショイ・バレエ in シネマ「ライモンダ」(2019年10月収録) | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

振付 ユーリー・グリゴローヴィチ

音楽 アレクサンドル・グラズノフ

出演 オルガ・スミルノワ/アルテミー・ベリャコフ/イーゴリ・ツヴィルコ

 

 グリゴローヴィチ版はバンバン踊るから、物語の中身がほとんどないことも気にならなくて、あー楽しかったー❗️で終わるの好き。そしてやっぱり男性ダンサーの踊りの見せ場作るの上手いですねー。恋敵(アブデラーマン)が本命と対等にカッコイイから両方に肩入れしちゃう😊

 ストーリーと言えるほどのものがないくらいシンプルな展開だけど、今回の主役の2人にも愛の物語はあまり感じられなかったかな😬  例えて言えば、もともと伯爵夫人とジャン側の家とが決めた結婚だけど、会ってみたらお互い美しいから、結婚に不満ありませんみたいな感じ。互いに愛を求め、愛を与え合うのではなく、それぞれがすでに自己完結しているような、割と冷静な2人に見えました。ダンスにも、溢れる愛情やほとばしる情熱などは感じられないけど、エレガントで美しくテクニックも素晴らしい🎉

 

 スミルノワは最初からクリスタルのような、クールで高貴な輝きを湛えていた。2幕でアブデラーマンを拒むところも凛としていて、3幕ではそれが最も効果的に現れオーラ発散✨ 手脚が長いから可動域が広く、ダンスはダイナミックだけど同時にエレガント。特に脚のラインが綺麗なのでポワントワークが映えます。腕も、爪の先まで繊細に神経を行き渡らせていたけど、意外にもしなやかさ不足? ライモンダの見どころと言われるポールドブラは割と硬質でした。

 ジャンを踊ったベリャコフはダンスール・ノーブルとしての見栄えと雰囲気は十分で、白いマント姿の似合うこと👏  色っぽさはもう一歩だけど、感情表現が控えめという意味では、クールビューティーなスミルノワとはバランスがよかったかも。ダンスは素敵でした。アントルシャからザンレールという跳躍が見事で、ピルエットがまさにキリのよう。ジャンプも高く滞空時間が長くて、空中での脚のラインも綺麗だったな。

 

 唯一、演劇的アプローチで作品を印象づけるのがブデラーマンのツヴィルコ。文字通りエナジェティック&ダイナミック‼️  ライモンダへの愛情を猛突進状態でぶつけてくるワイルドさが良い👍  最後は力で奪っていこうとするのも笑っちゃうほど良いです👍  なのに、ジャンにあっさりやられるの、ホント信じられない🙄  アブデラーマンはダンスというより演技に注目とノヴィコワが言ってましたが、確かに、ダンスに感情とセリフを溢れるほど込めていましたね。えびぞりジャンプ3回とも決まるし😳  グリゴロお得意の馬のトロット?ポーズ?のジャンプも勇ましくてカッコ良いです(今冬来日公演での「スパルタクス」がホント楽しみ)。ちなみに、この間のパリオペ来日公演で「ライモンダ」を演ってくれてたらボリショイと見比べられて面白かったのにと思います。ヌレエフ版はアブデラーマンもエレガンス味があるんですよね☺️

 

 中世のエッセンスを取り入れつつもモダンな衣装が目を引きました。夢のシーンに登場する群舞のブルーの衣装がノーブルかつ幻想的。階段に並んでフォームを作って現れたところがとても美しい。民族色のあるダンスは、統一感ある美しさというより、塊としてのエネルギーが凄まじく、ボリショイの、そしてグリゴローヴィチの面目躍如たる見せ場でした。

 

 パフォーマンスとは関係ないけど、MCのノヴィコワが露仏英3カ国語を駆使して解説するの、最初に見たときはすごいと思ったけど、今や少し煩わしくなってきている😞  喋りが冗長に感じてしまうんですよね🙇‍♀️  世界共通語化している英語オンリーでいいんじゃないかとも思うけど、国内の人も観ているからロシア語は必須だろうしねー。

 そして、どうしてもダメなのが、レヴェランスを要求する、激しすぎる手拍子とブラボー😩  もうこれ、出てこい!の強制、脅迫としか思えなくて、社会主義国的イメージと重なってしまいます。ダンサーは結構うれしいのでしょうけど。

 あと、幕ごとにカテコがあるのもうんざり😣  それ以降は出ないダンサーのためというのもあるだろうけど、どうしても慣れないわー。カテコの時の手拍子も耐え難いし。普通の拍手できないのかしら😑

 

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