オンライン視聴 シュトゥットガルト・バレエ「眠れる森の美女」(2019年12月収録) | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

演出/振付 マルシア・ハイデ

オーロラ姫 エリサ・バデネス

デジレ王子 フリーデマン・フォーゲル

カラボス ジェイソン・レイリー

 

 観るはずだった公演が次々とキャンセルになっている状況下で、海外の演劇・バレエがオンライン配信されているので少しずつ消化しています。これが結構多くて、感想を書くのが追いつかない。とりあえず直近で観たシュトゥットガルトの「眠り……」のこと。

 すごく素敵なプロダクションで解釈も面白い。オーロラ姫を数え切れないほど踊ってきたマルシア・ハイデだからこそ可能な、細部までよく考えられた説得力ある演出でした🎉

 

 幕が開き目に飛び込んでくる舞台美術と衣装。舞台は三方をぐるりと囲む形で2階構造の回廊があり、これがとても効果的に使われていました。

 衣装も素敵。18世紀と19世紀を想定したオーソドックスな宮廷スタイルだけど、配色がとってもスイートです。プロローグの宮廷人たちはブルーと白を基調とした衣装で、妖精たちはシャーベットカラー。1幕ではモスグリーンの衣装が印象的で、2幕の森の精たちの小枝柄衣装も良いし、3幕は一転、宮廷の仮装舞踏会という感じで、個々の色は渋いけど配色がポップで楽しいです👍

 

 そして、なんといってもこのハイデ版はカラボスが踊りまくるんですよね😄  男性ダンサー(レイリー)が演じているから踊りもダイナミックでカッコイイんだ❗️  しかも、このカラボスはかなり象徴性が強く、その黒いマントは悪、闇、虚無を表現している印象があり、裾が広がって空間を包み込む動きがとても怖いです😱

 リラの精と何度も対峙する構図はまさに善と悪との戦い。2幕ではデジレ王子がカラボスの手に絡め取られるんだけど、ここで王子の勇気や誠実さが試されているように見えるのね。試練に打ち勝ったことでオーロラ姫を見つけ出せたような🤔

 お話はハッピーエンドなのに、カラボスは最後にも現れて抱き合う2人に呪いをかけるような仕草を見せます。上手側にリラの精が現れ、この戦いは続く……みたいになるんだけど、カラボスは幕が降りてからも最後まで残って舞台を支配しているように見えた。バレエ団のサイトにある粗筋を見ると、最後に「Evil continues to exist/悪は存在し続ける」って書いてある😎  おとぎ話にこの解釈はおもしろいです。

 

 バデネスはプリンセス系とはちょっとイメージが違うんだけど(個人の感想です🙇‍♀️)、1幕では16歳の少女としての溌剌とした可愛さがあり、ダンスはさすがの安定感。3幕でもきっぱりとした完璧なダンスだったけど、ソフトなエレガンス味が薄いのはバデネスの個性として仕方ないですよね💦

 フォーゲルくん可愛い(いま40歳😆)。王子の役作りとしてちょっと疑問だったのは、登場時あまり憂いに沈んでいる感じではなく、淑女たちと笑談しちゃったりと割と爽やかな感じだったな。で、散々にこやかに踊っておいて、皆んながいなくなるといきなり悩ましくなるの、不思議😅  ダンスは滑らかでエレガント。テクニックを見せつけないところが王子だわ💓  脚にバネが入っているかような自然なジャンプとソフトな着地。ただーし😤  ポニーテイルに黒リボンをしてないのがとっても残念でした←このヘアスタイルはデジレ王子のmustじゃない?😞 

 

 4人の花婿候補はなんとなくインド、アラブ、フランス、スペインを想像。どれも衣装がハイセンス。ハイデ版はこの4人の花婿候補者にも見せ場を作っていて見応えあり。個々のソロはそこそこ😬エレガンスに決めるし、カラボスに立ち向かって戦おうとするのもいいな。そして王子たちもこの場所で眠りに落ち、3幕で踊りに加わるんですよね。100年前は互いに牽制し合っていたのがここでは仲良しになっていて、婚約したオーロラ姫とデジレ王子を見て動揺する細かい演技に笑った😂

 3幕のディヴェルティスマンでは「青い鳥」「長靴をはいた猫」「赤ずきん」のほか「白雪姫と7人の小人」「アリババと彼の宝石たち」があるのが珍しかった。彼らの衣装もキュートで、仮想舞踏会に招かれた宮廷付き役者たちという感じでした。

 ちなみみ、2008年の来日公演では、私が観た回のカラボスはバランキヴィッチだったんだけど、彼は身長もあるからものすごい迫力があり超カッコよかったのが、まだ記憶に鮮明に残っています。次の来日公演ではぜひこの作品を持ってきてほしいな〜🙏

 

この他にオンライン視聴したバレエ作品を自分用に記録しておきます。

ローマ歌劇場バレエ「ドン・キホーテ」

 舞台&衣装のデザインと色がブッ飛んでて好き! サレンコのキトリ、GPDDをガラでよく観たけど全幕で観るの初めて。キュートかつエレガンス味あって良かったです。エルナンデスはテクニックは素晴らしいけどバジルの演技はもう少しハジけてほしいかな。改訂振付けのローラン・イレール、いい感じに年齢重ねていて安心しました。やっぱりヨーロッパに戻ってきてほしい。パリオペのイレール&ルグリ双璧時代はイレール派でした😍

ハンブルク・バレエ「ヴェニスに死す」

 今の状況を思うと、言い方悪いけどタイムリー。微かに死臭が漂う退廃美の世界でした。リギンズはアッシェンバッハその人だったし、この頃(2003年)のレヴァツォフは可愛い美しいのね。そしてブベニチェク兄弟の使い方がとても良かった。

デンマーク・ロイヤル・バレエ「ナポリ」

 ニコライ・ヒュッベ&ソラレ・イングルンドによる新振付で、ブルノンヴィル色はほとんどなかったのが残念。舞台は現代だし、1幕はほとんどダンスシーンなし。2幕、海の底のシーンはブルーを基調にした美術が幻想的で、ダンスもたっぷり。でも普通のクラシック&モダン・バレエな振付でした。

キエフ・バレエ初夢ガラ(2020年1月3日来日公演)

キエフ・バレエ「くるみ割り人形」

マリインスキー ・バレエ「ウラジーミル・シクリャーロフの夕べ」

ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」

 グリゴローヴィチ版、最後オデットはロットバルトに連れ去られて命を落とし、誓いを破った王子が1人残されるという結末は好みです。最初、明らかにロットバルトが王子を操っていることから、ロットバルトは王子の深層心理にある負の存在って感じがした。

ラッセル・マリファント「Two」「Torsion」「Broken Fall」

ウェイン・マクレガー「Entry」

 抽象バレエは苦手だけどマリファントとマクレガーは好きな振付家です。マリファントの「Two」はギエムが踊っていて、超かっこ良い👍

 

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