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アムステルダム、ニューマルクト




↓こちらにレビューを書いてみました。


【必読書150】スピノザ『エティカ』(8)―――
―――「感情」による統制から共同性の《自由》へ


 

「各人が自分に有益なことをもっとも強く求めるときに

そのとき彼らはたがいにもっとも有益である」

スピノザは言いきる。

 

希少なものの奪い合いにはならないのか?

能力の格差から「ねたみ」が起きないのか?

みずからの必要を超えて独占する者が現れないのか?

そうしたことについてスピノザは沈黙している。

 

スピノザはまたいう:

「人間にとって人間ほど有益なものはない」

理性の導きに従って生活している人間以上に

人間にとって有益なものは見あたらない

理性《自然》に反することを要求しない。

理性の要求は、各人が自分を愛し

真に有益なものを求めることのほかにない。

「各人には、自分にとって有益なもの

追求する権利がある」

 

スピノザの主張は一見すると

アダム・スミス経済的自由主義に似ている

が、重要なちがいがある。スピノザの世界には、

アダム・スミスが想定するような

“見えざる手”はない。

ホッブズが想定するような

争い合う万人に平和をもたらす

強大な専制国家もない。

《神すなわち自然》は人間にたいして

何も命じないし、“とりなし”もしない。

何が理性の指示なのか、

何が真に有益なのかは、

各人がもとめて知るよりほかないのだ。

 

いっさいの《道徳的義務》の存在を否定し

人びとを、誰も知らない必然という名の

《自由》の中に突きはなす

未曽有のラディカリズム

スピノザ倫理学:

「第3・4部」 ――理性はどこからやってくるのか?