勇気づけられるもの

アルコール依存症は、とても厄介で絶望的にさせられる病気だ。

飲酒時の人格豹変、連続飲酒がもたらす、普通の生活ができなくなる廃人化と、離脱症状の壮絶な光景はこの世の地獄。その凄まじさは、アルコール依存症者とその家族を、精神的にも肉体的にも擦り切らせる。

何で私の夫が、何で私が、こんな理不尽な病と闘わなければならないのだろう？

それも一生涯。

逃げ出したくなるような、気の遠くなるような長い時間。

もう何年も、何十年も断酒を継続されているアルコール依存症の方々、そしてそのご家族の方々には、もう本当に頭が下がる思いです。

ある種、悟りを切り開いた方々だと思っています。

そして彼らは私に希望を与えてくれる。

完治はしないが、回復はする病気。

アルコール依存症で崩壊してしまった家族でも、回復の先には、この地獄と苦しみを一緒に乗り越えて来たからこその、より強い絆と「普通」である幸せがあり、それがまた、次世代のアルコール依存症者とその家族に勇気を与えることであろう。

いろんな病気があるこの世の中、私の家族には、アルコール依存症という病気が降りかかってしまったのだと受け入れ、それと一緒に生きていくしかない。

私は、普通の社会生活を営めなくなった人達が、長い時間を経て回復し、無事に社会復帰をしたという話を聞くのが好きだ。

それは引きこもりでもいい、精神を病んだ人の話でもいい。

世間から隔離された廃人のような生活を送っていたという点では、アルコール依存症者と置かれている状況に何ら変わりはない。

洗脳された人が、異様な生活から脱却し、社会復帰をして普通の生活に戻った、という話も好きである。

特に、世界的ロックバンドの X JAPAN のToshlさんが１２年も洗脳され、それでも長い年月の後にこうして普通の生活に戻って来られたという話には、私はとても勇気づけられた。

洗脳で無駄にしてしまった彼の１２年。

間違った信条、病気で時間を無駄に過ごし、周りの人達からの信用やお金、仕事、健康、そして家族を失ったアルコール依存症者達と、状況は少し似ていないだろうか？

一度堕ちてどん底を味わっても、そこからまた這い上がっていけばいい。

失敗はあったかも知れないけど、また人生新しくやり直すことができるんだ、と勇気をくれるアルコール依存症の回復者達、そしてToshlさん。（笑）

私は彼らにいつも勇気づけられ、それが病気の回復と平穏な将来への希望になっています。