2019年10月07日
緻密な絵が贅沢に描き込まれた本格魔法ファンタジー漫画
このマンガの特徴は、何と言ってもその“絵”です。
まるで古いヨーロッパの細密画のような、びっくりするほど緻密で繊細な線で描き込まれた人物や背景、そして魔法効果の“絵”です。
連載作品(月刊誌)とは思えない絵の細かさにも驚愕しますが、世界観を彩る背景やファッションなどの独特なデザイン・センスにも唸らされます。
さらには、さりげない構図、人物のポージングが、いちいち格好良くキマっているのです。
それはまるで、古いメルヘン童話の挿絵集かアール・ヌーヴォーの画家さんの画集でも見ているような気分です。
前作「エニデヴィ(※)」の頃から、何気ない1コマ1コマがまるでポスター・デザインのように格好良いと感じていましたが、今作は「魔法ファンタジー」という世界観と絵の雰囲気が見事にハマっていて、とてつもない相乗効果を生んでいます。
石の一つ一つまで丁寧に描かれた石畳の道、西洋絵画から抜け出してきたかのようなドラゴン、空に浮かぶ“山脈”等々…絵を見ているだけで物語の世界に引き込まれてしまいます。
また、魔法の設定が細かく魅力的に描写されていて「主人公たちと一緒に魔法のルールを学んでいけば本当に魔法が使えるようになるのではないか」と思わせてくれるリアリティーがあります。
ストーリーの根本が主人公の女の子たちの成長物語であるところも王道で良いですし、何となく、ほっとするような安心感があります。
…とは言いつつ、ほっこりするだけの物語ではなく、怪しげな敵(?)が暗躍していたり、主人公が魔法の道に進むきっかけが相当な大事件ですので、ハラハラ・ドキドキ、ナゾに満ちた展開もしっかりあるのですが。
ちなみにこのマンガ、日本で書店員さんが選ぶ「おすすめコミック」の第1位に選ばれている(2018年)他、フランスやスペインでも様々な賞を受賞していますが、ヨーロッパで評価されているというのは個人的に納得です。
絵や世界観から受けるイメージが「西洋ファンタジーど真ん中!」という感じですので。
天使女子と悪魔女子が地上を巻き込んで大暴れするコメディです。
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