映画『センセイ君主』を観てきました。

ジャンル分けすれば「ラブコメ」の部類に入るのでしょうが、少なくとも序盤はスラプスティック要素満載のドタバタ喜劇といった感じで、イケメン教師とJKの恋愛という主題は、むしろ副次的なものになっています。

『近キョリ恋愛』的なテイストを期待して観に行く観客も多いと思いますが、そういう層にはおそらくあまり受けないだろうと思います。

冒頭から、あゆはとあおいの顔芸とギャグ漫画的なノリのセリフの掛け合いで、物語の陰影や緩急などおかまいなしにスピーディーにストーリーが展開していく。

前半は恋愛こじらせ女子・あゆはが己のリビドーに振り回されつつ、周囲のキャラクターたちを巻き込んで暴走する狂瀾怒濤の展開に終始するのですが、あゆはが恋する担任教師・由貴の元同級生・秋香が登場するあたりで物語が転調します。

徐々に少女漫画のテイストが強くなってくる。

つまり正統なラブコメ路線になっていくのですが、個人的にはこの流れにはあまり面白みを感じなかった。

もっとあゆはの強烈なキャラを前面に出して描いてほしかったし、なによりあおいの存在感が薄くなってしまったのが残念でした。

あおいと、矢本悠馬が演じた彼氏のバカップルぶりが見事にハマっていたので、もっとこの二人をエピソードに絡めてほしかったというのも不満としてあります。


それにしても、ヒロインのあゆはを演じた浜辺美波は、よくあそこまで振り切った芝居をしたなと感心しました。

清楚で端正な顔立ちで、おそらくキャラクターも素の彼女とはかけ離れていると思いますが、あゆはとして全く違和感を感じなかった。

加えて、あおい役の川栄李奈もとても良かった。

コメディエンヌとしての彼女の才能がいかんなく発揮されていたと思います。

映画作品としての出来に関して言えば、前半で飛ばしに飛ばした結果、中盤から後半にかけて息切れした感じがあります。

5点満点中3.5点といったところでしょうか。



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