☆福祉事業所がもらえる助成金 その2☆

福祉事業所がもらえる助成金

助成金という、福祉事業所を立ち上げる際や運営していく中で、支給され活用できる制度があります。この助成金は返還の必要がありません。

一定の要件を満たすことはもちろん、申請時にはさまざまな書類を提出しなければなりません。そして、助成後もきちんと一定の書類をそろえて報告しなければならないなどいろいろな条件があります。

 

雇用関係の助成金をもらうための要件

助成金にはいろいろ種類があります。それぞれ受給要件が定められています。

どの助成金にも共通する要件もあるので、まずそれを満たしているかどうかをご確認しましょう。

共通の受給要件

・雇用保険に加入していること

・審査に協力すること(書類の整備・保管、提出)

・実地調査を受け入れること

・申請期間内に申請を行うこと

・不正受給をしてから3年以内の事業主でないこと

・申請後、支給決定日までに不正受給をしていないこと

・労働保険料を納入していること

・労働関係法令の違反がないこと

・非社会的組織が事業主でないこと

・支給決定日の時点で倒産していないこと

・事業主名等の公表について同意していること

 

雇用保険の適用事業所になるためには、雇用保険の被保険者になる方(20時間以上勤務など)を雇用していることが求められます。これについては、申請時に雇用していなくても、後日雇用した時点で、雇用保険の適用事業所となることで要件を満たすことができる場合があります。

 

従業員を採用する時にもらえる助成金

 

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

厚生労働省HP該当URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html

高年齢者(60歳以上65歳未満)や障がい者(重度も含む)、母子家庭(世帯主である母親)などをハローワーク等の紹介により雇入れる場合、最大240万円もらえる助成金です。平成30年10月1日から制度変更が行われており、支給要件が変更となりました。変更点としては、

 

・助成対象期間中に対象労働者を解雇・雇止めをした場合、従来の助成金の返還要求から、以後3年間不支給へ変更

 

・支給対象期の途中で、対象労働者が離職した場合、従来の離職した月までを助成対象期間として助成金を個別支給していましたが、今後支給対象期間の6ヶ月以内を超えない場合は、原則不支給へ変更

 

上記2点が変更点となっており、事業主の解雇、雇止めを防ぐ意味合いが強くなっているので、注意して下さい。

又、以下に記載してい各助成金で、同様の支給変更がされているのは以下となります。

 

・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

・特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発コース)

・特定求職者雇用開発助成金(発達障がい者、難治性疾患患者雇用開発コース)

・特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

・特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

 

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

厚生労働省HP該当URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_kounenrei.html

 

雇入れ時の満年齢が65歳以上の高年齢者を、ハローワーク等の紹介により1年以上継続して雇用した場合、最大70万円もらえる助成金です。

 

特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発コース)

厚生労働省HP該当URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_hisai.html

 

平成23年5月2日以降、東日本大震災による被災離職者、被災求職者をハローワーク等の紹介により、1年以上、労働者として雇い入れた場合に、最大で60万円支給される助成金です。こちらの制度は、助成金の対象者を10人以上雇い入れ、1年以上雇用が継続した場合、1事業所につき、1回、60万円の助成金が上乗せされて支給されます。

 

こちらの制度も平成30年10月1日より、支給要件の一部を変更しており、変更内容は特定就職困難者コースと同じです。気になる方はHPで詳細をご確認下さい。

 

特定求職者雇用開発助成金(発達障がい者、難治性疾患患者雇用開発コース)

厚生労働省HP該当URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/hattatsu_nanchi.html

 

発達障がいや難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により、2年以上の雇用が継続している、かつ、対象労働者が65歳以上に達するまで継続雇用する見込みがある場合に、事業主に対して、最大で120万円支給される助成金です。支給要件が、他と比べると厳しくなっていますが、その分助成金の額も大きくなっており、発達障がい者などの就業困難な方たちに対して、長期的に付き合えることができる環境を整えている事業者向けとなっています。

 

特定求職者雇用開発助成金(障がい者初回雇用コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_shokai.html

 

障がい者雇用の経験がない中小企業(労働者数45.5人~300人)が初めて障がい者を雇用し、当該雇い入れによって、法定雇用率を達成した場合に、最大120万円の助成金が支給されます。法定雇用率、障がい者の雇用実績などの受給要件があるので、興味のある方はぜひHPをご覧下さい。

 

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158169_00001.html

 

令和2年2月14日から開始されたこの制度は、いわゆる就職氷河期世代に当たる方を対象としており(雇い入れ時、満35歳以上~55歳未満)、最大で60万円(大企業は50万円)助成金が支給されます。年齢以外の受給要件は、過去5年間で正社員雇用期間が1年未満、雇い入れ日の前日から起算して過去1年間、正社員として雇用されたことがない、ハローワーク利用時に失業しているか、非正規雇用の職についており、ハローワークを利用して正社員を目指している方が、受給要件となっています。

 

事業者は中堅の人財とお金を獲得でき、求職者は正社員の職を得ることができるので、氷河期世代には嬉しい助成金制度と言えます。

 

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139221.html

 

生活保護を受けており、3ヶ月を超えて受給している方で、ハローワーク等の紹介により、2年以上継続して雇用し、満65歳までの雇用が確実の場合、最大で60万円の助成金が支給されます。

 

65歳超雇用推進助成金

https://www.jeed.or.jp/elderly/subsidy/

こちらの助成金は3つコースから成り、生涯現役社会を実現するためを主旨として設計された助成金制度となっています。

 

・65歳超継続雇用推進コース

定年の定めの廃止、65歳以上の定年引上げ、希望者全員を66歳以上の年齢まで継続雇用制度の導入のうちのいずれかを受給要件としており、受給要件によって、支給される助成金の額も変わります。1事業主1回限りとなっているのでご注意下さい。詳しくはHPをご覧ください。

 

・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高齢者の就業環境を整備した事業者に対して支給される助成金です。「雇用管理整備計画」を作成し、高齢・障害・求職者雇用支援機構の理事長に提出し、その認定を受ける必要があります。認定を受けた後の支給額は、雇用管理整備計画の実施中に、見直しのためにかかった支給対象経費の60%を乗じて得た額となっています。(生産性要件を満たした事業者に対しては、75%を乗じて得た額となっています。)

 

生産性要件について詳しくは下記のURLをご確認下さい。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html

支給対象となる事業主の要件は以下のURLに詳細に記載されていますので、ご確認下さい。

https://www.jeed.or.jp/elderly/subsidy/subsidy_youken.html

 

・高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上かつ定年年齢未満の有期雇用契約労働者を無期雇用契約労働者に転換させた事業主に対して、国の予算の範囲内で助成金を支給する制度です。受給要件は、「無期雇用転換計画」を作成し、同機構理事長に提出して認定を受け、計画通りに実施することが必要になります。受給金額は、無期雇用労働者に転換された対象労働者1人につき48万円(中小企業以外は38万円)を支給する助成金制度となります。又、生産性要件を満たした場合は、対象労働者1人につき、60万円(中小企業以外は48万円)の支給となります。

 

*こちらのコースは併給調整がされており、同一事由によって、国や地方から補助金を得ていた場合は支給対象外となるのでご注意下さい。

 

高年齢者雇用安定助成金(高年齢者活用促進コース)

高年齢者雇用安定助成金(高年齢者労働支援コース)

こちらの助成金は、平成29年3月31日をもって廃止されました。経過措置に関しては、下記のURLをご確認下さい。

https://www.jeed.or.jp/elderly/subsidy/keikasoti.html

 

 

トライアル雇用奨励金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、常用雇用に移行することを目的に一定期間試行雇用した場合に、最大12~15万円もらえる助成金です。平成31年4月1日から、従来の対象者の範囲を拡充して、ニートやフリータで45歳未満の方、生活困窮者の方も追加されているので、より活用し易い制度となりました。

又、現在、新型コロナウイルスによる休業要請に伴い、特例的にトライアル期間を変更できます。トライアル雇用を実施中の方は、一度目を通してみることをオススメします。

障がい者トライアルコース・障がい者短時間トライアルコース

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial.html

 

継続した就職が困難な方を対象に、ハローワーク等の紹介を通して、最長6ヶ月間雇用継続すると支給される助成金です。主に以下の2つに分かれ、

 

・対象者が精神障がい者の場合:月額最大8万円を3ヶ月間支給、月額最大4万円を3ヶ月間支給(計最長6ヶ月)

 

・それ以外の対象者:月額最大4万円(最長3ヶ月間)

 

短時間トライアルコースに関しては、週の所定労働時間が、10時間以上~20時間未満としており、短時間勤務でも事業主が助成金制度を活用できるように設計されています。支給対象者一人につき、月額最大4万円(最長12ヶ月間)支給されます。

 

短時間の雇用でも支給される助成金なので、長期間の雇用に自信がない事業主の方にとっては、取り組みやすい助成金制度と言えます。

 

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00005.html

事業主が、雇用管理制度の導入により、雇用環境を改善し、離職率の低下に取り組んだ場合に支給される助成金です。雇用管理制度整備計画書を作成し、管轄の労働局の認定を受ける必要があります。計画書には、評価処遇制度、メンター制度、健康への取り組みなどの5つの事項を記載する必要があります。計画書提出前1年間と、終了後1年間の離職率を対比させ、事業所の人数ごとにパーセントで減少率が明記されているので、その数値を目標に離職率の低下に取り組むことができます。

受給金額は、57万円(生産性要件を満たした場合は、72万円)となっており、離職率の低下の取り組みがお金になるので、積極的に活用したい助成金と言えます。

 

人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00006.html

介護事業主が、介護機器の導入により、離職率の低下に取り組んだ場合に支給される助成金です。対象となる機器は、令和2年に変更となり、移動・昇降用リフト、装着型移乗介助機器、体位変換支援機器、特殊浴槽となっています。

こちらも介護労働者の生産性向上の為及び介護福祉機器導入の計画書を作成し、管轄する労働局長の認定が必要となります。又、計画前の1年間と計画後の1年間を対比させ、こちらも事業所の人数ごとにパーセントで減少率が明記されているので、その数値を目標に離職率の低下に取り組むことができます。

受給金額は、機器導入助成金として、機器導入費用、保守費用、研修費用の総額の25%(上限125万円)、離職率目標達成助成金として、先述の合計の20%(生産性要件を満たした場合は35%、上限150万円)となっています。

 

人材確保等支援助成金(介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00007.html

介護事業主及び保育労働者の職場への定着、離職率の低下を促す助成金です。介護・保育賃金制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けることと、その計画書に基づき、計画期間内に賃金制度の整備、実地する事が要件となっています。

受給金額は、計画書前の1年と、計画終了後の1年を対比させ、こちらも事業所の人数ごとにパーセントで減少率が明記されているので、その数値を目標に離職率の低下に取り組むことができます。こちらは、第2回目も実施され、計画期間の終了から3年経過するまでの離職率が、第1回目の離職率の減少率を維持しているとさらに助成金が支給されます。金額は、制度整備で50万円、目標達成助成(第1回目)で57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)、目標達成助成(第2回目)で85.5万円(同要件を満たした場合は108万円)の助成金が支給されます。

 

*職場定着支援助成金は、平成30年4月1日から、上記の人材確保等支援助成金へ統合されています。

 

キャリアアップ助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

非正規雇用の労働者のキャリアアップ等を促進するため、これらの取り組みを実施した事業主に対して助成される助成金です。令和2年に一部改正がある為、一度URLにてご確認下さい。

 

人材開発支援助成金

(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

雇用する労働者のキャリア形成の促進の為に、職業訓練等を雇用者に受講させる事業者に対して、助成金を支給する制度です。助成メニューは7類型あり、幅広い雇用者が対象となっているので、事業者にとって取り組みやすい助成金制度と言えます。改正ども頻繁にあるため、興味のある方はHPをご確認下さい。

 

*キャリア形成促進助成金は平成29年3月で上記の助成金へ名称変更となりました。

 

※令和2年度時点

 

助成金の制度や利用できる助成金については常に変化します。事前に計画書などを出しておかなければならない助成金もあります。助成金を受給したいという法人は早めにハローワークや社労士に相談するといいでしょう。

 

助成金の申請はタイミングです!!

 

助成金がもらえるならもらいたい!と思われる法人様が絶対数です。

しかし、助成金をもらうためには「タイミング」が必要です。

要件に該当する職員を雇うこと、職業訓練等を受けさせること、機器等を購入すること・・・すべては事業開始または事業の発展のタイミングにあわないと、該当する助成金をもらうことはできません。

助成金をもらうために事業開始を遅らす、申請手続きを一時ストップするということになれば本末転倒です。

ですので、これからどういうことをするのか、それによってどういう助成金がもらえるのかを、事前に確認した上で動かなければなりません。

弊所は、介護サービスの指定申請がスムーズに行えるよう手続きを代行をし、会社・法人の設立から助成金の申請、事業開始後の労務相談までをトータルサポートします。

 

 

本記事での感想・分析・結果はあくまで筆者個人のものであります。

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