キャプチャ.PNG-77
「日本は唯一の被爆国」と強調する吉永小百合さん=東京都千代田区で2018年9月24日、水本俊也さん撮影

 国連が定めた核兵器の全面的廃絶のための国際デー(26日)を前に、東京都千代田区の明治大駿河台キャンパスで24日開かれたイベントに、女優の吉永小百合さんがゲスト参加した。

吉永さんは、昨年国連で採択された核兵器禁止条約について「日本にいる私たちの声を大きくして日本政府に届け、条約を批准することが大事」と訴え、約550人の参加者に「日本は唯一の被爆国。私の声は小さいけれど『みんなで考えましょうよ』と言いたいと切実に思っている」と呼びかけた。

 イベントは、核兵器廃絶日本NGO連絡会が主催し、国連広報センターが共催した「核兵器なき世界へ向けて 被爆国の役割を考える」。

原爆詩の朗読を続けてきた吉永さんに、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲さんらが出席を打診し、吉永さんと川崎さんの対談の形で実現した。

 昨年のノーベル平和賞を受賞したICANに贈られたメダルを手に、吉永さんは「すばらしいですね」と感嘆した。

近年の国際社会における核廃絶の機運の高まりの一方で「核兵器禁止条約を知らない人が日本には多い気がする」と指摘。「条約に『いいね』と意思表示をしたい。若い人はネットでできるし、私たち世代でもそう言えるようにしたい」と右手を挙げて笑顔を見せた。

 基調講演では、日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳(てるみ)代表委員が、海外で被害者が被爆の実相を訴える機会が増え、核兵器禁止条約制定につながったと強調。

一方で条約の批准国が増えずに発効しない現状について「署名も批准もしない日本政府を動かすのが最大の課題」と訴えた。【成田有佳】


核兵器禁止条約 今こそ日本批准
NGOイベントで声
吉永小百合さん“被爆国として発信を”


 「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」を前にした24日、核兵器廃絶日本NGО連絡会は、東京都内で記念イベント「核なき世界へ向けて 被爆国の役割を考える」を開催しました。

 主催者を代表してあいさつした核兵器廃絶日本NGО連絡会共同世話人の森瀧春子さんは、昨年、核兵器禁止条約が採択されたことにふれ「私たちが核兵器を滅ぼさなければ、私たちが滅ぼされる」と述べ、日本は率先して禁止条約を批准すべきだと語りました。

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員が「核兵器廃絶への道筋に光は見えた」と題して講演。

日本が米国の「核の傘」に入り、禁止条約に参加していないことを批判。

これからの武力戦争は、核戦争に発展する可能性があると述べ、核戦争を防ぐためには「国家間の戦争について、武器を持って対応しない。戦争をしないと誓った日本の平和憲法や憲法9条こそが安全保障になる」と語りました。

 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の川崎哲(あきら)国際運営委員と俳優の吉永小百合さんとのトークセッションで、

吉永さんは「平和のことや核兵器廃絶のことを被爆国として発信しましょう。禁止条約がせっかくできたので、日本政府に働きかけましょう」と呼びかけました。

 外務省軍備管理軍縮課長の今西靖治さん、ミドルベリー国際大学院ジェームズ・マーティン不拡散研究所の土岐雅子さん、ナガサキ・ユース代表団第6期生の工藤恭綺(みつき)さんが「軍縮教育の可能性―核兵器廃絶と市民社会」についてパネルディスカッションしました。日本被団協の木戸季市(すえいち)事務局長がヒバクシャ国際署名を呼びかけました。