妄想に理解のない方はリターンお願いしますね

大丈夫な方はレッツゴー


***



.side



「うわっ、すげぇ」



「あははっ、沢山あるからどれだけ飲んでも大丈夫だよ」



「さすがに僕でもこんなに飲めないでっすよ」



「時間はあるし、ゆっくり飲めば?」



「....」



「なんなら泊まればいい」



「そー...すね」



利用したらいい


簡単だ

わかりやすく誘ってくるこの男に

身を委ねるだけでいい



なにも初めてじゃない

勿体ぶるようなもんでもない



何より....一度でもユノ以外と関係を持ったら

間違ってもユノに戻ろうなんてバカな考えに引きずられなくてすむ



止まらない振り子みたいな感情に終止符を打て




簡単だ




マヨウヒツヨウナンテナイ




頭ではわかってるのに

心が悪あがきする



勧められるままに口にする赤ワインは、とても贅沢で何時もギュラインで飲むワインとは多分全然違うものなんだろう



キュヒョンに話したら羨ましがるだろうな、なんてどーでもいい事を考える自分じゃない自分



ジョンスさんは大人の男って感じ、テイスティングの仕方ひとつとっても堂に入ったもので、ワインを注ぎながら話されるブドウの品種やワイナリー、ヴィンテージの定義など、話題が途切れることがない




『ううっ...チャンミナ...苦い...』



『は?苦くねえですよ!渋いって言うんです...こーやって〜デカンタージュして〜』



僕がユノに得意げに披露してたウンチクなんて今思えば笑ってしまう様な代物



でもユノは何時だって、ふんふんって大袈裟なくらい相槌打って



『チャンミナすごいな〜カッコいいなあ〜』



溶けそうな笑顔でそう言ってくれた

僕はそれが嬉しくて、密かに色々調べてはまるで自分が昔から知ってたみたいにその蘊蓄を披露した



『仕方ねえですから、教えてあげます』



なんて...あり得ないくらい恥ずかしい

まあ、ユノだって理解してたか怪しいけど



品種とかワイナリー、その背景も含めてワインを楽しみたい僕と違ってユノはもっと感覚的でシンプル



『これ、ダメ!苦い!』


『美味しい!おーーっこれ飲める!』



自分の口に合うか否か

飲めるか、飲めないか

ほんとユノらしくて笑える



「ふふっ」


「ん?何か可笑しかった?」


「あっ、や...別に」



目の前にいるのはジョンスさんなのに

僕の頭の中、ユノだらけ



「じゃあ酔った?....退屈かな?」



「いいえ...」



大好きなワインを前にして

興味があるワインの蘊蓄を教えてもらう

退屈なんて、そんな事あるはずない

全部、興味がある事ばかり




趣味も嗜好も僕とは全然違うユノとは大違い




全然違う...違うのに



ユノとの時間は

最高に楽しかった




「ああ、もうこんな時間か。

....泊まってく?チャンミン」



テーブルに置いた手に重ねられたジョンスさんの熱に反射的に手を引いてしまって、そんな往生際の悪い自分に舌打ちする



シッカリシロ、チャンミン




『ゆっくりしといで』


そう言って僕を送り出す癖に



『チャンミンもう帰る?ヒョンが迎えに行こうか?』


何時だって日付の変わる前に待ちきれないユノから連絡がきた



『は?ひとりで帰れます!煩い!』


かかってきた電話に文句を言うくせに

何時ユノから連絡がきてもわかるようにテーブルのよく見える位置にスマホをスタンバイする僕



自覚してなかっただけで

いつだって日常のちょっとした事に

お互いへの大好きが溢れてた



ユノ、ユノ、ユノ...

僕の中、笑っちゃうくらいユノばっかり



「チャンミン?」



僕の頭の中なんて知らないジョンスさんの視線の熱が逆にどんどん僕から熱を奪っていく


逃れるように下げた視線の先には、真っ暗な画面のスマホ



テーブルに置かれたスマホは、僕の中の無意識がユノを求めてる証みたいで苦しい




鳴るはずのない音を

鳴ってはいけない音を



求めてしまう心が



「...泊まって...いいですか」




...痛いよ、ユノ。





あわわわわっ...えらいこっちゃ←お前が言うなですね...


僕の中のユノが消せないなら...ユノに戻れなくなればいい。もう他に道はないんです。...これ以上ユノを苦しめたくない


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村