サックス
退屈な日曜日 おじさんの長い一日が始まった 最近日曜日の楽しみといえば 競馬くらいだ 

その男は 万馬券でも当てて 楽しい日常を送る妄想を繰り返しながら 朝早くから起きている
朝飯を食べて 競馬サイトを閲覧したのち だらだらとテレビを眺めている ありふれた日常だ
煙草をふかし 情報番組をひたすら観ている 

部屋の片隅には ホコリをかぶり すっかりと輝きを無くした アルトサックスが 寂し気に立っている
その男は ゆっくりと サックスを首にかけ 息を吹き込んだ 長い間置き去りにされてきた 魂の音色に生命が宿る瞬間だ お気に入りの デヴィッドサンボーン の 一曲を奏でだした そのときだ!

スィー ピーピィー 全然吹かれへんやん こりゃ近所迷惑や ただの嫌がれせですやん
もともと下手やったのに 指を骨折してから 全く触ってなかったので こりゃいかんですは

楽器とゆー奴はやっぱり 毎日触らんといかんですな という お話でした 終わり。