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北電の人為的ミス問わず 否めない「結論ありき」 全域停電検証委』(10/10 北海道新聞)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/236399/

胆振東部地震後の道内全域停電(ブラックアウト)について原因と対策を解明する9日の第2回検証委員会(委員長・横山明彦東大大学院教授)は、月内に示すとしていた再発防止策を早くも打ち出した。(略)

「マニュアルに応じて行われ、明らかな人為的ミスはなかった」。電力復旧作業に当たった北電の対応について、検証委員長の横山氏(先端エネルギー工学)は、会合後の記者会見でこう強調した。ブラックアウトに至る経緯を検証した初会合後にも、横山氏は「停電するまでの運用は適切だった」と発言。2回で計約4時間の会合で、横山氏と専門家の委員3人から北電の責任を厳しく問う場面はなかった。(略)

。ブラックアウトは指針が求める事態を大幅に上回ったためだとし「北電は非常によく頑張ったが、不幸な結果になった」と総括した。(略)

 

電力広域的運営推進機関による胆振東部地震に伴うブラックアウトの検証委員会第2回会合が開かれ、中間報告を前にして、ブラックアウト発生は不可抗力であり北海道電力の人為的ミスを認めないというコメントが公表された。

 

これは当然の結果だろう。

 

北海道電力は、200万㎾もの発電能力を持つエース格たる泊原発を無理矢理止められ、ピーク時500万㎾の道内電力需要をオンボロ火力発電や本州からの輸入で賄わざるを得ず、電力供給は穴だらけ、収益も激減という二重苦を強いられてきた。

 

関電、九電、四電で再稼働が認められたのに、泊原発は、原子力規制委員会から根拠不明なケチをつけられた挙句の事故が、今回のブラックアウト襲来であった

このことを反原発派や原発懐疑派の連中は、よくよく肝に銘じてもらいたい。

 

業界紙である電氣新聞の記事にも、「原子力規制委員会の審査長期化に伴い、安価な電力を大量に生む原子力の泊発電所抜きで、不自由な需給運用を余儀なくされる中、少なくとも苫東厚真2基の脱落に耐える設備を維持していたことはあらためて評価されるべきだろう」とのコメントがあるが、まさにそのとおりだ。

 

マスコミをはじめとする反原発ゴロたちは、電力供給の主力プレーヤーを監禁された状態で大規模災害の不意打ちに遭った北電を犯人呼ばわりしてきたが、まだ中間・最終報告前の段階とはいえ、検証委員会が北電の人為的ミスを否定し、「非常によく頑張った、不幸な果であった」との趣旨のコメントをした意義は大きい。

 

しかし、今回の検証委の資料は、北電のミスこそ否定はしたものの、京極水力発電所が稼働していればブラックアウトは防げたと指摘し、再発防⽌策として京極発電所と苫東厚真発電所との連携強化や、北本連系のマージン拡大、強制停電の上限拡大を提案する内容であり、最重要ポイントである泊原発の再稼働に一切触れていないのは非常に残念だ

 

京極発電所が停止していたのは安全稼働のための定期点検中だったためであり、いまさらタラレバの話をしても無意味だろう

そんな細かい話ではなく、泊原発を再稼働させて苫東厚真火力発電所との二頭体制を確立できれば、北海道内の発電供給力にもずいぶんゆとりが生じ、老朽化した火力発電施設の整備に時間も金も充てられる。

 

反原発派は、北本連系強化や電源や発電設備の分散ばかりに固執するが、原発を止められているのは東日本地域の各電力会社も同じで、本州産電力とて無限に供給できるわけではない。

 

それこそ、北海道で実際に起きたように、首都圏直下型地震や東海地震、南海トラフ地震といった大震災に台風の襲来が重なるような不幸が重なり、本州地区の電力設備がズタズタになってしまう可能性とてゼロではないから、北本連系に頼り切ろうとする発想は非常にリスキーで心許ない。

 

そもそも、北海道内の電気を賄うのに、事の最初から本州頼みなのはあまりにも情けない。

立派な原発を抱えているのだから、きちんとそれを活用し、社内の技術者を育成しないと、この先のトラブル発生にうまく対応できなくなるだろう。

 

地震に対する原発施設の強靭性は、東日本大震災時に震度6弱の揺れと13mもの津波の襲来に耐えた女川原発や、熊本地震の際に震度4の揺れにビクともしなかった事例を見ても明らかで、胆振東部地震で泊原発が受けた揺れなど震度2でしかなく、まったく問題なかった。

 

北電は、自信を持って再稼働の準備を進めてもらいたいし、原子力規制委員会も誰も証明しようがない活断層の話を持ち出してグダグダ文句を言わず、北海道内のエネルギー安全保障の確立に協力すべきだ。

 

また、反原発派は、電源分散の切り札として再生エネルギーに過大な期待を抱きがちだが、現実は厳しい。

 

電氣新聞の記事にも、再生エネの脆弱性が次のように指摘されている。

出力変動型再生可能エネルギーの限界もあらわになった。太陽光は夜間で発電していなかったが、道内に30万キロワット程度ある風力は地震直後の周波数低下で早々に脱落した。

風力や太陽光は周波数や電圧の変動に弱く、すぐ解列してしまう。火力などの同期発電機と比べた際の違いであり弱点だ。この弱点が改善されなければ、個々の設備がどれだけ分散立地しようと、周波数などの変動が既定値を超えた時点で全設備が一斉に脱落してしまう。

 それは1カ所の大規模電源が脱落するリスクとなんら変わらない。地震後、大手メディアが「苫東厚真への一極集中」を問題視し、再生可能エネなど分散型電源の拡大を訴えたが、本質的な解決策になるとは言いがたい理由がここにある」

【参照先】https://www.denkishimbun.com/sp/33302

 

再生エネは、まだまだ一人歩きが難しい赤ん坊みたいなもので、主力電源の一角を占めるには荷が重すぎる。

せいぜい、家庭用自家発電の一部を担う程度の力にしかならない。

 

筆者はここ1か月あまり反原発ゴロを攻撃するエントリーを上げ続けてきたが、ゴロツキたちに反省の色は皆無だ。

“泊原発が動いていなくてかえってよかった”とか、“原発推進派は、反原発派のナイーヴなメンタルを理解せず、多様な意見を封じようとしている”などとネジの外れた愚見を吐き散らかすばかりで、大停電の被害に苦しめられた道民の苦労をガン無視し、現実から目を反らし続けている。

 

さて、上記ニュースと同じ日に、反原発ゴロの勇み足による失態が露呈し、周囲の冷笑を買っている。

 

北電へ賠償請求 コープが見送り 大停電、組合員から慎重意見』(10/10 北海道新聞)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/236371

コープさっぽろ(札幌)は9日、胆振東部地震後の全域停電(ブラックアウト)で発生した損害の賠償について、北海道電力への請求を当面見送ることを明らかにした。(略)

同コープによると請求方針の報道後、組合員の中から、北電の責任がはっきりしないことや、訴訟に発展することへの反対の声が寄せられたという。さらに、ネット情報を基に、電話やメールで、自らも新電力に参画するコープが北電を叩いているなどとする抗議が相次いだ。(略)」

 

筆者も実際にネット上で、「コープって反原発展開してたよね。手足縛り上げながら仕事させて、自然災害で仕事できなくなったら損害賠償って、ふざけてんのかと」とコープさっぽろの身勝手な態度を強く非難する意見を目にしたが、まったく同感だ。

 

コープグループは、運営するスーパーの店頭で青森県大間原発建設差し止め訴訟を訴えるポスターを堂々と張り出すなど、以前から反原発運動を積極的に繰り広げてきた。

自分たちが北電から発電施設のエース格を奪い、エネルギー供給力を貶めておきながら、いざ事故が起きたとたん被害者ヅラし、さんざん苛め抜いてきた北電をさらに責め立てるという傍若無人な態度には、さすがに周囲の人間も鼻白んだのだろう。

 

今回の訴訟の動きに対して、組合員から反発の声が上がったという事実は重い。

コープさっぽろは自らの不明を猛省し、いかがわしい訴訟屋紛いの愚行は厳に控えるべきだ。

 

コープとて、ブラックアウトの影響で多額の生鮮食品が廃棄処分になり、大きな損害を追った被害者であり、それは、一般の道民や企業も同じだし、北電とて同様に被害者なのだ。

 

被害者同士がいがみ合うような訴訟沙汰などまことに馬鹿げた行為であり、悪夢のような大停電被害を二度と起こさぬためにも、宗教的な反原発思想一旦横に置、エネルギーミックスの強靭化に向け、泊原発再稼働を軸とした適切な発電体制の実現に向け歩みを進めるべきだ。

 

北海道の厳しい冬はもうすぐそこまで迫っており、今後も未来永劫やってくるのだから…


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