『「国債は国民の資産だ」と叫ぶ人に教えたいこと~出口治明・権丈善一「日本の財政がこじれる訳」』
https://toyokeizai.net/articles/-/371371?page=1
「(略)――話は若干それますが、「インフレリスクを除けば、政府はいくらでも自国通貨建てで国債発行を行うことができ、財政赤字は問題ではない」と主張するMMT(現代貨幣理論)派は、まさに「国債は国民の資産」が理論の中心にありますね。

(出口)MMTは不出来なケインジアンの再来だ。MMTのいちばんの疑問は「政府がいくらでもお金を刷れるなら、なぜ税金を全廃すると主張しないか」という点だ。そこがロジカルに考えるといちばんの矛盾だ。本当にいくらでもお金を刷れるなら、MMT派は税金全廃を主張してほしい。

(権丈)あの話も将来インフレになる可能性は否定していない。そこは彼らも同意している。そしてその際は、政府は増税や給付のカットを行えばよいとする。たしかに、そういったことが将来起こるかもしれない。でもそのときそこで起こることは、富裕層の資産を守るために中・低所得者が、社会保障を削られて、そのうえ増税により、せっせと富裕層にお金を貢いでいるという所得の逆再分配だ。そのときに、中・低所得者の被害を極力小さくしておくためには、公的債務はなるべく増やしておきたくない。(略)」

出口氏曰く、「MMT信者に告ぐ。政府の通貨発行権を盾に取るなら、堂々と無税国家を主張せよ!」

これにビビったのが一部の教条的MMTerどもで、増税緊縮派の出口氏の恫喝に対して、「いえいえ旦那ぁ~、とんでもございません。お金の価値が認められるのは、なんてったって税金のおかげですから、税金が不要だなんて滅相もない。税金、バンザイ(/・ω・)/」と揉み手で媚を売る始末だ。

そこで腰抜けのMMTerに代わって、出口氏が切った子犬みたいな啖呵に対して、機能的財政論に基づく超積極財政派の一人としてこう返しておく。

「通貨発行権という独立国家固有の大権が存在するのは、経済原理を語るうえでイロハにも等しい常識中の常識である」
「その常識を知らぬバカが、”歳入=税金”という悪習を連綿と続けてきただけのこと」
「歳出財源を税に依存する考え方は、明治以前の極めて前時代的発想であり、管理通貨制度の意味を解さぬボンクラでしかあるまい」
「民間経済主体から取り上げた税だけで歳出を賄っていると、実体経済を巡る貨幣量が増えていかないから、日本は不況の永続化を免れまい」
「供給力が飛躍的発展を遂げた現代において、高レベルのインフレなど起き得ず、財源を決めてから政策を組み立てる時代はとうの昔に終わった」
「社会的課題をスピーディーに解決するための人材育成や技術発展こそが政策の第一命題であり、財源なんてのは、それに応じて貨幣製造により必要なだけ調達すればよい」
「”入るを量りて出ずるを為す”が通用したのは半世紀も前のこと。もはや”出ずるを決めて入るを創る(造る)”時代にパラダイムシフトしたことを認識すべき」
「貨幣価値の根源が税であった史実などまったく存在せず、99.99%の国民はそんな妄想を信じていない」
「国家たるもの、貨幣製造量に限界はない(=いくらでもお金を刷れる)。あとはせっかく刷ったお金が無駄な高インフレで蒸発することなく、国民生活の向上に資するよう、国民全体が供給力の高度化や強靭化に向けて不断の努力をすればよい」
「税は元々、徴税対象となるモノやサービスに対する懲罰であり、社会生活上生じる富の不公正の是正に多少役立つ程度の存在に過ぎず、それを歳入の柱に据える発想自体が無謀でしかない」
「税金全廃→無税国家の運営は十二分に可能であり、積極財政派を唱える論者なら、堂々とそれを訴えるべきだ」

また、権丈氏の「インフレになると社会保障費が削られて中・低所得者が損をするから、公的債務は減らしておくべき」との主張も、史実をガン無視した妄想だ。

いまとは比較にならぬほどインフレ率の高かった高度成長期、中でも狂乱物価と呼ばれた昭和48-49年の社会保障費の推移を見ても、インフレを理由に社会保障費を減らした事実など微塵も見当たらない。

それどころか、インフレ率が二桁超えも珍しくなかった高度成長期や20%を超えた狂乱物価の時代に、果たして時の政府はインフレ抑制策として社会保障費を減らしたかといえば、事実は真逆で、その間も社会保障費は右肩上がりで増え続けてきたし、それは歳出も同じことだ。
【参照先】
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/05.pdf

当時の政官界は、インフレの持つエネルギーに冷や水をぶっかけるような愚策に走ることなく、その熱量を技術革新や公共インフラ整備、国民所得UPの財源に充てて国富を増大化し、一国全体のインフレ耐性を上手く高め、誰もが「明日は今日より良い暮らしが待っている」という希望を抱ける社会を実現させたと言えよう。

しかるに、当時とは比べ物にならぬほど製造技術や流通網が発展し、海外から安価な物品調達も遥かに容易になった、つまり、インフレ耐性が強烈に強靭化した現在において、なぜ、インフレ程度のことで大切な社会保障費を削らねばならぬのか、権丈氏は合理的に説明すべきだ。

彼のような時代遅れのポンコツは、事実を検証する努力もせず、付け焼き刃程度の知識と慣習を基に、反射神経で「インフレ発生→増税だ、社会保障費抑制だ」と騒ぎ出す。

こういう幼稚な連中は、インフレを見て火事だと慌てふためくド素人ゆえ、炎を危険視するばかりで消火することしか頭になく、その火力や熱を活用するという発想がないし、その術を知らない。

高熱のインフレを起こすほど膨大な量の貨幣が、実体経済の毛細血管の中を猛烈なスピードで駆け巡るということは、個人や企業の努力や才覚次第で、これまでにないほど高収入や高収益を得る事ができるチャンスが、そこいらに幾らでも転がっていることを意味する。

これほど人々や企業の労働意欲を刺激することはあるまい。

まさに、”頑張った分だけ豊かになれる社会”、”努力が報われる社会”の到来であり、実体経済下にバラ撒かれた貨幣を少しでも多くせしめようとして投じられる努力や創意工夫の熱量によって、社会機構や製造技術、科学技術が飛躍的に発展し、より豊かで便利な社会、より生産性に優れた社会が創られていく。

出口氏や権丈氏みたいに、”国民を豊かにしたくない、社会を発展させたくない理由探し”ばかりに熱中する輩には社会構造の変化を読み解く力がなく、十年一日の如く「財源が足りない。増税だ~、社会保障費カットだ~」という無用な念仏を繰り返すだけだ。

彼らの愚論は、”所得低下→需要不足→供給サイド弱体化”という負の伝播をもたらし、日本の生産力を劣化させ、インフレ耐性を脆弱化させるだけの害悪でしかない。