今日は「高ROE企業が投資先として適格かは良く考えた方がよい」というお題で書きたいと思います。

経済雑誌とかを読むと、良く「ROE」という指標を見ますよね。ROEは「自己資本利益率」と言って、株主から調達した資金など(自己資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。

ROEは以下の式で算出されます。
ROE=当期純利益÷自己資本×100
(自己資本は、他人資本ではないもの、つまり銀行などからの借入金ではないもの。株主から調達した資金や内部留保など)

ROEが高いと、自己資本を効率的に使っていると判断でき、ROEが低いと効率的に自己資本を使っていない、つまり「こんなに金を使っているのに、何でちょっとしか稼げないの?」と株主から総スカンをくらうことになります。

最近、日本でもROEを高める経営をすることを目標にしている企業が多くなってきました。以前、アマノ(6436)が高ROE経営を目指すとして、株価が大幅に上昇したことがあります。これは、後ほど述べる自社株買いを実施してROEを高めたのですが。ニヤリ

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さて、最近の新型コロナショックで、ROEを高めることが企業価値向上に繋がるのか、疑問に思うようになりました。

まず、ROEは以下の計算式で算出されます。
ROE=当期純利益÷自己資本×100
これは、以下の計算式と同じです。
ROE=当期純利益/自己資本 × 100

上記の式からわかるように、ROEを高める方法としては、分子である①当期純利益を増やす、または分母である②自己資本を減らす、の二つの方法があります。

本来なら①の方法を取ってROEを高めるべきですが、今は②の自己資本を減らす方法でROEを高める方法を取る企業が多いです。

特に、自己資本を減らす方法としては、企業が内部留保などの余剰金を使って自社株買い」をすることが多いです。

内部留保が減るので
ROE=当期純利益/自己資本 × 100の分子である自己資本が小さくなるので、ROEが高くなります。

また、流通する株数が減るので、株主にとっては利益の分け前が増えます。つまり、自社株買いで、1株当たりの価値を高めらるれる効果もあります。

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ところで、最近は高ROE企業を目指して、利益を配当に回し、内部留保を積み増さない企業が増えてきているそうです。これは、欧米の企業が総じてROEが高く、日本の企業はROEが低いと言われ、海外の投資家から「ROEを高める経営をしろ!」と注文がつくからだそうです。そうは言っても、まだまだ内部留保を積み増す企業が多いのですが。

そうすると、ROE向上を目指す企業は、内部留保を積み増さず、自社株買いや株主への配当で還元しているため、余剰資金をなるべく持たないようなります。つまり「ROEを高めろ!」と注文をつけると、稼いだ利益の分け前を株主に多く還元するので、海外の投資家にとっては好都合なのです。海外のハゲタカファンドがROEを高めるよう注文つけるのはこんな目論みがあるのです。

しかし、ROEを高めると言うことは、人間で言うと脂肪を減らして筋肉質の身体に変化させるのと同じなので、一見良さそうなのですが、例えば、登山に行って道に迷って遭難したら余分な脂肪が無い分早く死ぬことになります。登山では、体内の脂肪を使ってはいけない、と言われていて、登山をしている時は携行食などできちんと食事をしなさい、と言われています。

そうすると、今回のような新型コロナショックのような、滅多に起こらないことが起こると高ROE企業の中には、内部留保が少ないため資金繰りに困り、倒産の憂き目に遭う可能性が高いものが出てくる可能性があります。

滅多に起こらないリスクをテールリスクと呼ぶのですが、高ROE経営は、この滅多に起こらないテールリスクが顕在化することで一瞬にして企業が倒産する問題をはらんでいます。

株主価値の向上のため、高ROE経営を目指すということは、自己資本を減らすなどという間違えた方法を取っていると、滅多に起こらないことで、資金繰りに困って倒産するリスクが増大する、ということを浮き彫りにしたと思います。

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しかし、高ROE経営がダメかというとそうではなくて、企業には「経営理念」とか「経営方針」という企業が向かうべき方向性が示されています。

企業は、この経営理念や経営方針に従って、利益を上げるための戦略を考え、目標を持ち、企業活動を行っています。「高ROE経営を目指すぞ!」と堂々と謳っている企業があることは、効率的に稼ぐために何をなすべきか、を考えて行動する企業だ、ということを示しています。この経営理念や経営方針に賛同する株主が株式を買って応援するんですよね。

もし、今回の新型コロナショックのようなテールリスクを考えて株式投資をするなら、企業が目指す方向性が、自分が考える投資先として適格か考えるしかないです。

株式投資を行う際、株主として企業が目指す方向性に賛同できるかを否かを考える必要があることを、今回の新型コロナショックは改めて教えてくれたと思います。

以上

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ROEとROAの関係を見ると、もう少し賢くなる

先程は高ROEが良い企業かは疑問だ、ということを書いたのですが、ROA(総資産利益率)との関係も頭に入れた方がいいです

まず、ROAは以下の式で表されます。
ROA=当期純利益÷総資産×100

これは、自己資本だけでなく借入金などの他人資本も含めた資本でどれくらい利益を出しているかを表す数値として使われています。

また、ROAは以下の式でも表されます。
ROA=売上高純利益率×総資産回転率
        =(当期純利益/売上高×100)×(売上高/総資産)
        =当期純利益/総資産×100
        =当期純利益÷総資産×100

売上高純利益率=当期純利益/売上高×100
→純利益が売上高に占める割合を示し、
これが高いほど、収益性が高いとみなされる。

総資産回転率=売上高/総資産
→企業の総資産が1年間に何回売上高という形
で回転したかを示し、これが高いほど資産効率
が良いとみなされる。

同じようにROEも以下のように表すことができます。
ROE=(売上高純利益率×総資産回転率)×財務レバレッジ 

財務レバレッジ =総資産÷自己資本
財務レバレッジ は、借入金などの他人資本が総資産に占める割合が高いほど、高くなります。つまり、財務レバレッジ が高い企業ほど、借入金や社債の返済や、利息の支払いに追われている可能性が高いと言えます。

ということは、ROEは以下のように表せるので、
ROE=(当期純利益/売上高×100)×(売上高/総資産)×総資産/自己資本  
つまり
ROE=当期純利益/自己資本×100
  =当期純利益÷自己資本×100となります。

なお、ROE=(売上高純利益率×総資産回転率)×財務レバレッジ の(売上高純利益率×総資産回転率)はROAそのものなので以下のようにも表せます。
ROE=ROA×財務レバレッジ 

ROE=ROA×財務レバレッジ ということは、ROEを高める方法としては、①ROAを高める、②財務レバレッジ を高める、ということになります。

ROAを高めるためには
ROA=売上高純利益率×総資産回転率
        =(当期純利益/売上高×100)×(売上高/総資産)
  =当期純利益/総資産×100
からわかるように
①純利益を増やす、②借入金などの他人資本を減らすして総資産を減らす③自己資本を減らして総資産を減らす、という方法があります。

そして、ROE=ROA×財務レバレッジ から、わかるようにROEを高める方法としては、以下のものがあるということです。

①純利益を増やす
②借入金などの他人資本を減らす
③自己資本を減らす
④財務レバレッジ を高める

企業の健全なあり方を考えると、ROEを高めるには、①純利益を増やす、②借入金などの他人資本を減らす、をすべきです。

しかし、ROEを高めるために、③自己資本を減らす、④財務レバレッジ を高める、をしていると、新型コロナショックのようなブラックスワンが発生したときには、危ないということです。

ちなみに、私はROEもROAも、さらにPBRもPERも見ていません。ニヤリ

株式投資の方法には絶対的な正解はありません。ご自身が正解だと思う方法を見つけてくださいね。ニコニコ

以上

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日銀買いか?大引け間際に急上昇

今日は「日銀買いか?大引け間際に急上昇」というお題で書きたいと思います。

今日は、志村けんさんがお亡くなりになったことが報じられたことをきっかけに、前場は一時800円を超えて下落しました。しかし、後場の大引け間際に日銀のETF買いと思われる買いが入ったことで、304円安の1万9084円で取引きを終了しました。

志村さんが人工心肺装置で治療中だと聞いていましたが、まさか、お亡くなりになるとは思ってもいませんでした。ご冥福をお祈り申し上げます。

いつも「天才!志村どうぶつ園」を見ていたのに、今後どうなるのでしょう?続くのかなぁ?

志村さんの治療に使われていた人工心肺装置「体外式膜型人工肺(ECMO)」は、患者の心臓や肺の肩代わりをするもので、患者の心臓と肺を休ませ、自身の免疫力で回復を待つ、という目的の装置だそうです。

この「切り札」とも言われる体外式膜型人工肺(ECMO)でも回復しない場合があるのかと思うと、新型コロナウイルスの恐ろしさを改めて感じるところです。

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さて、今日の大引け間際の上げを見て「日銀買っているなぁ」と思っていたら、案の定、日銀がETFを買っていました。日経平均・TOPIX型ETFを2004億円、企業支援のためのETFを12億円、計2016億円のETFを買っていました。

以前の記事でも、日銀の買いを見越した機関投資家が前場の安いところを買って、日銀が買ってくる後場の高いところで売れば儲かる、という方程式が出来つつある、と書いたことがあります。本当にこの方程式が成り立つようになったの?ニヤリ

以前は、日銀が買わないでいつ買うの?という時に、全然、日銀が買っていないことなんてザラでしたからね。全く、信用できないんですよ。

しかし、こんなに露骨に日銀がETFを買ってくるのは何かあるのか、と思いたくなりますよ。

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ところで、裁定取引の売り残を見ると、3/23から3/24にかけて1億株以上売り残が減ったのですが、その後、売り残の減り方が鈍くなってきています。

まだ、売り残が多く、3/26時点で、売り残が約7億5000万株、買い残は2億1500万株式となっています。

しかし、今日の時点での変化がわからないのですが、徐々に買い戻しが入っているようです。このため、日経平均やTOPIXの値動きが緩やかになってくる可能性があると思います。

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今日は、3月期末企業の配当権利落ち日なので、普通でも前週末より178円程度は下押しするのですが、304円程度で終わったので、平時の下落程度に持ち直してきたと思います。配当の再投資もあったので下落率が低く済んでいるようです。

日銀のETF買いは、多分、明日もあると思いますよ。明日(3/31)は、3月期末決算企業の締め日ですから、法人が保有している株式に評価損が出れば、3月期末決算企業の決算に影響が出ますし、さらに、日銀が保有しているETFに評価損が出ると、日銀の決算にも影響が出ますからね。(日銀は3月期末決算)

明日は、日銀が、がむしゃらに買ってくると思いますよ。最近の安いところで日銀が大量にETFを買っているので少し取得単価が下がったと思いますが、まだ、高いと思われます。

日銀の保有しているETFに評価損が出ると野党が大騒ぎしますからね。明日は、大幅上昇かも?


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