中日スポーツ

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11/16(土) 5:00配信

 

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ロシア杯男子SPで演技する宇野(AP)

 

◇15日 フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ第5戦ロシア杯(モスクワ)

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、2018年平昌冬季五輪銀メダリストで、第3戦のフランス杯8位の宇野昌磨(21)=トヨタ自動車、中京大=が87・29点で4位。第1戦のスケートアメリカ5位の友野一希(21)=同大=は80・98点の7位だった。アレクサンドル・サマリン(ロシア)が92・81点で首位に立った。

 宇野の顔に正直な思いが表れた。第3戦のフランス杯後に指導を仰いだステファン・ランビエルさんと座ったキス・アンド・クライ。87・29点という結果を確認すると安堵(あんど)感たっぷりの笑みが浮かぶ。報道陣の前でも同じ。開口一番こんな言葉を口にした。

 「めちゃめちゃホッとしましたよ!」

 この日は冒頭の4回転フリップで転倒。回転不足もとられた。だが、連続ジャンプを4回転トーループ―2回転トーループにして決めると、フランス杯で1本も決められなかったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させて出来栄え点2・51点の加点をゲット。スピンで細かいミスはあったが、内容には大きな手応えを感じていた。

 「今日はフリップを失敗してもその他のジャンプをまとめるのが課題だった。当たり前のことを当たり前にやるのは僕にとって難しいことだけど、それをやれたことにホッとしています」。もちろん、この日の糧にしたのは、フランス杯で味わった屈辱だった。

 GP自己ワーストの8位に終わり「どん底」まで落ちた形だったが、「スケートが好きという気持ちを確かめた」と前向きにとらえた。これからはい上がるだけと思うようになり、失敗を恐れることがなくなっていった。「気持ちってすごいですよね…」。この言葉に本音がこもっていた。

 もちろん、多くの課題は感じている。どん底から少しはい上がったかという質問には「まだ(フランス杯より)ましではありましたけど」と控えめだった。しかし、完全復活に向けた新たな第一歩を踏み出したことは確か。さらに前へ進むため、まずは16日のフリーで全力を尽くす。