気ままに英語あそび

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Don't sit on your butt all day! に学ぶ英語の身体感覚とは?【英語学習のヒント#2】

ヨガ

どうも、ねこらいたーです (= ̄ω ̄=)

 

今回は、He's been sitting on the document for more than a week. ってどんな意味?【句動詞表現#30】にて扱ったsit onを含む成句sit on one's rump[butt, behind, arse, ass]を見ていこうかと思います。

 

実は、この表現、英語における身体感覚の本質を学べる結構スゴイ表現なんです。

 

では、さっそく。

 

 

 

始めに

sitやonのコアイメージ或いはsit onの意味用法に関して詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

ただし、今回の内容とは直接的なつながりはないので読まれていなくても支障はないかと思います。

 

eigogakushu.hatenablog.jp

 

 

今回のターゲット表現

★sit on one's rump[butt, behind, arse, ass]

意味:①(行動すべき時に)じっとしている、何もしないでいる ②だらだらする

 

語彙解説

”one's”の後に入るのはどれも「尻」を意味する名詞です。behindは背中を意味しているように見えますが、実際は「後ろに付いているもの」ということで、尻の遠回し表現になっています。ただし、[   ]の中は右に行くほど下品な言い方になるので要注意です。特にarseとassの使用は避けましょう

 

rumpは日本語でも「ランプ肉」でお馴染みの単語ですね。英語でも"rump steak"(「ランプステーキ」)と言います。

 

 

sit onの後にくるのは「座る場所」?

使うときは”Don't sit on your butt all day!”(「一日中ぐーたらしてないで!」)のように言い、”one's”の部分はだらけている人を指す言葉が入ります。直訳すると「一日中、自分の尻に座るな!」という日本語になりますから、奇妙だなと思う方もいるかもしれませんね。

 

しかしこの違和感は、sit onの後ろにくるのが「座る場所」と考えていることからくるものであって、実はこの表現の本質はそこではありません。

 

sit onの後ろにくるのは、「座る場所」というよりもむしろ、「体を支えるもの」と考えるべきです。sit on a chairは、座った椅子で体を支えているからこのように言うのであって、単に座る場所だけを指しているわけではないのです。

 

実は、全く同じ発想が使われている表現を【句動詞表現#21】 にて扱いました。以下に該当部分を抜き出してみます。

 

跪く場合であれば膝で体を支えるのでget down on one's knees、片膝ならget down on one knee、両手をつくならget down on one's hands、片手ならget down on one hand、両手両膝をつくならget down on one's hands and one'skneesといった感じになり、表現としてはかなり多彩です。

 

 この場合のget downは「身をかがめる」の意で、例えばget down on one's kneesであれば、屈んで膝を付いて体を支えるので「跪く」という意味になっています。

 

このように、”onの後にくるのは座る場所”という考え方では限界があるのです。

 

 

「意識がいく」という観点

実は、ここまでは割と一般的に説明されていることなのですが、今考えている”sit on one's rump[butt, behind, arse, ass]”を理解するためには、もう一つ注目すべき観点があります。それは、onの後にくるものに対しては意識がいくという点です。

 

sit on a chairなら座るときに、椅子の位置を確認するなどして椅子に意識がいきますよね。先ほどの引用部分に出てきた表現も同様です。get down on one's kneesなら膝に意識がいきますし、両手をつくならget down on one's handsなら両手に意識がいきます。また、get down on one's hands and one'skneesなら両手両膝に意識がいきますね。

 

ところで、普通に座るときには尻を椅子など乗せて座りますが、では、なぜこの時にsit on one's rumpと言わないのでしょうか?

 

それは、座るときは尻で体を支えているということが余りに当然のこと過ぎて意識されないからでしょう。逆に言えば、座っているときに尻が意識されれば、sit on one's rumpという言い方ができるということ。

 

では、どういう場合に意識されるかといえば?

 

そうです。長時間座っている場合です。長時間座っていれば尻が痛くなりますよね。これこそがsit on one's rump[butt, behind, arse, ass]という言い方が存在する理由です。

 

長時間座っているからこそ、この成句が「①(行動すべき時に)じっとしている、何もしないでいる ②だらだらする」という意味になるのです。

 

他にも、よくある表現で、尻が意識されるものがあります。それが、fall on one's behind[bottom]あるいはland on one's behind[bottom]などの「尻もちをつく」という表現です。尻から転ぶので、尻に痛みを感じますよね。なので必然的に尻に意識がいきます。

 

 

この考え方の根拠

一応、上記の考え方の証拠となる表現があるので、ご紹介しますね。

 

立っている状態のときは「足」(=feet)で体を支えますので、普通は足は意識されませんよね。しかし、英語には”be on one's feet”'(「立っている」)という表現が存在します。なぜでしょう?

 

その答えは英英辞典にあります。以下はLDCEからの引用。

 

be on your feet a) to  be standing for a long time without having time to sit down

 

 (Longman  Dictionary of Contemporary English)

 

ハッキリと「座らずに長時間立っていること」と書いてありますね。これも、さきの発想と同じなんです。足で体を支えるというのは当然のことであり普通は意識されないですが、長時間同じ姿勢でいることで足が痛くなれば足に意識がどうしてもいくようになるのです。

 

 

おまけ

 be on one's feetが出たついでに似た表現もまとめて覚えてしまいましょう。

 

次の表現はどういう意味でしょうか?少し考えてみてください。解答は少し下にあります。

 

(1)She is off her feet.  

(2)He got to his feet.

 

 

 

 

 

 

 

(1)の解答

「彼女は今、横になっています」または「彼女は今、座っています」という意味。

 

ポイントは

 

be off one's feet

意味:①座っている、横になっている ②夢中で

 

です。

 

be off one's feetbe on one's feetの反対表現です。onの対義語であるoffが使われていることに注目すれば、「立っていない状態」がコアイメージなのでしょう。ここから「座っている、横になっている」という意味が出てくるのは、ある意味で当然ですよね。

 

面白いのは、「夢中で」という意味があるところです。次の例をご覧ください。

 

例1)I'm run off my feet.

「私は今、凄く忙しい」

 

例2)She carried John off his feet.

「彼女はジョンを虜にした」

 

例1)は 忙しいということは仕事などに意識が集中して、足などにまったく意識がいっていないということです。また例2)は人に夢中ということは全意識がその相手に集中しているということであって、こちらも自分の足なんか意識している余裕はないという感じなのでしょう。

 

 日本語でも「浮き足立つ」という表現がありますが、この感覚に近いところがありそうですね。

 

 

(2)の解答

「彼は立ち上がった」という意味。

 

ポイントは

 

to one's feet

意味:「立っている状態に」

 

です。

 

 これは、be off one's feetの状態からbe on one's feetの状態への変化を表す表現です。変化を表すので、He got[came] to his feet.(「彼は立ち上がった」)のように動作・変化を表す動詞とともに用います。

 

考え方としては、座っている或いは横になっている状態から立っている状態への「変化」を表すからtoを用いていると理解しておけばそれで十分だと思います。ちょうど、上の表現のoffやonのところに、toを代わりに入れてあげるだけですし。

 

あえて理屈をこねるならば、人が座っている状態・横になっている状態から立ち上がるとき上半身は自分の足に向かって少し接近するわけですから、この表現でtoが用いられているのは理にかなっているともいえそうです。

 

つまり、get[come] to one's feetとは「自分が自分の足に接近していく状態になる」ということであり、立ち上がる瞬間を切り取ったイメージとして理解することも可能ではあるでしょう。

 

 

まとめ

1.sit on~やget down on~などの身体的動作を表す表現においては、onの後にくるのは「座る場所」ではなく「体を支えるもの」と考えよう

 

2.footやbuttは「体を支えているもの」であるはずなのにonの後に通常来ないのは、当然のこと過ぎて意識されていないから

 

3.footやbuttのように、体を支えているにもかかわらず通常は意識されない部位であっても、痛みなどを感じるような場面であれば意識がそこに向かうため、onのあとにそれらの部位を置くことができる

 

 

 

 

 

いかがだったでしょうか。

 

なかなか学び甲斐のある表現でしたね。

 

では、また。

 

 

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