気ままに英語あそび

「なぜこういう英語表現になるの?」納得するまで気ままに考えたい! 効率重視の時代に逆行する英語学習ブログ

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come to(「正気づく」)の”to”って、副詞?それとも前置詞?【句動詞表現#41】

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皆さん、こんばんは。ねこらいたーです(= ̄ω ̄=) 

 

今回のテーマは「”to”に副詞用法があるのかどうか」。

 

前回までの補足でもあるので、珍しく短めな内容となってます(笑)

 

 

では始めますね。

 

 

 

 

どの話の補足?

 冒頭でも少し触れましたが、今回は前回までの補足でもあるので、どこの話題と繋がっているかを簡単にご紹介しておきます。

 

意外と知らない句動詞の事実って?(2)【句動詞表現#39】では以下の例文のoverが移動できないという説明をしたのですが、皆さん覚えてますか?

 

例)He got over to the house.

「彼はその家に到着した」

 

しかしその際、「toはどうして移動できないのか」に関しては、全体の説明が煩雑になりそうと思い省いてしまったので、今回はそこに関して補完しておこうと思った次第です。

 

 

 toには目的語が必要?

まず先に結論から言っておくと、少なくとも句動詞においては不変化詞"to"は必ず直後に目的語を必要とします。これが、さきの例文においてtoを他の位置に移動できない理由です。

 

このように言うと、

 

「えっ? toって前置詞用法しかないでしょ? だから移動できないのは当然じゃないの?」

 

と思われるかもしれません。

 

確かに最終的にはその結論になるのですが、そう結論するには、英和辞書の”to”の項目には副詞用法が記載されているという事実を説明する必要が出てきます。

 

実は意外と知らない句動詞の事実って?(1)【句動詞表現#38】において「副詞用法のない前置詞」にこのtoを含めなかったのですが、それはこの事情を考慮したからです。

 

しかしながら実際には、一般に副詞用法のtoが使われているとされる表現は明らかにto以下の目的語が省略されている表現でしかありません

 

例えば、よく例に挙がる

 

"come to"(「正気づく、我に返る」の意)

 

 

"fall to"(「仕事[食事]を始める」などの意)

 

は、それぞれ

 

"come to oneself[one's senses]"

 

 

"fall to a meal"

 

の明らかな省略表現と考えられ、特に前者の表現はそのままの形でも使われます

 

また、『ジーニアス英和大辞典』には以下のような記述があります。

 

 on, upなどからなる句動詞と違って、toは目的語の前へ出せない: push the door to / ×push to the door; cf. put a hat on / put on a hat.

 

ジーニアスのこの記述が意味するのは、toがonやupなどの完全な副詞として見なされていないということでしょう。

 

つまり、toの直後には省略された目的語があり、その目的語とセットで一つの意味のまとまりを作っているという意識が英語話者にあるため、勝手にtoの位置を変えることができないのです。

 

これに関しては、例えば上の引用箇所に出てきた

 

"push the door to"(「戸を押して閉める」)

 

であれば

 

「push the door to its closed position

 

の赤字部分のような目的語が省略されていると考えられます。

 

したがって、push the door toをpush to the doorとできないのは、push the door to its closed positionをpush to the door its closed positionとできないのと同じなんです。

 

以上のことから、toの副詞用法の正体は「目的語の省略された不変化詞」(いいかえれば、目的語の省略された前置詞)といえるでしょう(※)。つまり、come toなどの句動詞はあくまで目的語が省かれて見えないだけであって、本来は目的語がきちんとあるということ。

 

※不変化詞とは、句動詞で使われる「前置詞」(with, at, againstなど)と「場所・方向を表す副詞」(on, up, awayなど)をひとまとめにした言い方

 

したがって、不変化詞"to"は必ず直後に目的語が必要ということになります。

 

これがどういうことを意味するかと言いますと、不変化詞toは直後にある目的語とセットになって一つの意味のカタマリを形成するということです。なので、toとその目的語を分離することはできません

 

これこそが、以下の例にあるようなtoを他の位置に移動できない理由になります。

 

例)He got over to the house.

「彼はその家に到着した」

 

 

編集後記

さて、いかがだったでしょうか。

 

英語の参考書では、皆が「何となくそうだろうなぁ」と思っているような事項は逆に説明されないことが偶にありますが、今回の内容もそれに当たると思っています。

 

英語に限りませんが、常に基本に立ち返って考えるようにしたいものですね。

 

では、また。

 

 

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