跡地…(旧・白いゾーン)

悩める女性に向けて。 性、あるいは生き方を、SMという行為を通して書きだすブログ。 18禁。


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アイマスクをされて、意識は自分の内側へ


凛の体の痙攣が止まらなくなる。
いよいよ体の準備が整ったようだ。

凛の頭の中をいっぱいにしているのは、言葉で繋がった思考ではない。
「女である」その強い事実と衝動だけが、肉体と直結して凛の世界を構成している。

私は凛の顔を見やる。
うっとりと半開きになった瞳が、私の視線に気づく。

重い瞼はそのままに、逃げるように黒目が動く。

まだ、相手のことを気にすることだけは、半ば習慣として残っていた。
見えていると、あるいは見られていると、彼女は気になる性質なのだ。
自分が、相手にとってどう見えているのか、と。

私は彼女の視線を遮断することにする。
アイマスクが、その目元に装着される。
視界を暗闇に閉ざされた凛の感覚は、余計に皮膚感覚に集中する。

すっ

指を肌に滑らせると、がくりと膝が抜けた。
凛の呼気は一層に激しくなっていた。

RIN5


とまらない体


荒い息をし始めた凛をベッドに寝転がせる。

「感じている私を見られるのは恥ずかしいし、何だか許せません。それは屈辱的なことなんです」

彼女は、事前にそう言っていた。
そして、もう一つ望んでいた。

「感じても、逃げられないようにしちゃおうね」

私は、手錠を取り出す。
強制的な、快楽。
拘束しちゃえば、逃げられないから。

「だから、それを想像すると、興奮するんだと思います」

彼女の秘めた、性への憧れ。
女として、快楽を与えられることを避けながら、どうしても欲しかったもの。

子供のままだった「いい子」は、いよいよ女の階段を上がっていく。

手錠が、はめられる。
脚を抱きかかえるような姿勢で、身動きもとれない形に。

もう、逃げようもない。

彼女の脚をたっぷりと撫でさすり、股間へ触れられることへの期待感を昂らせる。

1分…2分…5分…10分…

視覚を遮断され、体の動きも封じられたまま、体中を触れられたあとに、ついにその指がクリト〇スに触れる。

「ああっ」

凛の腹筋が収縮し、ベッドをきしませながら、体が跳ねる。

もう、どこにも逃げられない。

あんなにイヤだったのに。

何物でもないわたしが、上で居られる場所。

やりたくてしょうがない、男の前。

馬鹿だね、と心の中で軽蔑していた存在に、今自分がなろうとしている。

気持ちよくなるのが嫌なんじゃない。
わたしを、わたしでなくしてほしかった。

がんじがらめの自分が、疎ましかった。

誰かが美味しいところを全部取り去っていった後の、残り物のような幸せで、満足なんてしたくない。

だって、今はもう、こんなに求めている。

「…イキたい、です」

彼女が絶頂するまでに、そこから長い時間はかからなかった。

自分の意志で、したいことをする


何度も上り詰めたあと、いやいやをするように限界のサインを出した凛の手錠を解き、アイマスクも外す。

乱れていた呼吸が落ち着いてくる。
代わりに、一つ一つの息が大きく、深いものになる。
お腹が膨らんだり、へこんだり。

眠る前の子猫のように、リラックスして、息をしている。

ぎくしゃくした始まりだったが、なんとか、彼女は望みを叶えてあげられたらしい。
私は安堵する。

一日、あれもこれも体験して疲れたであろう凛を気遣う。

「今日は、こんなものかな」

私の声に、凛はぴく、と反応する。

「あと、何かしてみたいことある?」

聞かれたあとに、しばらくの間が空いて。

そして、はっきりとした声で、彼女は答えた。

「あの、ハルトさんさえよければ…」

自分を押し殺し続けてきた女が、初めて口にする、フツウの願望。

「…このまま、最後までしてみたいです」

驚いて凛の顔を見やると、ちらりと目があう。
今朝にはまともに視線が合うこと自体なかったのに。

直ぐに逸らしてしまった瞳には、初めて意思の光が滲んでいたように見えた。

SMらしくないSMで、彼女が得たもの


帰り際、喉が渇いたからともう一度喫茶店に寄った。
目の前には、スイーツを食べながらあれこれと明るくお喋りする凛の姿があった。

一人の女になる心地よさ。
男へ対して隠し続けてきた反抗の気持ち。

いろんなものを、一回リセットして、彼女のアンバランスさは消え去っていた。
そこには年相応に大人で、でもエネルギーを満ちた一人の女がいた。

彼女の表情は、青春を謳歌する女子大生のように晴れやかだ。

M女だからって、SMプレイをしなたっていい。
M女だからって、威圧的に、支配的に接しなくたっていい。

彼女が差し出した心と体。
それに応えて、少しでも解いてあげられたのなら「体験」としては十分なんじゃないだろうか?

アイスティーを一口飲み、冷たさが喉を通り抜ける一瞬に。

色っぽく悶えていた女の残像が、脳裏をかすめて消えた。


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