小学生の百音は統理と二人暮らしだが
血は繋がってない。
朝になると同じマンションに住む路有が
朝ごはんを作りに来て一緒に食べる。
その生活を「変わっている」という人もいるけれど、
日々楽しく暮らしている。
彼らが住むマンションの屋上には
悪い縁を断ち切ってくれる神様を祀った
小さな神社があり、
「いろんなもの」が心に絡んだ人たちがやってくる。。。
5歳の時に両親を事故で亡くし
天涯孤独になった百音を
統理は引き取り育てています。
百音との生活の為に
東京での仕事を辞め実家に戻り、
フリーランスの翻訳家の仕事と
父親から受け継いだ神社の神主を両立しています。
統理は百音の母親と以前結婚していたけれど
価値観の違いで離婚をしており、
百音は母親の再婚相手との間に出来た子どもでした。
仲良く暮らしているのに
周囲からみると
ちょっと異質なふたりは、
しばしば噂話の対象になってしまいます。
心配の皮を被った興味本位の好奇心のそれは
幼い百音の耳にも入ってしまうこともあるけれど、
その都度
統理が丁寧に説明をして百音を安心させます。
そして
「ぼくと百音の関係はぼくと百音が作り上げるものなんだから、
他の人があれこれ言うことに意味はない。
意味のないことを気にするのは時間の無駄遣いだ。」
と伝えるのです。
まだ幼い百音がこの言葉の意味を理解できることも凄いけれど、
こんな言葉を掛けてもらえたら
これから生きていくなかで、
どんなに支えになることでしょうか。
路有はゲイだということで
過去にとても辛い思いをしたときも、
元カレに手酷い別れ方をされたことで
心がズタズタになってしまったときも、
高校の同級生だった統理に救われます。
そして現在は統理の隣の部屋に住み、
百音も合わせて家族のように過ごしています。
同じマンションに住む桃子さんの話
「あの稲妻」が読んでいて
とても辛くてたまりませんでした。
愛する人を亡くしたとき
私だったらどんな風になってしまうのだろう。
別れは誰にも訪れることだけれど、
40代の私でも想像したくもない経験を
高校生でした桃子さんのことを思うと
涙が止まりませんでした。
桃子さんも
鬱になって仕事を辞めた基も、
心に抱えるものは重く辛いものだけれど
過去の思い出を大切にしながら
前を向いた終わり方で本当に良かったです。
悪い縁を断ち切ってくれる
「縁切り神社」
そして
統理が毎日大切に手入れをしている屋上庭園のあるマンション。
こんな美しい庭に私も行ってみたい。
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