ストレスの元が家族だったら 1

自分にとってどんなことがストレスになっているかを洗い出す「ストレス手帖」の作業は、副腎疲労の回復プロセスでとても重要だという話をしました。そして、ストレス犯がわかったら、それをどうするか。排除できるモノであれば排除する、不可能ならできるだけ接触を少なくすることが必要です。

でもそれが家族だった場合はどうすればいいのでしょう。

2年半前に副腎疲労のステージ3とわかったのですが、他の誰よりも僕自身の家族が僕のことを一番心配し、思いやってくれ、僕の気持ちを分かち合ってくれるものだと思っていました。しかし、実際に僕が母親や妹から受け取ったのは、まったく正反対だったのです。

今の今まで、母親から僕を思いやるような言葉や態度は、まったくと言っていいほどありません。僕の体調がどんな状態なのか、どんな日々を過ごしてきたか、ほとんど理解していません。副腎疲労がどういうものなのか、理解するために自分で調べようともしていません。

seniorandpc

僕は2~3日に1度は母とSkypeでビデオ通話をしますが、カメラを通して見た僕は、病床に伏しているわけではないし、これまでとそう変わらないので、まったく深刻に受け取っていないのでしょう。

最近になって、ちらっと「近所をウオーキングする以外に何もすることがないのは、退屈だわね」と言いましたが、具合はどうかとか、まったく聞いてきません。

話題はすぐに自分のことに移り、膝が痛いとか、わき腹が痛いとか、彼女の具合の悪い話になっています。しかも、具合が悪い話をするのは、母の旦那さんが部屋にいない時だけで、彼がそばにいる時は一切そんな話はせず、どこに行ってきた、とか、新しい服を買ったとか、何を食べたとか、調子のいい楽しい話しかしません。

seniorandwine

息子が何年もひどい状態で苦しんでいるというのに、それはないんじゃないの?延々と、自分が何をしたか、誰と会ったか、何を食べたかを話して、あー楽しかったわ、としゃべり倒し、僕の体調には殆ど関心がないわけです。これって何なんだろう、と僕は思ったんです。

”母の旦那さん”と僕はいつも言うのですが、僕の実の父親ではないし、僕が大人になって家を出てから母は再婚したので、家族として一緒に住んだことも有りません。彼がそばにいる時の(ほとんどいるわけですが)母の言動は、明らかにちょっと変わるんです。息子の話を聞くより、旦那さんといかに楽しい時間を過ごしたかを僕に言いたい、という気持ちのほうが強くなってしまうようです。昔は、本当に思いやりがあって、優しく愛しい母でした。

why

去年の春、母の旦那さんと激しく衝突しました。しかもその原因が、どうでもいい類の話だったから、もうバカバカしいことなんですが…。

この日、僕はセミナーの講師を務めるため、支度を終えて、家を出る前に少し時間があったので、ちょっとだけ母の声を聞いてから出かけるつもりでSkypeコールしました。

どうしたわけか、母の旦那さんが、普段僕がやっていることに反論するようなことを言い出したのです。もう僕はブチ切れて、何もわかっていないのに、知ったようなことを言うのはやめてくれと言いました。これから大きな仕事に向かおうとしている時に、議論している時間はない!

副腎疲労の治療をはじめて1年弱でしたがなかなか変化が見られず、倦怠感も他の症状もとてもきつい時期でした。仕事はかなり減らしてはいましたが、長年継続しているセミナーなど、どうしても断りたくない仕事だけは、不安もありましたが何とかがんばってやろうとしていました。この日もそんな朝でした。

そんな時に、いったいどういうつもりなんだ?息子が苦しんでいる病気が何なのかすら知ろうともしないで…と僕は怒りがおさまりませんでした。このまま会話を続けていたら、僕は自分がパニック障害になりそうだったので、話を切り上げました。平静を取り戻すのに時間がかかりました。

anger

ドクターは、家族からストレスを受けるケースは結構ある、という話をしてくれました。

たとえ家族であっても、その存在のためにイライラしたり、怒りが込み上げてきたり、ものすごく疲れたり、時には本当に吐き気がしたり、心臓がドキドキなったりと具合が悪くなる人は結構いるらしいのです。

自分を守り、副腎疲労から回復するためには、そのような存在を排除するか、接触を最小限にするか、相手に説明して理解してもらうか、何らかの対策を取る必要があります。

僕は、自分から電話を掛けることを完全にストップしました。2週間まったく母とも話をしませんでした。平和な2週間でした。誰にも腹を立てることもなく、穏やかな時間だけが過ぎていきました。

その後、母から1週間に一度くらい掛けてくるようになりましたが、旦那さんが画面に映り込むことはまったくありませんでした。当然、話もしませんでした。彼とは、6か月間はまったく顔を見ることもありませんでした。

noentry

彼の話や、その内容、言い方が僕にとって大きなストレスになっていたことに改めて気づかされました。そのストレスから6か月とはいえ完全に開放されて、本当にいい気分でした。彼らにとってはストレスになっていたと思いますけど。

その後、なにがきっかけだったかは覚えていませんが、母との会話中に彼がチラチラと姿を見せるようになり、短い会話をしてまたフレームアウトしていくようになりました。

しかし、彼はあの日の一件について、まったく謝るわけでもなく、何もなかったかのように普通に振る舞おうとしているようです。僕は母にあまりストレスを掛けたくないと思い、いつまでも頑なな態度を取るのをやめ、彼を受け入れ、会話も少しずつですがまた以前のようにするようになりました。

僕の体調がよくなってきて、僕自身が気持ちのゆとりが出てきたこともあり、彼らとの関係もうまく維持できるようになってきたんだと思います。

自分の家族がストレスの元になっていた場合でも、やはり自分を守るためには、そのままにしておいてはダメだとつくづく思います。家族を遠ざけることはたやすい事ではありませんが、それでもそうしなければならない時には、やるべきだと思います。関係はまた後できちんと修復できるんです。