頭部外傷の重要な合併症の1つとして髄液漏があります。髄液漏は頭部外傷によって頭蓋骨が骨折した場合に頭蓋内が外界と交通している空間(副鼻腔や中耳など)と交通することによって、頭蓋内の脳脊髄液がその空間を通して耳や鼻から漏れ出てしまうことを指します。
画像所見
画像所見として骨折線が外界と交通している空間(副鼻腔や中耳)に及んでいるかどうかを見ます。また頭蓋内に空気が入る気脳症があるかどうかも所見として大事になります。側頭骨ターゲットCTや3方向の撮影が診断に有効です。
管理及び治療
まずその管理については髄液漏があるかないかによって異なります。問題になるのは髄液漏がある場合です。髄液漏があると言う事は骨折によって硬膜が破綻しており、そこから髄液が漏れ出ているということを意味します。そうすると本来無菌である頭蓋内が菌が常在する鼻腔や口腔内と交通することになるので、頭蓋内に菌が入って髄膜炎のリスクが出てきます。
そのためまずは髄膜炎予防のための抗生剤投与が必要と考えられます。抗生剤としては髄液移行性の良いものが選択されます。例えばセフォタキシムやセフトリアキソンなどが選択されます。投与期間としては髄液漏が止まるまでですが、長期投与は耐性菌のリスクにもなりますので投与期間については 症例ごとに考える必要があると思います。
次に大事なのは穴が開いてしまった硬膜を塞ぐことです。まずは自然に癒着することで硬膜が閉じることを期待して、ベッド上で安静にするということを行います。安静の期間は髄液漏の停止を確認してから1週間程度とされています。そして徐々に状態を起こしていて、それでも髄液が漏れなくなれば自然に穴が閉じたと考えられるます。
中には安静にしただけでは硬膜閉じない場合もあります。具体的には1週間安静にしても髄液漏が止まらない時があります。その時は腰椎ドレナージをして髄液圧を調整することで髄液が硬膜の穴から出ないようにコントロールします。
腰椎ドレナージでも穴が塞がらない場合は最終手段として手術で直接穴を閉じることを行います。腰椎ドレナージを含む保存的治療で2週間たっても髄液漏が止まらない場合に手術になります。
その他の注意点
髄液耳漏の場合は錐体骨が骨折しているので、それ特有の注意事項があります。衰退黄砂の中には顔面神経が走っており骨折によって顔面神経麻痺が出ることがあります。麻痺が出た場合はステロイド投与を行います。また錐体骨の中には聴力機関も入っており聴力の確認も大事になります。
一方髄液髄液びろうでは全図が一定の骨折があることが多く、嗅覚の障害の有無をチェックすることが大事になります。