明日美咲がいつも行く店に行ってみたいと思っていたのに、「萌華(もか)の行く店に行きたい」と言われ困惑する萌華(もか)。

しかも「彼氏なしの二次元オタクのデブ」なんて言われてしまい、かなり傷ついたえーん

明日迎えに来ると言っているが、正直、出かけたい気持ちも失せてきた。
コルセットだって苦しいしもうやめたくなってきた。

ダイエットしようなんて言い出したせいで、父親と3人の兄からは嫌われ、大好きな揚げ物も心行くまで食べることもできない。

こんなことなら本当にダイエットなんかしなきゃよかった。

美咲にそそのかされたコルセットダイエットなんて始めたのが間違いだった。

美咲へ返事するのも面倒くさくなくって、美咲からのメッセージを既読無視した。

しばらくすると再び美咲からメッセージが来た。

「どうしたのはてなマーク大丈夫はてなマーク忙しいはてなマーク

人のことを傷つけておいて図々しい奴だと怒りが芽生えてきた。

萌華(もか)はだんだんと悲しくなり、うわっと泣き出してしまった。

「私何も悪いことしてないのにどうして家族から嫌われ、会社の人からも冷たくあしらわれないといけないのえーん

異変に気付いた母が萌華(もか)の部屋の襖戸をたたいた。

萌華(もか)は戸を開けられないようにツバの取れた竹刀でつっかえ棒をしようとしたが間に合わなかった。

母が戸を開けた。

萌華(もか)は叫んだえーん

「もう、お母さんにはデリカシーってもものがないのムキー勝手に他人の部屋に入るのなんてプライバシーの侵害だムキー

4人兄妹の末っ子で、しかも唯一の女の子ということで甘やかされまくったせいか、萌華(もか)は感情の起伏が激しいところがある。

母ははじめから想像が付いていた。
ここ数日有頂天になっていた萌華(もか)の様子を見ていたから反動もそれ相応であろうと。

いつもなら、大関家の必殺の一言「飯抜き」攻撃で納められるところだが、今回の萌華(もか)には通用しそうもない。

「何があったのはてなマーク

萌華(もか)は泣きながら訴えたえーん

父や兄たちに冷たくされたことや、美咲に意地悪されたことなどだ。

しかし、そもそも、父や兄に冷たくされていない。
彼らは萌華(もか)に感化された祖父のにわかダイエット熱にむしゃくしゃしているだけだ。

美咲との関係に至っては根も葉もないことだ。
コルセットダイエットを始めたいと言ってきたは萌華(もか)の方で、美咲が誘ったわけではない。
先週のアウトレットモールへ出かけるのだって、行き先は美咲が決めたが、萌華(もか)が美咲を自宅に呼んだことに端を発している。

美咲の
「自分のよく行くお店でイケてるコーデできなかったらいつまでたっても可愛くなれないよ。これからも彼氏なしの二次元オタクのデブでいいのはてなマーク
というメッセージにしても、最後の一言はちょっと余計かもしれないが、萌華(もか)の痩せて彼氏の一人や二人作りたいと言っていた熱意に対して反応でしかないのだ。

そう。

どこまでも萌華(もか)の被害妄想だなのだ。

そしていつもの萌華(もか)なら祖父を利用して庇ってもらおうというずる賢さを発揮するところだが、祖父は、行方知れずの父と3人の兄を探しに出かけてしまっている。

母もまたいつもの調子なら、萌華(もか)を怒鳴りつけたところである。
しかし、一瞬会っただけだが、美咲という子と美咲のコルセットダイエットが気になっていて、うまく取り入りたいとも思っていた。


そもそも先週わざわざ自宅まで訪ねてきてくれて買い物にまで連れて行ってくれて、しかも家にまで泊めてくれた美咲という子が、萌華(もか)に意地悪する理由も見つからない。

母は萌華(もか)に問いただした。

しばらく話していると、萌華(もか)はスマホを取り出し、母に見せたスマホ

案の定である。

萌華(もか)は自分で都合よく解釈していただけのことだったのだ。

「ねえ、萌華(もか)。母さんもちょっとコルセットダイエット興味あるから、会わせてくれるニコニコ


「ぐすんショボーンべ、べつにいいけど・・・。余計なこと言わないでよねえー

「分かってるわよニコニコ

「私だって25歳の大人なんだから・・・」


母は喉ちんこから1mmのところまで、「25歳の大人ならこんな態度取るか」と出そうになったが、超酸っぱい梅干しを思い浮かべて唾と一緒に飲み込んだ。

萌華(もか)は美咲にメッセージメールを送った。

「返事遅くなってすみません。母がどうしても美咲さんとお会いしたいというもので少し揉めてましたてへぺろ


ヒミツ天からのAbooの囁きヒミツ

Aboo自身も全然他人のこと言えないですけど、人間って多かれ少なかれ自分に都合よく解釈しようとする生き物だと思います。
萌華(もか)の場合は自己の正当化のために転嫁や逃避行動を取るようですが、人によっては暴力を振るったりすることがあります。
これは自我を守るための防衛機制なので仕方のないことです。
問題はうまくバランスを取ることができるかです。
ダイエットの話してこんな精神論というか心理学的なものというかを語るの変な感じもしますが、Abooはボディメイクの基本の8割はメンタル、残りの1割は食事制限、最後の1割が正しい姿勢を保つことだと思います。
Abooは運動が嫌いです。
理由は運動が苦手だからです。
なぜ運動が苦手かといえば運動が嫌いだからです。
それで余計に運動が苦手になります。
運動が苦手だから周りから笑われます。
周りから笑われるからますます嫌いになります。
いわゆる負のスパイラルにはまります。
ダイエットも同じで負のスパイラルにはまっているといつまでたっても前進しないです。
自我防衛機制のひとつ「拒絶」をどこかで断って前へ踏み出さないといけないです。
萌華(もか)の母、貴理子は何かに気付いたのでしょう。
あっ、ちなみにですけど・・・見事ダイエットに成功した後、この運動についてAbooに何が起きたか分かりますか
ニヤリ気が付けば周りの同世代より身体能力高くなってました笑い泣き
Abooの劣化以上に周りの劣化は激しかったガーン


To Be Continued...



■登場人物紹介■

美咲

主人公28歳。独身。彼氏あり。
恵比寿のアパレルメーカーでネットやカタログ向けの画像加工を行う部署でお仕事中。
自宅は大都会埼玉の大宮駅から少し先のJRの駅からすぐのところに家賃8万円の1LDKに乗り換えなしで職場に通えるというだけの理由で一人暮らし。
性格は周りから周りからちょっとちやほやされてみたい気もするけど、目立つのは苦手という結構ありがちなタイプ。
案外見栄っ張りな一面もある。


大関萌華(もか)

美咲と同じ会社で経理課に勤める。
Hカップの巨乳の持ち主といえば聞こえがよいが、肥満の家系に生まれ育つ。
子供のころのあだ名は横綱。
コルセットで急にカッコよくなった美咲にいち早く気づきコルセットダイエットを決意する。
美咲と同じ電車で通勤している。
美咲より数駅遠い町で祖父母と両親、兄3人と暮らす。

大関一家(年齢順)

 祖父:寅(とら)
 祖母:桂(かつら)
 父 :健人(けんと)
 母 :貴理子(きりこ)
 長男:塁(るい)
 次男:コナン
 三男:三斗(さんと)
 長女:萌華(もか)


阿倍 沃(あべ よう) 商品開発部長

会社で一番の美人で、モデルもこなし、仕事もできる。
社長の愛人という根の葉もない噂もある。
女子社員は陰で「倍沃」(べよう)と呼んでいる。
本人はそれに気づいているが、そのことはまんざらでもないらしい。
なぜなら倍沃(べよう)はコルセットダイエットの一番人気のバーヴォーグ(Burvogue)の漢字名だからである。
そして今では美咲にとってのコルセットの師匠でもある。


美咲の彼氏さん

美咲の同僚。
お人好しで頼まれたら断れない性格。
それ以外は未設定。


陽菜

23歳。
美咲の勤める会社で派遣社員をしている。
社内ではかなりイケているルックスの持ち主。
美咲は彼氏さんの「陽菜ちゃんってかわいいよね」の一言でやきもち持ちを焼いたことから、勝手に美のライバル視している。
陽菜本人はどう思っているかは定かではない。
というかまだ未設定。


■作者紹介■

)プロクビレイター(のAbooです。
世界中のウエストを くびれ させることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット!
コルセットで肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。