終業後、美咲と萌華(もか)に連れられて駅近くの和食店へとやってきた歓波(わいは)。
どうやら由喜枝さんという人はそこで待っているらしい。
「4人か5人で予約している戸田です。」
「5名様ですね。お待ちしておりました。ご案内します。」
店内は落ち着いた雰囲気だった。
美咲と萌華(もか)は何度か訪れたことがあるようで店員についていくというより自分で進んで行く感じだった。
算数が苦手な歓波(わいは)でも、今来た自分たち3人と、由喜枝さんという人以外にもう一人誰かいるのだろうと感ずいた。
個室に到着するとままりんと同じか少し年上くらいの女性が先に来て座っていた。
「はじめまして。あなたが噂の本庄さんですね」
「あっ、ども、はじめまして」
「固くならなくていいのよ。楽にして。今日は本庄さんの歓迎会も兼ねてますから」
「なんか、歓波(わいは)ちゃん毎日が歓迎会みたくなってるね」
「ワイ、こんなこと初めてっす」
「まあ、座って。」
全員が着席すると一瞬静かな空気が流れた。
「美咲ちゃん、倍沃(べよう)ちゃんはちょっと遅れてくるって」
「あっ、そうなんですね」
「モカッチャ倍沃(べよう)ちゃんって誰っすか」
「阿倍部長のことだよ。由喜枝さんだけは阿倍部長のことあだ名で呼ぶの。」
「そうなんすか・・・。よくわかんないっすけど、由喜枝さんってすごい人なんすね」
由喜枝さんを見つめた歓波(わいは)は、自分と同じ匂いを感じた。
「由喜枝さんって、ヤンチャしてました」
歓波(わいは)のいきなりの質問に美咲と萌華(もか)は唖然とした。
「まだわかっちゃう」
「モロバレっす」
急に声が弱弱しくなった萌華(もか)が
「歓波(わいは)ちゃん、さっきヤンキーじゃないって・・・」
「ヤンキーじゃないすっよ。硬派っす由喜枝さんは元チーマーっすか」
「チーマーじゃないわよ。一匹狼って感じ」
「ワイもっす。ままりんにツルむ奴は女の腐ったのだって、お陰で1対1の喧嘩なら誰にも負けないっす」
美咲と萌華(もか)の視線がだんだんと冷ややかなものになっていった。
「ところで、本庄さん」
「なんすか」
「倍沃(べよう)ちゃんから聞いたわよ。」
「なんすかワイが問題ばかり起こしてることっすか」
「違うわよ。本庄さんって裁縫がうまいって」
「あ~、あれっすか、ワイ、いつも喧嘩して服破いてきて、うち貧乏だったから、自分で直さないといけなかっただけっす。」
「そうなの?手縫いでミシンと同じように縫うって聞いたからどんなもののか拝見できないかなって思って」
「ミシン縫いってどんなんか知らんっすけど、自分で縫ってきたのなら今日持ってます」
すると歓波(わいは)はバッグからビニールのジップバッグに入ったものを取り出した。
まるで殺人事件の証拠品のようだった。
バッグから取り出すとそこにはコルセットがあった。
歓波(わいは)は由喜枝さんに差し出した。
それを見た由喜枝さんはしばらく沈黙した。
「いい仕事してるわ」
「よくわからないっすけど。ワイこの服が壊れちゃうと困るから壊れそうなところ先に補強しておいたんす」
「それで、これだけ縫えるのにどうしてコルセットは食品保存バッグに入れてるのこれだけ上手なら袋くらい簡単に縫えるでしょう」
「ワイ直すの専門で、作るのはできないっす」
「本庄さんって面白いわ、倍沃(べよう)ちゃん本当にいい子採ったわ。」
天からのAbooの囁き
高級コルセットとバーヴォーグ(Burvogue)のもののようなお手軽コルセットとの間で決定的な違いは強度です。
この強度は特にミシンをかけられない最後の1針分のところで決まります。
図で示した箇所をあらかじめ手縫いで補強しておくことでコルセットが丈夫になります。
コルセットで縫製が解れやすいところはすべてボーンの端っこと縫い合わせがぶつかるところです。
そういう場所をほんの1センチ分だけでよいの手縫いで補強してあげるだけで長く使えるようになります。
ほんの1センチ分といっても、ボーンの両端付近全てになりますのバーヴォーグ(Burvogue)のコルセットダイエットに人気のモデルの場合、全部で56カ所にも上ります
すぐに痩せていくことを念頭においてよい大きめのサイズのときはこの補強はあまり意味ないかもしれませんが、XXS(51cm)とXS(56cm)の場合はやっておいて損はないと思います。
針と糸を買うだけでできるので、百均なら200円+税の出費ですみます。
あと、手塩にかけて補強することでコルセットへの愛着も沸き、モチベアップになるかもしれないです。
「今度はワイからも質問があるんすけど・・・。」
To Be Continued...
■登場人物紹介■
浦埼 美咲 (うらさき みさき)
主人公28歳。独身。彼氏あり。
恵比寿のアパレルメーカー(エンジェルスシンジケート)でネットやカタログ向けの画像加工を行う部署でお仕事中。
自宅は大都会埼玉の大宮駅から少し先のJRの駅からすぐのところに家賃8万円の1LDKに乗り換えなしで職場に通えるというだけの理由で一人暮らし。
性格は周りから周りからちょっとちやほやされてみたい気もするけど、目立つのは苦手という結構ありがちなタイプ。
案外見栄っ張りな一面もある。
大関 萌華(おおぜき もか)
美咲と同じエンジェルスシンジケートで経理課に勤める。
Hカップの巨乳の持ち主といえば聞こえがよいが、肥満の家系に生まれ育つ。
子供のころのあだ名は横綱。
コルセットで急にカッコよくなった美咲にいち早く気づきコルセットダイエットを決意する。
美咲と同じ電車で通勤している。
美咲より数駅遠い町で祖父母と両親、兄3人と暮らす。
大関一家(年齢順)
祖父:寅(とら)
祖母:桂(かつら)
父 :健人(けんと)
母 :貴理子(きりこ)
長男:塁(るい)
次男:コナン
三男:三斗(さんと)
長女:萌華(もか)
本庄 歓波(ほんじょう わいは)
エンジェルスシンジケートの珍入社員でどこまでも問題児。
自分の気に入ったものにはとことん固執するのにそれ以外はとことんずぼら。
早合点で超短絡思考でおバカを絵にかいたよう。
自分勝手な性格と誤解されやすく取りつきづらいイメージを持たれ孤立しがち。
しかし本当は・・・。
阿倍 沃(あべ よう) 商品開発部長
会社で一番の美人で、モデルもこなし、仕事もできる。
社長の愛人という根の葉もない噂もある。
女子社員は陰で「倍沃」(べよう)と呼んでいる。
本人はそれに気づいているが、そのことはまんざらでもないらしい。
なぜなら倍沃(べよう)はコルセットダイエットの一番人気のバーヴォーグ(Burvogue)の漢字名だからである。
そして今では美咲にとってのコルセットの師匠でもある。
秋ヶ瀬 翔太
美咲の彼氏で同僚。
お人好しで頼まれたら断れない性格。
美咲にだけはなぜかやたら強気。
それ以外は未設定。
水判土 迦皇(みずはた かのん)
元フリーのSE。
萌華(もか)の兄の塁の友達の弟。
萌華(もか)が片思いを寄せている。
岩槻 陽菜
23歳。
美咲の勤める会社で派遣社員をしている。
社内ではかなりイケているルックスの持ち主。
美咲は彼氏さんの「陽菜ちゃんってかわいいよね」の一言でやきもち持ちを焼いたことから、勝手に美のライバル視している。
陽菜本人はどう思っているかは定かではない。
というかまだ未設定。
戸田 由喜枝
正社員なのになぜか不定期出勤で誰もが一目置く存在。
ミシンの達人であっという間にあらゆる服のお直しをしてしまう。
ミステリアスな存在である。
神園社長
美咲が務める会社(エンジェルスシンジケート)の社長。
高校生の娘がいる。
妻沼WEB営業課課長
美咲の直属の上司風。
課付きの課長なので実際には部下はいない。
理屈っぽく行動力はない。
ハゲデブで脂ぎっている
川里経理課長
萌華(もか)の直属の上司。
寡黙でなんでも他人事の態度。
貧相なガリガリ出っ歯。
トリサミットソン社(やしろ)先生
旧姓は小川。
両親が経営する白蓮総合病院の内科医。
ダイエット外来を担当している。
大関一家に毎週土曜日ダイエットレクチャーを実施。
■作者紹介■
)プロクビレイター(のAbooです。
世界中のウエストを くびれ させることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット
コルセットで肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。