ベセルナ(イミキモド)クリーム適応は尖圭コンジローマと日光角化症

薬の勉強
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ベセルナクリーム5%(イミキモド)の処方箋を初めて受け付けたのですが、処方箋の記載内容に不備があったため詳しく調べてみました。

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ベセルナクリーム5%とは?

有効成分として、1包(250mg)中にイミキモド12.5mgを含んでいます。

適応症は、尖圭コンジローマ日光角化症です。

用法用量は、1日1回 就寝前 週3回(月・水・金)あるいは(火・木・土)

ベセルナクリームは就寝前に塗ったあとに、医師に指示された時間が経過してから水かお湯で患部を洗い流す必要があります

しかしこれを忘れてしまう患者さんがいるそうです。

こういった場合は、朝に塗って夜の入浴時に洗い流すなどライフスタイルによって医師の指示内容が異なる場合があるので、服薬指導時には患者さんにしっかりと聞き取りをするようにしましょう。

尖圭コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)
疣贅部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。

日光角化症(顔面又は禿頭 ( とくとう )部に限る)
治療部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。4週間塗布後、4週間休薬し、病変が消失した場合は終了とし、効果不十分の場合はさらに4週間塗布する。

患部によって適応症を確認

今回の処方箋には「ベセルナクリーム5% 3000mg 1日1回 患部:医師の指示通り」としか記載がありませんでした。

患部の大きさによって塗布する量は異なりますが、基本的には一包を開封して使い切らなかった場合は処分する使いきりの為、1週間で3包を使うことが予想されます。

内服薬では成分量(mg)と製剤量(g)として処方箋に記載する事がルールとして明文化されています。外用薬であるベセルナクリーム5%(250mg)に関しては、投与総量3000mgと書くのがいいのか、3gと書くのが良いのか?

製剤としてのベセルナクリーム5%の製品表記が一包250mgなので3000mgのままでも良いのかな?と考えながらも、患部や用法に関しても記載がなかったので疑義照会しました。

電話口に出た医師が言うには「1日1回 就寝前 週3回(月・水・金)で4週間分、患部は外陰部でお願いします」との事でした、外用薬に関しては投与総量で記載するので(3000mg÷250mg=12包)で、適応は患部からも尖圭コンジローマで間違いなさそうです。

処方箋に以下のように記載して頂けると助かります。

ベセルナクリーム5% 12包
1日1回 就寝前 週3回(月・水・金)
患部:外陰部

ベセルナクリームの使用上の注意点

ベセルナクリームは患部に薄く塗布した後、約6~10時間(適応:日光角下症は約8時間、また医師の判断により増減します)を目安に必ず洗い流す必要があります

長く塗った方がよく効くだろうと勝手な判断で塗布時間を延長すると、副作用として皮膚障害(びらん、潰瘍等)があらわれやすくなるので必ず医師に指示された時間を厳守する必要があります。

尖圭コンジローマの使用期間は原則16週間までなので、この期間を過ぎても処方が出ている場合は疑義照会しましょう。

ベセルナクリームの作用機序

ベセルナクリームの作用機序は、IFN-αの産生促進を介したウイルス増殖抑制及び細胞性免疫応答の賦活化する事で効果を発揮すると考えられています。

  1. サイトカインの産生促進
    IFN-α、TNF-α、IL-12、IFN-γ等の種々のサイトカイン産生を促進
  2. 細胞性免疫応答の賦活化
    IFN-γ産生、T細胞の増殖促進
    IL-2産生促進、NK細胞及び細胞障害性T細胞作用増強
  3. 抗ウイルス作用
    宿主細胞からのIFN-α産生促進にてウイルス増殖抑制
    ウイルス感染に伴う病変の発症を抑制
  4. トール様受容体(TLR-7)に対するアゴニスト活性
    免疫応答の誘導に関わる細胞膜受容体(TLR-7)遺伝子を導入した細胞を用いた実験で、イミキモドは(TLR-7)に対するアゴニスト活性を示した

ベセルナクリームの有効成分自体がHPV6型、11型(ヒトパピローマウイルス)をやっつけるのではなく、自己免疫力を強化する事でウイルスを攻撃して治療する薬になります。

尖圭コンジローマが自己免疫力で自然に治る方もいるようですが、HPVは性交渉やオーラルセックスでもパートナーに感染する事があるので疣贅(ゆうぜい)などに気が付いた時点ですぐに病院を受診して治療を開始するようにしましょう。

参考:ベセルナクリーム5%添付文書(持田製薬株式会社)

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