2020年10月20日火曜日

電気主任技術者の仕事-給排水設備点検の基礎_(3-1)

受変電設備、空調設備が正常でも水が使えないのではどんなビルや
工場でも生産活動ができません。ビルなら飲料水、トイレ、冷却塔
が使えないので夏冷房もダメ、かなりヤバいのはわかると思います。
ただそうでありながら給水制御まで業者に定期点検させてる現場は
ほとんどないという現実、動作に不具合があれば電気主任が頼みです。
1年に1回の受水槽での作業というのは水槽内の清掃の事で制御の状態
の確認とかたぶん誰もしてない、特にこれは重要と思うので2回に分
けてまずは給水制御の基礎です。

これはオムロンの61Fリレーを使用した給水方式です。10年トラブル
なしで使用できる優れ物!貴方がビルや工場の電気主任を目指す場
合にかなりの確率でこの方式に遭遇する事になるのでここで基本を学
んでおきましょう。まず基本として1個の電源と1個の61Fリレーか
ら構成される単純に水槽に水を入れるだけの方式で右のタンク水位
がE2より下がるとポンプが運転されて給水を開始してE1まで水が入
ると停止する方式です。★10年経過してたら給水制御は全更新時期。
こういう物は受水槽室とか常に湿気が高い場所に設置されるので通常
の乾燥した場所にある電気物と同じ感覚で、まだ大丈夫的な使用法は
まずいと私は思います。対象現場は来季交換を計画すべきです。

S0が電源Rに、TcとS2が電源Tに、Tbがマグネットのコイルに接続されます。
Tcの上のSWがONになる事でTbよりマグネット(MG)の片方のコイルに給電
される事でMGが投入されポンプが運転状態になるの200VをS1に接続する
と電源一次コイルの100Vタップに200Vをかけてしまい焼くので注意!
又E1~E3が水槽の電極にそれぞれ接続されます。E3には槽内の一番長い
電極を接続してこれはコモン電極といいこことE1又はE2間で信号のやり
取りがされる。制御異常が発生した場合はまず電極関係の配線異常がな
いか次に61Fリレーの交換すれば復旧する事がほとんど。こういう電子
的なパーツは修理してどうこうする物ではなくて故障したら取替が基本
です。(蛍光灯の安定器と同じ感覚)尚DC電源でなくAC24Vを採用するの
は電極の電腐という現象を避けるためにACが採用されてるのは知って
おいてね。実際はそれと電源変換部分でこのユニットは構成されます。

次に実際にビル、工場にある61F-G4方式の回路図を紹介します。受水槽
+高架水槽方式の給水方式で採用される方式で電源部と5個の61Fリレー
MK3Pリレー、本体回路からなります。このオムロンの水位制御方式は相
当多くのビル、工場で採用されてる定番の方式で初めて見る方は回路は
ともかく動作だけでも覚えておくといいですよ。見た通りマグネットを
自分で交換できる人なら全取替できます。実は物は安いので電気主任
がそれをされるならオーナーは即購入されるでしょう、業者に出して
小さな設備会社で20万円、大手で30万円もあれば取替可能だけどコロナ
影響業種では無理かも。もしされたら電気主任としての現場評価を上
げる事はできます。だって故障したら強烈ダメージだから誰でも取替の
必要性はわかってる、今の時期は費用の問題だけなのです。


まずこれの動作だけを説明すれば高架水槽の水位要求により給水ポンプを
運転停止させるのは最初の方式と同じ、更に高架水槽が満水や減水になると
警報を出せます。給水ポンプは2台あり通常自動交互運転ですが渇水(減水)
まで水位 が下がると2台運転して強制的に水を早急に入れます。(通常は
減水というのですが上図面では渇水という表現になってますね)受水槽は
満水、減水警報、ポンプの空転防止機能があり減水警報が出ると空転に
よるグランドの焼損防止のため出ると給水ポンプは動かせなくなります。
下の場合だと別に空転防止用の電極までありますがいろんなメーカーの
制御があると思うので現場に着任したらよく研究されてくださいね。
とにかく受水槽は水が減り過ぎてポンプの吸込み位置より下がる前に
ポンプの動作を停止させる機能があるのです。受水槽内部に水道水を入
れる装置を定水位弁(FMバルブ)といい動作トリガーを生むパイロット
部分があります。ここが開放されるとFMバルブから水が出て受水槽
に水を供給します。

制御関係の故障ではたとえば高架水槽の満水警報が出ない場合はE4の
配線を目で追ってみてください。U4の61Fリレーに入っているのでこ
の場合ならば電極の断線がなければこのU4のとこの61Fリレーを交換
すれば直る可能性が極めて高い事になります。ポンプが運転しない
停止しないならU5とその電極に接続される61Fリレーを交換すれば
いいのです。61F-G4の細かい回路の動きがわからなくてもつながり
を追う事で簡単に故障対応が可能な点がこの方式の魅力ですね。

FMバルブのパイロットの開閉は電極で水位検出して電磁弁でさせる
方式がビルではほとんどですが、小規模現場では電磁弁ではなくて
ボールタップで行います。これの利点は設備費用が安く電気がなく
ても受水槽だけには自動給水できる点です。又その場合は2個上資
料の受水槽2と3の電極は当然その場合はないです。

つまりこういう受水槽で電気配線がないつまり電磁弁がないという事です。
給水が停止しないで満水警報が出たならばまずバルブAを閉めて水が停止
すればボールタップ交換が必要、停止しないならこのタイプだとFMバルブ
の中にワン皮パッキンがあると思うので交換したら正常になるはずです。
水位が正常で満水警報が出てるなら前述した6F-11リレーの交換が必要!
こういう手で回すバルブを全開した場合、1/4回転戻す事、一杯に回した
ままで終わると次回バルブを閉めようとした時にかんで回らない事があり
ます。もしそうなったらパイレンとかをハンドル部分にかけて強制的に
回すのではなくバルブの底を軽く叩くとその振動で簡単に回りますの
で覚えておいてね。★何でも力づくというのは壊す事になり間違った
行為です★

電磁弁制御でパイロットを締めるのと違いボールタップでは瞬時に
閉鎖しないため給水終了マジかではキューとFMバルブから音がする
から音を聞いただけでも給水制御方式はわかります。下で言えば11
番の部品がワン皮パッキンという物でこれが劣化するとFMバルブ
から水が出たままとなります。父の工場に勤務していた頃にある
機械に給水するタンクがこの方式で私も2回程度ワン皮パッキン
を交換した事があります。こういう物を分解する時は各パーツが
どういう順番で入っているか確認し覚えてから行う事が大切です。

水槽の中を見ると受水槽、高架水槽共にこういう電極というのがあります。
一番長いのがコモンで一番短いのが満水警報でこれは共通しています。
槽自体はFRPだけど湿度、塩素成分の影響により長年使用で電極は腐食
してきますから折れたり、断線するとその部分の機能は動作しません。
特に一番長いコモンの電極が飛ぶとすべての機能がDownしますから動作
に異常がある時はこの電極をまず目視確認しましょう。
電極もユニットも同時に故障、修理可能日まで3日ある、1時間
に1回は排水しないといけない排水槽という状況、それを手動で
行うのは他の仕事もあり現実困難、そういう場合は既存制御配線
を一旦撤去して、タイマーで排水ポンプモーターのマグネットを
時間ON/OFFさせたらいいです。絶対に夜はモーターが運転しては
いけない絶対にならば念のため電源を切るタイマーも入れる、実
はかなり前に似た様な状況になり、仮設で2日飲食用雑排水槽を
運転しました。ただ★これは最終応急手段★_電極制御の水槽
は1回にポンプで移動させる水量は一定なので、動作タイミング
まで固定であれば、タイマーで給排水制御できなくはないです。
トラブル発生時は★ある物を工夫して対応するのも電気主任の
お仕事です★できる事をして、どうしても無理なら経費をかけ
業者依頼、それを決定するのはお金を出すオーナーです。



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