2020年11月11日水曜日

電気主任技術者の仕事 - 空調機加湿器故障対応

本題の前に遊び実験記事から、24Vランプを点灯、変圧器一次側に
モニターを設置、最初に無負荷の一次電流I0、次にランプを点灯
させ測定した値がI=50mAです。最終的に二次側換算するのに100⇒
24V変圧器なので電流値を4倍にしました。ほぼランプ電流SPECと
同じなので計算は合ってると思います。単相モーターの負荷変化
による力率変化を知るのに購入したUSA製のモニターなのですが
結構正確な様で関心しています。自分で実験してみて計算した
結果と実際がJUSTになった時は子供の頃の気持ちになり嬉しい。
どうしてI-I0にするのか、電流を4倍にするのかこういうのは
確かに電験で勉強した知識は少し必要、変圧器等価回路なんて
もう久々に再勉強しましたけどね。ただ仕事の実務では必要
ないからあくまで遊び実験です。でもそういう小さな事にも
疑問や関心を持つ感性は、いつまでも大切にしたいです。

冬場は乾燥するので加湿というのも空調機の重要な装置です。ある
テナントからいつもより室内の湿度が低いのでこのままでは社員が
インフルエンザになる、のでなんとかしてほしいと連絡がありまし
た。特に今は咳が止まらない、熱が出たはコロナの疑いもかけられ
るので空気の環境にとても敏感になられてるテナントが増えました。
管理する側としては湿度くらい来月の点検でいいですか?はできな
い時代です。_至急メンテ業者に連絡したのですが今日は他の重大
トラブル対応でなんとか明日にお願いできない?との返答でした。
業者なんだから何が何でも来い!と激怒される設備の方も多いで
しょうが、業者のその方とは昔から仲が良いので可能な限り今日
は私がするから、明日朝1でお願いと約束だけして私なりに対応
しました。

現場動力盤にある図面を見たらFX2リレーのa接点経由でWX1リレーが
ONすると線番5に電圧がかる事で加湿器の電磁弁が開き給水してる制
御です。ただその前に線番3-4間の加湿センサーの接点に導通がなけ
れば意味ありません。
(加湿の動作条件を満たしている確認済)
専属業者がいても今故障発見、すぐ来てができないケースあります。
一次対応としての応急処置、テナントから苦情が来ればオーナー
からも何とかできない?とか相談される、普通の設備の方はされ
なくてもいいけど、電気主任は全く手が出せないは少し苦しいかな
アイツがいたらもしかしたらなんとかしてくれる!と思われる身分
になれる様、私も努力はしています。_一次対応を業者に電話して
使用できませんとテナントに言うだけなら、中学生でもできます。
私も一応技術者のはしくれですから、多少の使用制限はあるが代替
として同程度の環境で業務ができるレベルにしてあげるのが私が思
う一次対応です。一次対応の定義が曖昧な設備会社が多いです。
だから時にオーナーやテナントからお叱りの言葉を受けるのです。

まず回路を見るとWX1リレーの動作ランプが点灯してないから加湿
回路が構成しないのです。ただFX2リレーは動作してるからもうそう
なると怪しいのは加湿センサーがOFFのままで導通がないのでは?

これが加湿センサーで部屋からのレターンエアの湿度を計測して
内部接点がON/OFFしてるだけです。とても基本的な話ですが湿度
設定と部屋の実際の湿度を最初に確認します。部屋湿度を直接読
まない現場なので、制御と部屋湿度ずれはありますが29%の状態
で設定をMAXにしても加湿電磁弁が開かないとなればセンサー
関連リレー、加湿電磁弁本体のどれかが故障しています。接続
ターミナルのとこでそれらは判断できます。テスターとクランプ
メーターもあれば十分です。

この3-4間が動作してないといけないのです。通常ターミナルは
盤の下か左側にあるはずです。一番最高湿度設定にした状態で
この3と4番の線を外してテスターで導通CHECKをしたらない。
つまりセンサーが故障しているのです。一応センサーの線の緩
みがないかは確認しましたが、もしそんな単純な原因だと恥を
かくのでこういう場合は最初に行いましょう。ちなみに1-2間は
空調機のマグネット補助a接点に接続、5-6間は加湿器電磁弁へ
の電源送りです。各外部構成の故障はターミナル測定でほとん
どわかります。1-2間が導通なしではこの回路自体が起動しま
せんし、5-6間に電圧が200Vあるのに電磁弁が全閉ならそれが
故障しています。WX1リレーがONなのに電磁弁が開かないなら
5-6間もCHECKが必要です。

とりあえず下側から来てる3と4番の線は外したままでターミナル
3-4間をジャンパーで短絡させました。これで回路を構成するから
加湿器に給水されました。ただずーと加湿すると部屋の窓とかに
水滴がつくでしょうからね。スナップSWをつけて手動でするのは
スマートじゃないです。そこで応急対応処置はこうです。24時間
タイマーを入れてONを2時間OFFを30分になる様にしてセンサー部
分をタイマー接点と入れ替えた、これで加湿器は自動入り切りし
ます。電源2本とタイマー接点からの線2本で完了です。
2点間の電圧があるか、導通があるかを見るのです。仮に回路がAC
200Vでも検電器で点検してはいけない、この回路はAC24Vですから
そもそも検電器では反応しない!又トランスがあり非接地状態
なので検電器は反応しない。あらゆる間違いの元なので回路点検
ではテスターを使用してください。



S1-S2間に200Vを入れ、COMとNO間で前述の加湿接点3-4間の動作
をさせました。加湿の時間はタイマーのONの時間を短くすればい
いのです。この後で業者に調べなくていいから加湿器センサーを
持ってきて交換してください。と連絡しました。
メンテ業者のため部品代のみで作業工賃は年間契約に入っている
ので費用はかからないです。

少しリレーについて補足します。たとえばこういうリセットボタン
その裏側配線を見ますと4014という番号の線があります。

リレーAL1のとこに4104という配線があるからこれがリセットボタン用
盤の表にあるランプテストボタンの裏には、4105という配線があり同じ
見方でAL2リレーがそうですね。実際ランプテストボタンを押せばAl2の
動作ランプが点灯します。こういう動作ランプがあるリレーは故障調査
も容易ですがないと、実際に電圧を測定するしかありません。

たとえばタイマーTMに電圧がかかるか、確認する場合ですがリレ
ーSWX、FX1、FX2、タイマーTMの共通線番号はS24です。もう
片側は004番です。この2線が入線してるタイマー端子で電圧
を測定すればいいいのです。基本動作表示ランプはないと私は思
って対応しています。何かをあてにすればそれがない時に何もで
きません。図面によっては接続端子番号まで記載してくれてる
場合もあるのですがない線番号だけの図面が多いです。回路の
電圧点検ではどこの2点間を測定したらいいのかを見切るのが
大切ですね。


上は空調機の冷水、温水、ダンパー、加湿という自動制御の回路
であって、スターデルタとか起動回路の図面ではありません、起動
回路はこのメンテ業者とは無関係です。起動回路まで業者とメンテ
契約はほとんどないため電気主任が対応する必要があります。自動
制御は相談する相手もいますが、起動回路はいないので電気主任に
着任したら空調機等の起動回路はよく研究しておきましょう。下が
一般的なスターデルタ起動回路です。起動がかかった瞬間の運転回
路の流れです。運転ボタンPB-1Aを通じて青→に電圧がかかります。
スター起動回路です、PB-1Aから手を離すと電圧が消失するのでそ
うさせないのが自己保持の目的、SDTがスターデルタタイマーで
自動切替CSを自動にしておけば中央監視の運転信号でCX8接点がO
Nする事で手動運転と同じ動きをします。通常は中央監視で運転監
視制御されます。

短絡によりMCBのMCCS-1のa接点か、過電流によりTHRのa接点が動作
すると現場異常ランプが点灯、パラ接続してるリレーALX1も動作
するので、そのa接点で中央監視に電流に関係する空調機停止が発
生した事を知らせます。ただ運転ランプ点灯の電源の取り方が私
から言わせたら満点ではないです。貴方が着任した現場の回路で
はたぶんデルタ回路の補助a接点を経由させて運転ランプを点灯
させてると思います。そういう組み方の方が多いはずです。

皆さんだけには断言するとスターデルタ起動に関するトラブルの半分
はスターデルタタイマーが原因
です。10年以上経過してるならイザで
ないと起動できないです。ぜひ在庫として1個は現場で持ってくださ
い。どの階の空調機も回路は同じですから1個でもあれば大きな安心
です。なんとなく日々空調機は起動できてる。 それは10年未満の機械
に言える事で老朽化して誰もメンテしてないなら、ある日こんな相談
を設備の方から受けるでしょう。”電気主任さん空調機が自動も手動
でも起動しないのですが" OR 巡回に行ったらいつもより運転電流
が多いとかです。機械的な原因でも運転電流は増加しますがそのタイ
マーの起こすある状態でも、運転電流が上昇します。上の回路図でも
その原因はわかります。知らない方は暇なら研究されてみてください。

本とかで回路起動の流れを理解していても、実際に運用していて
トラブルが発生すると瞬時にわからないのが普通です。その回路
でどういう故障が発生する可能性があるのだろう?現場に着任し
たらそういう研究もしておけば、いつ発生するかわからない故障
に対しても対応ができます。それは設備類すべてに言えます。
どんなに点検しようが10年~15年経過していたらこういうパーツ
はある日当然故障します。LEDでも長期使用できても早い物なら
3年で壊れます。★すべて永久品ではなく消耗品なのです★
点検とは期待寿命まで使用するためにしてるわけで永久に使用
するためじゃない
、一般の方の中には点検してたら永久に故障
しないと思われる方がいます。それがオーナーとかですと報告
する時に少し嫌味を言われる現場もあるかもしれませんが電気
主任が悪いわけではないので堂々と説明しましょう。

本を読んだり考えてわからない時は実験してみてください。
それが確実に自分が納得でき真実を知れる一番の方法です。
MCB投入で通電、26mA、力率(PF)0.36の電流が無負荷なのに流れ
ましたがこれは変圧器の無負荷損による物です。その時の消費
電力は1.3W、配給電圧は104Vです。12VAの変圧器の消費電力
は微量ですが配電用変圧器では無視できない値となります。
%Zとは二次側を短絡し、一次側の電圧を徐々に上げていって二
次側定格電流が流れたときの一次側の電圧をV1とすると%Z=V1
÷一次定格電圧×100%です。それを変形するといくつか便利
な形に変形できます。その1個が定格電流Inと%Zの数値が与え
られるならば短絡電流Isが簡単に求められるという物です。

Amazonで単相モーターを購入、無負荷電流は2.6A、力率は0.21
どうやって負荷をかけるか、とりあえずタオル人力でかけ負荷
電流と力率がどう変化するかの実験しました。結果は電気を勉
強した人なら想像できるでしょうが小さな疑問も生まれるの
です。静か部屋でこういう業務用モーターを運転すると意外と
うるさい、最初起動させた時にカチンと内部から音がしました。
調べたら遠心力SWがあるらしい。この場合は目の前に自由にで
きる相手がいます。単相モーターの電源線は2本だけど受端子
側では4本なのを知っていましたか?_単相モーターの電源を
逆にしても反対に回らないけどそういう事に疑問を持った事
ないですか?

仕事で排水ポンプつまりを解消させるため三相モーターを反転させた
事はあるけど単相モーターはない、実験してみよう、勉強のためこん
な切替回路をわざわざ自作しました。モーターって反転させたら?
ゆっくり机の上で測定する事は普通ないですね。他人から見れば
究極の無駄
ですが私はこうやって電気を楽しんで覚えてます。
こういう実験をする時はコンセントから直に電源は取らないでくだ
さい。手軽に15AのMCBを通せばいいです。何度か配線を間違えて
短絡させた事はある、ああこういう事をするといけないのかとか
家ならば間違いは誰にも迷惑はかけません。失敗も良い学びです。
ビル管理で必要な扱いレベルはこの程度の延長線上です。だから
仕事にも役に立ちます。

点灯中に停電、復電したら自動点灯、その後は切SWで消灯しても
問題なくランプは切れたまま。入SWで点灯もできる、電源に直接
ランプを接続しておけば簡単では?それでは入切りができない。
すべて実験では成功しました。会社に復電したら自動でマグネット
が投入される業者が取付した回路があるのです。基盤制御ですご
い高かそう、昔追加工事で取付した様だけど図面も何もないです。
どういう方法でしているのか、もっと身近な物で安い価格で実現
できないのかという疑問から遊んだのです。_自分が気がついてな
い想定外な現象や使い方で不具合を出さないか?という点でまだ
遊びの域から抜け出せない回路ですね。_もう1回これを作成する
暇がないので今はしてませんが私の遊びの宿題の1個、気がつか
ない事をいくら考えても無駄、実験しかないです。


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